コロナ禍で女性の自殺増加 県が対策見直しへ

宮城県は、自殺する人を減らそうと対策計画の見直しを進めていて、女性の自殺者数が新型コロナの感染拡大前より増えたことを踏まえ、女性特有の問題を踏まえた対策を強化する方針です。

宮城県は、2018年度に策定した自殺対策の計画の中間見直しを進めていて、当初の計画を策定したあとに新型コロナの感染拡大があったことから、新たな対策を盛り込む方針です。
具体的には、女性の自殺者数が、計画を策定した2018年度では108人だったのに対し、感染が拡大した2020年度には137人に増えたことを踏まえ、女性の対策についての項目を新たに設けました。
コロナ禍で働き方が変わるなか、影響を受けやすい非正規雇用の人の割合が比較的高いために雇用問題が深刻化しているとして、支援策を推進するとしています。
さらに、男性の自殺者数がこの10年あまりで大幅に減少しているのに対し、女性はほぼ横ばいで推移していることから性犯罪やDV=ドメスティック・バイオレンスの被害や、予期せぬ妊娠など、困難な問題を抱える女性を支援するため、県庁内で横断的に対応していくとしています。
また、子どもや若者についても新たに項目を設け、県内の自殺者に占める割合が増加傾向にあることから、学校でのカウンセリングの実施や教職員への研修などを進めていくとしています。
県は、こうした見直しについて意見を募ったうえで、今年度中に決定することにしています。

【電話相談窓口でも変化が…】
コロナ禍を受けて、自殺を防ぐための電話相談窓口でも変化が生じています。
「仙台いのちの電話」は、自殺予防を第一の目的としておよそ40年前に開設された電話相談窓口です。
主婦や会社員など、およそ160人がボランティアの相談員として365日、24時間態勢で悩みに応じていて、1日に40件から50件ほど寄せられる相談のうち、およそ1割が自殺志向のある相談だということです。
コロナ禍では、失業や経営の悪化など、雇用や生活に関しての相談が増えたということです。
また、大学などでオンライン授業になったことから「友人とも会えず、頼れる人がいない」といった相談も寄せられたということで、コロナ禍で雇用や人とのつながりを巡る相談が、より目立つようになったということです。
「仙台いのちの電話」の坂本陽一事務局長は「本来コロナがなくても不安な雇用状態にある人が、コロナによって、より不安な状態になって相談が寄せられたのかなと思います。『内容が重くなければ相談してはいけないのではないか』という方もいますが、話すことで気持ちが整理されたり落ち着いたりする人もいるので、ぜひ活用してください」と話していました。
「仙台いのちの電話」の番号は、022(718)4343です。
年末年始を含め、24時間、365日相談を受け付けているということです。