津波で母と兄亡くした男性 南三陸町に戻り家業の漁業を継ぐ

東日本大震災の発生から13年となる11日、800人以上が犠牲となった南三陸町で、母と兄を亡くした漁師は「当時は家族を奪った海が好きではありませんでしたが、いまは海の恵みや自然の大切さを感じています。ただ、13年たっても亡くなった人たちへの思いは変わりません」と話しました。

南三陸町の漁師、小野具大さん(45)は、震災の津波で母の美和子さん(当時60)と兄の雄大さん(当時35)を亡くしました。
小野さんは震災から13年となった11日も、いつも通り朝から海に出てワカメの水揚げを行い、船着き場でめかぶを切り落とす作業を行っていました。
震災当時、小野さんは塩釜市内で飲料メーカーに勤めていましたが家業の漁業を継いだ兄が亡くなったことから、自分が引き継ぐことを決意し、震災の7か月後に南三陸町に戻ってきました。
震災直後は、海を見ることさえつらかったと言いますが、父親や周りの漁師仲間に漁を教えてもらううちに、漁業の楽しさを感じるようになったということです。
小野さんは「最初は家族を奪った海が好きではありませんでしたが、漁師をしているうちに海から受ける恵みを知り、いまは自然の大切さを感じています。ただ、13年たっても亡くなった人たちへの思いは変わりません。母と兄にはこっちのことは気にせず天国で安らかに過ごしていてほしい」と話していました。