福島第一原発 処理水放出するトンネルに海水注入開始

福島第一原子力発電所にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、東京電力は5日から、処理水を沖合に送る海底トンネルを海水で満たす作業を開始しました。
施設の工事は、トンネル先端の重機の回収と水槽の建設の一部を残すのみとなり、東京電力は6月末までに完了させる計画です。

福島第一原発にたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、政府は基準を下回る濃度に薄めてことし夏ごろまでに海に流す計画で、東京電力が施設の工事を進めてきました。
このうち、ことし4月下旬に掘り終えた、処理水を沖合に送る海底トンネルについて、東京電力は、機材の撤去が終わったことから、5日午後3時半ごろ、海水を入れる作業を始めました。
トンネルは6日昼ごろにも海水で満たされ、東京電力は、今後、先端に残されている掘削用の重機を回収すればトンネルの工事が終わるとしています。
これ以外は水槽の一部の工事が残るのみで、東京電力は6月末までにすべての工事を完了させる計画です。
一方、処理水の放出をめぐっては、風評被害を懸念する漁業者などが一貫して反対していて、国が示す放出の時期が迫る中、どのように理解を得るかが焦点となっています。