くらしづくり 総理大臣賞に「はなやまネットワーク」

住みやすい地域社会のためのすぐれた取り組みを表彰する「あしたのまち・くらしづくり活動賞」の内閣総理大臣賞に、栗原市で高齢者の生活支援や都市部との関係人口を増やす活動などに取り組んできた団体が選ばれました。

この賞はまちおこしを支援する「あしたの日本を創る協会」やNHKなどが主催して毎年、すぐれた取り組みを表彰しています。
このうち内閣総理大臣賞には、栗原市の花山地区で高齢者の生活支援や都市部との関係人口を増やす活動などを進めてきた一般社団法人「はなやまネットワーク」が選ばれました。
この団体は、東日本大震災などの影響で地区の人口がピーク時の4分の1まで減少したのをきっかけに地区に住む15歳以上の全住民を対象にしたアンケートを行って住民のニーズを把握し、農業や田舎暮らし体験などを通じて都市部の若者と交流会を開くなどして関係人口を増やしたほか、移動販売車による高齢者の買い物支援や見守り活動などに取り組んできました。
また、空き家を掃除して再生させる活動にも力を入れ、2017年以降、27人の移住につなげるなど、地域の活性化に取り組む多岐にわたる活動が評価されました。
「はなやまネットワーク」の佐々木徳吉事務局長は「最高賞を頂けるとは思っておらず驚いています。今後も移住対策に力を入れて若い人を呼び込み、地区に青年団を復活できるようがんばっていきたいです」と話していました。

【はなやまネットワーク 沿革と活動】
一般社団法人「はなやまネットワーク」はその前身の団体が2014年に花山地区の住民たちによって結成されました。
2008年の岩手・宮城内陸地震や東日本大震災などの影響で地区の人口がピーク時の4分の1まで減少し、このままでは故郷がなくなってしまうと住民が危機感を抱いたのがきっかけです。
団体は、住民のニーズを把握するため15歳以上の全住民を対象にしたアンケートを実施し、人口減少や地域の足がなくなるなどのさまざまな課題を解決するための構想を策定しました。
このうち人口減少対策では、3年前から「お手伝い」と「たび」をかけあわせた新しいサービスを使って首都圏の大学生などに無償で宿泊場所を提供する代わりに地域の農作業を手伝ってもらい都市部の若者と関係人口を増やす取り組みを進めています。
また、地区で増え続ける空き家問題の解消に向けて住民や移住者と「空き家片付け隊」を結成し、家財道具を撤去したり、部屋を掃除したりして空き家を再生させる活動に力を入れてきました。
このうち、3年前に東京から移り住んだ若林壮さんは(53)片づけ隊が掃除した空き家を紹介されて現在、妻と子どもの3人で暮らしています。
若林さんの移住の決め手になったのが花山地区の自然豊かな環境に加えこの団体によるきめ細かい移住支援だったということで「団体の支援がなければここに移住することはなかったので感謝しています。自分も仕事を通じて地域の活性化に役立ちたいです」と話していました。