導水路建設計画で国交相「関係自治体の合意が第一」

岐阜県の徳山ダムから木曽川に水を引き入れる導水路の建設計画をめぐり、計画に反対していた名古屋市の河村市長が今週、一転して計画を容認する考えを示したことについて、斉藤国土交通大臣は、まずは関係する自治体が検討する場で合意を得る必要があり、その検討状況を見守りたいという認識を示しました。

「木曽川導水路」は、水道用水の確保や木曽川の渇水対策などを目的に、水資源機構が国から引き継いだ建設事業です。
名古屋市の河村市長は、市長に初当選した2009年、国にこの事業の中止を求め、当時の民主党政権が、事業の見直しの対象として、凍結されたままになっていましたが、河村市長は2月14日、一転して計画を容認する考えを明らかにしました。
これについて斉藤国土交通大臣は17日の記者会見で、「関係する自治体が中心となって、この事業の必要性について検討する場があり、そこで合意を得ることがまず第一だ。その場での検討状況を、見守りたい」と述べました。
その上で、「地元自治体が入っているそうした検討の場で国土交通省の考え方を丁寧に説明しながら、合意形成を図っていきたい」と述べました。
岐阜県の徳山ダムから木曽川に水を引き入れる導水路の建設計画をめぐり、愛知県と岐阜県の市民団体が、計画を容認する考えを明らかにした名古屋市の河村市長に抗議し、建設計画からの撤退を求める文書を提出しました。

【市民団体が抗議文】
徳山ダムの建設などに反対してきた愛知県と岐阜県の3つの市民団体の代表者が、17日に市役所を訪れ、市の職員に河村市長宛の抗議文を提出しました。
この中では「導水路はそもそも不要で名古屋市の水の需要は、節水と地下水の利用により減り続けている」などとして、河村市長の方針転換に強く抗議した上で、導水路の建設計画から撤退するよう求めています。
河村市長は、NHKの取材に対し「水を一滴も使わないのに徳山ダムの工事費や維持管理費を払っており、使わない物に金を払うよりも使い道を考えるのが市長の仕事だ。今後、賛成と反対の両方の立場の人を呼んで、意見を述べ合う場を作れないか検討している」と述べました。