“巨大な顕微鏡”のナノテラス 1日から運用を開始

仙台市にある世界最先端の研究施設「ナノテラス」が、1日から運用が始まり、施設が報道関係者に公開されました。

「ナノテラス」は、放射光と呼ばれる非常に明るい光で、ナノメートル=100万分の1ミリというレベルで物質を見ることができ、「巨大な顕微鏡」とも呼ばれています。
東北地方で初めての放射光施設として、国や宮城県、仙台市、それに東北経済連合会などがおよそ380億円かけて整備し、1日の運用開始にあわせて施設が報道関係者に公開されました。
ナノテラスでは、加速器と呼ばれる機器から出る電子がほぼ光の速度まで加速され、1周349メートルの円形の施設を1秒間に80万回以上も回ります。
そして、太陽の10億倍も明るく、強い光のビームを分析したい物質に照射します。
1日は、ビームの状況を監視する制御室と、ビームを照射するラインの1つが公開されました。
このうちビームラインでは、担当者が装置がきちんと使える状態にあるか確認する作業が行われていました。
この技術は、企業や大学などが医薬品や半導体、食品などの分野の研究開発で活用することが期待されています。
量子科学技術研究開発機構ナノテラス広報加道雅孝グループリーダーは「これまでにない新しい技術を導入したので整備に困難もあったが、予定どおり運用でき感無量です。地元の産業界や大学から寄せられている期待に応えられるようにしていきたい」と話していました。