「燃料電池」活用の鉄道車両 試験公開 JR東海

JR東海が開発を進める「燃料電池」を活用した鉄道車両の試験が18日、愛知県内で公開されました。
「燃料電池」は水素を燃料にして発電するため二酸化炭素を排出せず、鉄道の脱炭素に向けた取り組みとして期待されています。

18日、愛知県小牧市の研究施設で公開されたのはJR東海が開発中の、「燃料電池」を活用した鉄道車両の試験です。
現場では、「燃料電池」をつないだ模擬的な車両が用意され、その場で車輪を回転させることができるテスト用のレールの上で、上り坂の走行や加速に十分な出力があるかなどを検証していました。
「燃料電池」は燃料として送り込まれた水素と空気中の酸素を反応させて発電するため、水が発生しますが二酸化炭素は排出しません。
新たな車両は「燃料電池」が発電した電気と蓄電池の電気を組み合わせて走る仕組みで、JR東海ではまず、ディーゼルエンジンの車両の代わりに導入することを検討したいとしています。
JR東海技術開発部車両制御チームの田中英允チームマネージャーは「カーボンニュートラルの実現に向けて軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使っている部分を脱炭素化することが必要だ。燃料電池の高出力化を進め、車両を実現させたい」と話していました。

【調理分野にも水素活用】
脱炭素社会の実現に向けた水素の活用は調理の分野にも広がっています。
「トヨタ自動車」と名古屋市に本社を置く大手ガス器具メーカーの「リンナイ」が共同開発を進めている石窯はガスではなく水素を燃やし、二酸化炭素を排出しません。
両社によりますと、水素は燃やした際に水蒸気が出るため、ピザやパンなどがもちもちとした食感に仕上がるほか、ガス特有のにおいがせず食材本来の風味を味わえるメリットもあるということです。
一方、水素は燃えやすく爆発の危険性がありますが、においがないため漏れても気づきにくいという問題があります。
このため、石窯には検知器が搭載されていて、水素漏れが起きた場合はすぐに供給を止めるような安全対策が講じられているということです。
両社は今後、トヨタが静岡県裾野市で建設を進めている未来型の実験都市「WovenCity」に水素調理器を導入することを目指す計画です。
トヨタ自動車水素ファクトリーの中村匡グループ長は「水素の新しい可能性を広げたいという思いで調理器に取り組んでいる。ふだんの生活の中で水素をもっと使えるような身近なエネルギーにしたい」と話していました。