多賀城創建の年など刻んだ「多賀城碑」 国宝に指定へ

奈良時代から平安時代にかけて東北地方の政治や軍事、文化の中心として栄えた多賀城の創建の年などが刻まれた石碑、「多賀城碑」が国宝に指定されることになりました。

15日に開かれた文化庁の文化審議会は、国宝と重要文化財の指定などを盛山文部科学大臣に答申しました。
新たに国宝に指定される「多賀城碑」は、国の特別史跡、多賀城跡の中にあり地上からの高さが196センチ幅が103センチの石碑です。
奈良時代から平安時代にかけて東北地方の政治や軍事、文化の中心として栄えた多賀城が、神亀元年・724年に創建されたことを今に伝える唯一の歴史資料となっています。
また、碑面には、多賀城の改修についてや当時の都の平城京との距離などが刻まれていて、多賀城と古代東北史の解明や奈良時代の政治情勢などを考えるうえでも石碑として非常に価値が高いとされました。
県によりますと、県内で国宝に指定されるのは2001年以来7件目で、「古文書」の区分での指定は今回が初めてです。
このほか、多賀城に関連して新たに3件が重要文化財に指定されることになりました。
「宮城県多賀城跡出土品」は、発掘調査で出土した価値の高い瓦や土器など1794点で、「多賀城関連遺跡群出土漆紙文書」は、漆の作用によって土の中でも腐らず残った古代の文書29点です。
また、「多賀城関連遺跡群出土木簡」は、古代の多賀城にもたらされた物品や都にいる貴族と多賀城の上級役人がやりとりをしていたことなどを示す木簡105点です。
これにより、県内の重要文化財は69件となります。
今回の指定について、宮城県の村井知事と多賀城市の深谷市長が会見を開き村井知事は、「ことしは多賀城創建から1300年を迎える年であり、このような記念の年に国宝に指定されることとなり大変うれしく思っている」と話していました。
また、深谷市長は、「記念の年に指定していただくのはありがたい。文化財に関心がなかった人も目を向けてもらえるきっかけになるのではないか」と話していました。

【県内の国宝は】
県によりますと、県内ではこれまでに6件が国宝に指定されています。
建造物では、仙台市の「大崎八幡宮」と松島町の「瑞巌寺本堂」、それに「瑞巌寺庫裏及び廊下」です。
書跡・典籍では、東北大学に所蔵されている菅原道真が編さんした歴史書、「類聚国史巻第廿五」と中国前漢の歴史家、司馬遷が編さんした歴史書、「史記孝文本紀第十」です。
歴史資料では、仙台市博物館に所蔵されている江戸時代に伊達政宗によってヨーロッパに派遣された家臣の支倉常長が持ち帰った「慶長遣欧使節関係資料」です。