震災の震源域の海底で高さ26メートルの巨大な崖を発見

有人潜水艇を使って東日本大震災の震源域で海底の調査を行った東京海洋大学や新潟大学などのグループが、宮城県沖の水深7500メートルの海底で、地震によってできたとみられる高さ26メートルの崖を発見したと発表しました。
東日本大震災の断層が海底にあらわれた様子を映像でとらえたのは初めてだということです。

この調査は、東京海洋大学や新潟大学、それに海外の大学などで作るグループがアメリカの民間企業の有人潜水艇、「リミティングファクター号」を使って行いました。
調査では、新潟大学で地質学を研究する植田勇人准教授が去年9月にこの潜水艇で宮城県沖およそ200キロ地点の日本海溝に潜り、水深およそ7500メートルの海底付近を700メートルほどの範囲で調べました。
その結果、東日本大震災の震源域で海底に7階から8階建てのビルに相当する高さ26メートルのほぼ垂直の崖ができているのを見つけたということです。
周辺には角張った形の泥の塊が散乱していて、海底にたまった泥が急激に崩れた際にできたものと考えられるということです。
グループによりますと東日本大震災の前に別のグループが同じ場所で行った音波探査では、こうした地形は確認されていなかったということで地震によって海底の深い場所で断層がずれておよそ60メートル隆起し、その最も上の部分が崖としてあらわれたものとみられるということです。
東日本大震災の断層が海底にあらわれた様子を映像でとらえたのは初めてだということです。
植田准教授は「東日本大震災の際に、海底でとんでもないことが起きていたらしいということが確認できた。地震による海底の変化を詳細に把握することは、津波などのシミュレーションの精度をさらに高めていくことにつながるはずだ」と話していました。