新型コロナ5類移行1年 知事“厳しい業界もあり注視”

新型コロナの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行してから、8日で1年です。
村井知事は、県内の状況はコロナ禍前の状態に戻りつつあるとした上で、依然として経済的に厳しい業界もあると指摘し、今後も注視していくとしています。

県によりますと、先月28日までの1週間の県内の新型コロナウイルスの感染者数は454人で、ことし1月下旬から2月上旬をピークに減少傾向が続いています。
国は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることなどから、ことし3月末で患者の支援策のすべてを終了しました。
県内でも新年度から季節性のインフルエンザなどと同様な扱いとなっていて、発熱外来に対応する医療機関の指定が終わったほか、24時間体制の相談窓口なども廃止されました。
村井知事は新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから、1年となることについて、7日の記者会見で県内の状況はコロナ禍前の状態に戻りつつあるとした上で「コロナ禍でオンライン化などが進み、出張が減ったことなどから運輸業を中心になかなか戻っていない業界もあると聞く。落ち込みを観光などでしっかり補うことが重要だと思う」と述べ、依然として経済的に厳しい業界もあると指摘し、今後も注視していくとしています。

【5類移行から1年、飲食店では】
新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されて1年がたち、飲食店の風景も様変わりしました。
仙台市青葉区の居酒屋ではランチも提供していますが、8日昼ごろは、客や従業員のうち多くの人がマスクを着けておらず、出入り口に1つだけ置かれた消毒用のアルコールを使う人もいませんでした。
店内では、4人グループで会話をしながら食事を楽しんでいる人もいました。
この店ではかつて、客席の間にアクリル板を立てた上テーブルごとに消毒用のアルコールも設置していました。
さらに、県の呼びかけに応じて、食べたり飲んだりするとき以外はマスクをする「マスク会食」をするよう要請していました。
5類に移行して1年がたち、風景はコロナ禍前にほぼ戻りましたが、夜の遅い時間帯の客足は回復しきっておらず、時間を短縮しての営業を余儀なくされているということです。
常連だという40代の男性は「感染対策の経緯も見てきましたが、マスクをしているお客さんも少なくなってきたと感じます。体調が悪くなければ、マスクなしでスタッフも客も顔と顔を合わせられる店が増えていったらいい」と話していました。
この居酒屋を運営する「ぼんてんグループ」の長谷川正美取締役本部長は「5類になったその日にアクリル板などを撤去して、お客さんが飲食しやすい環境を作ってきました。経済も低迷していて、世の中は戻りきっていないが、早くコロナ前のように戻ってほしい」と話していました。

【感染疑いある人は診察を分けて】
仙台市内のクリニックでは、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したあとも、感染の疑いがある人については待合室や診察する場所を別の患者と分ける対応を続けています。
仙台市青葉区二日町にある内科のクリニックでは、新型コロナによる感染が広がる前は、多くのクリニックと同じように患者には同じ待合室で待機してもらい、同じ診察室で診察していました。
しかし、新型コロナの感染が広がり「発熱外来」を始めてからは、診察は予約を基本とし、クリニックの駐車場に準備したワンボックスカーを置いて感染が疑われる患者にはそこで待機してもらい、診察していました。
このクリニックでは、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したあとも待合室や診察する場所を別の患者とは分ける対応を続けています。
大きな理由は、感染のリスクを少しでも減らすためだといいます。
医師が記したノートには、この1年、日付ごとに患者が新型コロナかインフルエンザに感染しているかどうかを色分けして記録していますが、5類移行後も去年夏やことし2月にピンク色の新型コロナの患者が増えていました。
いまも新型コロナの感染者が一定数確認できており、こうした対応を続ければ、新型コロナやインフルエンザの感染リスクをおさえることができると考えています。
おおひら内科クリニックの大平哲也院長は「よく考えれば昔のやり方が普通ではなかったわけで、今後もこの形で診察することになると思う」と話していました。

【球場では応援の風船が復活】
プロ野球・楽天では、ファンが一斉に飛ばす応援用の風船について、新型コロナの感染拡大に伴って球場での利用をとりやめてきましたが、今シーズンから専用のポンプで膨らませる形で復活しています。
楽天では、仙台市にある本拠地の球場に集まったファンが購入した応援用の風船をそれぞれ膨らませ7回の攻撃の前に楽天の応援歌が流れ終わると、一斉に飛ばして盛り上がるのが観戦のだいご味の一つです。
しかし、新型コロナの感染拡大に伴って、それぞれが口で膨らませた風船はリスクがあるとして4年前から利用をとりやめてきました。
球団によりますと、ファンからの要望もあり、球団創設20年となる今シーズンから再び球場で風船を利用できることにしました。
新たに導入された応援用の風船は専用のポンプを使って膨らませるタイプで、球団では、口で膨らませることは禁止しているということです。
こどもの日だったこの日も球場では、グッズショップの前などに風船が置かれていて、訪れたファンたちが次々と買い求めていました。
購入したファンは「風船があるかないかで全然盛り上がり方も違うので復活してくれてうれしい。コロナがはやることもあるのでポンプで膨らませるのはすごくいい案だと思います」と話していました。
球団の西出一郎さんは「皆さんがルールを守ってくれて安心安全に楽しめています。7回の雰囲気は圧倒的なので、ぜひ球場に遊びに来てもらい、風船を飛ばして楽しんでほしい」と話していました。