自衛隊銃撃 陸自元幹部”管理規則や弾薬使用あり方見直しを”

岐阜市にある陸上自衛隊の射撃場で、実弾射撃の訓練中に隊員が小銃で銃撃され、3人が死傷した事件について、陸上自衛隊の元幹部で射撃訓練で教官を務めた経験もある岐阜女子大学特別客員教授の矢野義昭さんはNHKの取材に対し候補生が弾倉に実弾を込める作業をどこで行うかなど、射撃場の管理規則や武器・弾薬の使用のあり方を見直す必要があるという考えを示しました。

今回の事件で自衛官候補生たちは教官の指示のもと「射撃位置」に着く前の「準備線」で実弾を弾倉に込める作業にあたっていましたが、逮捕された18歳の候補生はこの作業中に無断で弾倉を小銃に装てんし、銃撃を始めたことが防衛省関係者への取材で明らかになっています。
陸上自衛隊によりますと、弾倉に実弾を込める作業を行うタイミングには決まりがなく、射撃場の状況に応じて教官が指示するということです。
これについて矢野さんは、正式な隊員の訓練では射撃位置の前で自ら弾倉に弾を込めるのが一般的だとする一方、候補生については「準備位置でみずから弾を込めて待機させるのは安全管理上問題があるのではないか」と指摘しました。
また、射撃場にいた隊員はいずれも鉄製のヘルメットは着けていましたが、防弾チョッキは着用していませんでした。
矢野さんは候補生が適切な射撃姿勢を学ぶ訓練の場で身体的な自由が制限される防弾チョッキの着用はなじまないとする一方、訓練に立ち会う隊員については「万が一の危険に備えて着用を検討していいのではないか」と話していました。
関係者によりますと逮捕された候補生は調べに対し「銃と弾薬を自分のものにしたかった。弾薬を奪うために邪魔な人を撃った」などと話し、一連の行為について「事件当日の射撃場に入るまでに思いついた」と供述していたということで、自衛隊などが動機の解明を進める方針です。
矢野さんは事件の動機などについては捜査の進展を待つ必要があるとしたうえで「射撃場の管理規則や武器・弾薬の使用のあり方に加え、特に入隊して間もなく、心情的にも不安定な隊員の射撃訓練を今後どうするか、総合的に考える必要がある」と話していました。