木質燃料を使ったバイオマス発電所を報道公開 石巻

木を原料にした木質燃料を使った国内最大規模のバイオマス発電所の運転が、先月から石巻市で始まり、18日発電所の内部の様子が報道陣に公開されました。

石巻市で新たに稼働した施設「石巻ひばり野バイオマス発電所」は、再生可能エネルギー事業を手がける企業などが出資した合同会社が運営しているもので、18日は施設の内部が報道陣に公開されました。
この発電所では先月から運転が始まっていて、担当者が、木くずを固めた「木質ペレット」などを燃やして蒸気を作り出し、タービンを回して発電していると仕組みなどを説明しました。
発電の出力はおよそ7万5000キロワットと、木質燃料を専門とするバイオマス発電所では国内最大規模だということで、生み出された電気は東北電力ネットワークに売電しているということです。
一方、発電所の規模が大きく、1日におよそ1000トンという大量の木質燃料を使用するため、ベトナムなどからの輸入材に頼っているということで、今後は輸入材だけではなく、宮城県産のものも活用していきたいとしています。
「石巻ひばり野バイオマス発電所」の細見裕己発電所長は「震災復興や港に近いなど、いくつかの理由で石巻に施設を建設しました。安全第一に、この地域に貢献できるよう、活動を行っていきたい」と話していました。

【県内の状況と課題】
バイオマス発電は、植物などの生物資源を直接燃やすなどして発生する蒸気で、タービンを回すことで発電する仕組みです。
宮城県では、脱炭素社会の実現に向けた地球温暖化の防止につなげるため、石油などの化石燃料の代わりに自然界に存在し、繰り返し利用できる「再生可能エネルギー」の活用を推進しています。
宮城県によりますと、電力会社が電気を買い取る国の制度を利用しているバイオマス発電施設は、県内に18あり、大規模なものや自治体のゴミ焼却施設に設置されているものなど、規模はさまざまです。
県内の発電状況については、原子力と火力の発電所が多くを占めていますが、県が2022年度にまとめた再生可能エネルギーの発電設備の出力は、それぞれ合わせて▽太陽光発電がおよそ227万キロワット、▽バイオマス発電がおよそ21万キロワット、▽水力発電がおよそ7万5000キロワット、▽風力発電がおよそ2万8000キロワット、▽地熱発電がおよそ1万5000キロワットとなっていて、バイオマスは太陽光に次ぐ出力となっています。
県では震災以降、再生可能エネルギーの活用を広めようと導入を促していて、バイオマスも含めた施設のさらなる設置にも期待しているとしています。
一方で、18日公開された石巻市の発電施設も含めて、発電出力の大きい施設では木を原料にした木質燃料を燃やしていますが、県によりますと、原料は輸入に頼っているのが現状です。
そのため、燃やす原料の運搬などにコストがかかったり、原料の安定して確保したりするには課題があるということで、県は間伐材など地域のものを利用してほしいとしています。