能登半島地震の被災者へ 震災当時 小学生からのメッセージ

今月1日に発生した能登半島地震では、多くの人たちが犠牲になりいまも避難生活を余儀なくされています。
NHK仙台放送局では、発生からまもなく13年となる東日本大震災を経験した人たちから石川県などの被災地の人たちへの思いを聞きました。
17日は、震災当時、小学4年生だった女性からのメッセージです。

東松島市の武山ひかるさん(23)です。
当時、小学4年生でテストを受けている途中に大きな揺れを経験しました。
いまは福祉関係の仕事をしながら、自分の被災経験などを伝える語り部の活動を続けています。
武山さんは迎えに来た家族と一緒に学校から高台に逃げ、仮設住宅に入居するまでのおよそ3か月間は、避難所を転々としながら家族5人で生活しました。
被害がどんな状況なのかわからないなかで、今後の生活への不安や、避難所のなかでの不自由な暮らしにストレスを抱えていたといいます。
武山さんは当時の心境について「何もできないからずっと座っているしかない。変な方向にというか、いつまで続くんだろうな、あの人は生きているんだろうか、この後どうなるんだろうかとか、どんどん悪い方向で思考がいってしまう」と話していました。
さらに、避難所生活で十分に睡眠が取れていない母親の姿を見て、子どもながらに気を遣い、そうしたストレスを吐き出すことができなかったといいます。
武山さんは「当時は年齢的にモヤモヤした気持ちを言語化できませんでした。避難所生活のなかで子どもは邪魔になってしまうことも多く、自分はいらない存在だと思うこともありました」と当時の自分を振り返ります。
家族も含めた多くの大人が厳しい状況に追い込まれているのを目にしてきたという武山さん。
周囲に迷惑をかけられないと思い自分の抱える気持ちを相談することはできませんでした。
武山さんは「大人の方たちも大変な状況だと思いますが、寝る前に言葉をかけるなど子どもたちが安心できる行動をとってあげてほしい。被災された方はもう十分頑張られていると思うので、頑張りすぎないでほしい。大人がまわりの人に頼っているのを見ると、子どもも頼っていいんだと思えるので、自分たちだけでやらなきゃじゃなくて、まわりの手を借りても全然いいと思います」と話していました。