卒業生は1人 “貴重な時間を過ごせた” 牡鹿半島の小学校

石巻市・牡鹿半島にある小学校で17日、卒業式が行われ、この学校で1人だけの卒業生が学びやに別れを告げました。

石巻市・牡鹿半島の寄磯浜地区にある寄磯小学校から卒業したのは、渡邉羽海さん、1人だけです。
17日に行われた卒業式では、在校生や家族が見守る中、鎌田光伸校長から卒業証書が手渡されました。
13年前の7月に生まれた渡邉さんは震災の発生当時、母親のおなかの中にいました。
津波で自宅が流され、家族は寄磯小学校に避難し、生まれる前日まで学校の体育館で過ごしました。
その後は地区の仮設住宅で過ごし家族や地域の人に支えられながら成長しました。
寄磯小学校には震災前は19人の児童が通っていましたが、震災で地区が大きな被害を受け多くの住民が離れたことで、去年、全校児童は渡邉さんを含めて2人だけになりました。
6年間、同級生はいませんでしたが、授業では地元の漁師たちの協力で漁業の体験をしたり、他の児童と兄弟のように過ごしてきたといいます。
卒業式では、父親の佳友さんが、「震災後まもなく生まれたあなたは、困難の中で明るくあたたかい太陽のような存在でした。大きく成長した姿に感動し胸がいっぱいになりました。中学校でも自信を持って進んでいってください」と祝辞を述べました。
渡邉さんは涙をぬぐいながら「私が成長できたのは、地域の方や先生、家族の支えがあったからです。寄磯小学校だからこその体験ができ、貴重な時間を過ごすことができてうれしかったです」と、感謝のことばを述べました。
来月からバスで40分かけて地区の外にある中学校に通うという渡邉さんは、「1人だからこそ地域の方や先輩、後輩とより親密に関わることができたので、寄磯小学校で生活できてよかったなと思います。中学校に行ったら同級生ができるので、みんなと仲よくしていきたいです」と話していました。