処理水放出 香港の輸入禁止に水産会社から懸念の声

東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出をめぐって、香港政府は福島・宮城など10の都県からの水産物の輸入禁止を24日から始めると明らかにしています。
香港と取り引きがある宮城県内の水産加工会社からは影響を懸念する声が出ています。

石巻市にある水産加工会社「ヤマナカ」は宮城県産のホタテやカキなどを加工して国内外に出荷しています。
販路を拡大しようと、13年前から始めた輸出は年を追うごとに規模が大きくなり現在はアメリカ、台湾、タイなど7つの国と地域に輸出しています。
この会社の売り上げの8割以上を占めるのがホタテで、ホタテの輸出は2014年から始め、最初の輸出先は香港でした。
現在は週に1回、香港に向けてホタテの貝柱を新鮮な生の状態で出荷しています。
香港へのホタテの輸出量はまだ多くありませんが、市場規模が大きく、重要な輸出先と捉えていて、今後、注文があれば増やしたいと考えていました。
こうした中、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出が早ければ24日から始まることになりました。
これにあわせて香港政府も24日から福島や宮城など10の都県からの水産物の輸入禁止を始めることを明らかにしました。
香港の取引先からは、放出日が決まる前から宮城県産のホタテの受け入れは今後できないと連絡が入っているといいます。
さらに、宮城県産から北海道産に切り替えることができないかという具体的な問い合わせも来ているということです。
仮に北海道産にすれば採算が合わなくなり、10年間続けてきたホタテの輸出は断念せざるを得なくなるのではないかと懸念しています。
水産加工会社の千葉賢也社長は「宮城県産の水産物の安全性にはなんら問題ないと思っているのに、どうして規制強化するのか疑問だ。いち事業者が対応できる話ではなく、頭を抱えるしかない」と話しています。