サン・ファン・バウティスタ号「ふね遺産」に認定

江戸時代に慶長遣欧使節が乗った船「サン・ファン・バウティスタ号」が、歴史的に貴重で価値が高い船だったとして船舶海洋工学の学会から「ふね遺産」に認定されました。

「サン・ファン・バウティスタ号」は、江戸時代のはじめ、伊達政宗が、スペインやメキシコとの貿易交渉のために、ヨーロッパに派遣する慶長遣欧使節を乗せるために建造した木造の帆船で、太平洋を2往復しました。
全長およそ55メートル、横幅およそ11メートルと当時としては巨大な帆船だったとされ、1993年には、原寸大の船が復元され、石巻市内に展示されてきましたが老朽化を理由に去年、解体されました。
研究者や技術者などで作る「日本船舶海洋工学会」は、この木造帆船について「江戸初期に日本で建造された唯一の洋式の帆船で歴史的価値が高い」として、今月「ふね遺産」に認定しました。
ただ、復元船は解体され、この船を描いた一枚の絵と関連の古文書が残っているだけですが、歴史的価値のある船舶として今後、次世代に伝える機運が高まることが期待されています。
「ふね遺産」に推薦し、復元船の保存を求めてきた「サン・ファン号保存を求める世界ネットワーク」の白田正樹会長は「歴史的に貴重で偉大な船と認定されたことは宮城県の誇りです。復元船が解体されたのは残念ですが、解体前の船内で撮影した写真を活用するなどして、この船の歴史的価値について伝えていきたい」と話していました。