ナノテラス使った実験 初の学術論文発表

東北大学と大手タイヤメーカーの研究グループが、仙台市にある研究施設ナノテラスを使って、極めて高い解像度で物質を見ることに成功したと学術論文として発表しました。
学術論文の発表は、ナノテラスへの関心がさらに広がる可能性があり、企業や大学などの利用が進むことが期待されています。

ナノテラスは、放射光と呼ばれる非常に明るい光で、ナノメートル=100万分の1ミリというレベルで物質を分析できる世界最先端の研究施設で、運用が始まった先月からさまざまな実験が行われています。
このうち、東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センターの高橋幸生教授と住友ゴムなどの研究グループが実験の成果を応用物理学会の学術誌に発表しました。
研究グループは、ナノテラスにテンダーエックス線と呼ばれるエックス線を使って物質を細かく見ることができるシステムを独自につくり実験しました。
その結果、1ミリの5万分の1にあたる20ナノ未満という極めて高い解像度でタイヤの原料の一部となる硫黄を含んだ高分子の内部構造を見ることに成功したということです。
タイヤのゴムの計測や解析に応用することで、ゴムの劣化のメカニズムの解明などにつながる可能性があるとしています。
学術論文の発表は、ナノテラスの運用が始まってから初めてです。