街の本屋さんが減っていく 独自の工夫で人気集める店も

宮城県内でも仙台市にある老舗書店「金港堂本店」が今月30日に閉店するなど書店の閉店が相次いでいます。
県内の書店で作る「宮城県書店商業組合」によりますと、2014年4月に112あった県内の書店は10年後の今月現在、2割減って89店舗になりました。
組合によりますと、電子書籍やネット販売の普及のほか、小規模な店舗では店主が高齢化し、跡継ぎがいないことも閉店の要因になっているということです。

【独自の工夫でファンを獲得】
販売する新刊のジャンルを絞り、売り場には店主の目利きで厳選した本を中心に並べるなど、工夫を重ねた取り組みでファンを増やしている書店が栗原市にあります。
栗原市の六日町通り商店街にある「六日町ナマケモノ書店」は2021年に当時、地域おこし協力隊だった千田昭子さんが開きました。
売り場には、千田さんがみずからの目利きで厳選したまちづくりの本や東北にまつわる本、それに一般の人が作った小冊子、「リトルプレス」や雑貨などが並べられています。
また、個人に無料で売り棚を貸し、趣味の本などを好きなように並べてもらって販売手数料を受け取る「棚貸し」も行っています。
営業日は金曜と土日祝日、月曜だけですが「ナマケモノ」という店の名前にもあるゆったりとした雰囲気を楽しみたいと、今では地元の人だけでなく、県内外から客が訪れているということです。
ただ、光熱費などを支払うと、書店の利益だけでは生活していくのは難しく、店主の千田さんは書店が休みの日に別の仕事を行って、生活費をまかなっているということです。
それでも書店は地域の文化を豊かにするとの思いがあるという千田さんは「お客さんが来ない時には『私はこんなところで何をやっているのか』と思うこともあったが、お客さんが『こんな本がある』と喜んでくれると、場としての書店がとても大事だと感じている。本のページをめくる行為は人生を豊かにするし、書店は個人の文化を育てるところだと思うので、できる限り続けていきたい」と話していました。