香港 宮城や福島など10都県の水産物輸入禁止へ

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、香港政府は、実際に放出が行われた場合、宮城や福島を含む10の都県からの水産物の輸入を禁止すると発表しました。

香港の食品衛生管理当局が、12日に発表した内容によりますと、香港政府は、福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐり、実際に放出が行われた場合、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、それに長野の10の都県からの水産物の輸入を禁止するとしています。
この10の都県については、新潟のコメを除いて中国政府が、すでに食品と飼料の輸入を停止していて「一国二制度」のもと、独自に輸出入の管理などを行うとしている香港政府も規制の対象地域をあわせた形です。
香港政府によりますと、12日、香港政府ナンバー2の陳国基政務官が、日本総領事館の岡田健一総領事と面会し、国際社会の理解を得る前に一方的に放出を行わないよう改めて申し入れたということです。
香港は、日本の農林水産物の主な輸出先となっていて、2022年の輸出額は中国に次いで2番目に多い2086億円にのぼり、このうち水産物は755億円と3割余りを占めることから影響を懸念する声があがっています。

【松野官房長官“極めて遺憾”】
香港政府が、福島第一原発にたまる処理水が海に放出されれば、福島や東京など10都県からの水産物の輸入を禁止するとしていることについて、松野官房長官は「極めて遺憾だ」として規制強化などを行わないよう強く求めていく考えを示しました。
午前の記者会見で、松野官房長官は、香港政府に対しこれまで、日本の食品の安全性に関する情報提供を行ってきたほか、今回の処理水の放出計画についても、IAEA=国際原子力機関の報告書で国際安全基準に合致しているとの結論が示されたことを丁寧に説明してきたと強調しました。
その上で「極めて遺憾だ。引き続き、香港政府に必要な情報提供を行うとともに、科学的根拠に基づき、規制の早期撤廃と、さらなる規制強化を行わないことを強く求める」と述べ、規制強化などを行わないよう強く求めていく考えを示しました。