県産いちご 台湾へ初輸出 仙台空港から第1便が出発

宮城県産いちごの消費拡大を図ろうと、台湾に飛行機で輸出する取り組みが始まり、16日、第1便が飛び立ちました。

台湾に空輸されたのは、亘理町や山元町の農家が生産した「もういっこ」というブランドいちごで、大粒の実と爽やかな甘さが特徴です。
県産のいちごを台湾に輸出するのは今回が初めてで、来月下旬にかけて1週間に2回ずつ、合わせて2500キロを輸出する計画です。
初日の16日、仙台空港ではコンテナに入れた250キロのいちごが台湾行きの定期便に積み込まれると、予定どおりに飛び立っていきました。
県産のいちごは、これまで香港やシンガポールに向けて成田空港から輸出されていましたが、トラックドライバーの時間外労働の規制が強化される「2024年問題」を踏まえ、陸路での負担が少ない仙台空港を活用した輸出に取り組んだということです。
JAみやぎ亘理いちご生産部会の嶋田栄一部会長は「輸出の日を迎えることができて、安心しています。台湾の皆さんにも、おいしい仙台いちごをぜひ食べてほしいです」と話していました。
16日に輸出されたいちごは、検査などを経て3日後から現地のスーパーなどに並ぶ予定だということです。

【県産いちご 輸出は5年前から】
JA全農みやぎでは、宮城県産のいちごの消費拡大を目指して、5年前から本格的な輸出に取り組んでいます。
これまでは香港やシンガポール向けに、1年間で合せておよそ1トンを輸出してきました。
しかし、これらの地域では国内のほかの産地の競争が厳しくなってきたため、新たな市場を開拓しようと台湾への輸出を始めたということです。
宮城県によりますと、県内ではJA全農以外でも、いちごを輸出している生産者がいて、タイやマレーシアなどの市場開拓に取り組んでいるということです。

【台湾への輸出 課題は残留農薬】
台湾は、国産のいちごの主要な輸出先となっていますが、残留農薬の基準が日本と異なることが、輸出拡大に向けた課題になっていました。
台湾への輸出量は、おととし、およそ260トンに上り、香港に次ぐ2番目の輸出先です。
しかし、残留農薬の基準が一部で日本よりも厳しいため、かつては現地の基準を満たさなかったいちごの取り扱いを、産地ごと取りやめる業者もあったということです。
このため今回は、国内向けのいちごをそのまま輸出するのではなく、台湾向けに当初から農薬の使い方を変えて栽培したということで、こうした対応を取ることで安定的な輸出を目指すとしています。