ストーリー野球

選手人生の分岐点 危機感は強い

2021-02-16 午後 04:11

3年前までスコアボードに彼の名があるのは当たり前だった。ソフトバンクの”今宮健太”。

5年連続ゴールデングラブ賞に輝いたショートだ。その名手が去年までの3年間、けがで思うような成績を残していない。

「選手人生の分岐点」

かつての不動のショートはインタビューでそう語った。その危機感は強い。

ケガに苦しんだ3年間

2013年 初のゴールデングラブ賞に輝いた今宮選手

 

2013年から5年連続ゴールデングラブ賞を獲得。この間、チームはリーグ優勝、日本一をそれぞれ3回。今宮選手は不動のショートとして輝いていた。

しかしその状況は2018年に一転。以降3年間、けがに苦しんだ。

そして昨シーズン、出場は43試合にとどまった。1軍デビューを果たした2011年の18試合以来のさびしい数字だった。

今宮 選手

3年間まともにプレーできていないし、そういったことになってしまって「本当にこのまま終わってしまうんじゃないかな」っていう焦りというか、ことしは危機感を持っている。

復活を期すことし

今宮選手は昨シーズン途中、ふくらはぎのケガで1軍を離脱した。それでもその後は順調なリハビリを経て、けがは回復した。

「不安はないですね」

ことし1月の自主トレーニングでは笑顔でそう話し、そのままの状態で春のキャンプを迎えた。

 

キャンプでバッティング練習を行う今宮選手

 

キャンプ2日目。そこにはバッティング練習でフェンスを越える当たりを連発する今宮選手の姿があった。小久保裕紀ヘッドコーチからかけられたことばも自身が感じていた手応えを後押しした。

今宮 選手

小久保ヘッドから「12年目にしてやっと形が固まったな」と言ってもらった。ここまで来るのに長かった。ここからしっかり頑張っていく。

追い上げるライバル

ポジションを争う川瀬晃選手、周東佑京選手、牧原大成選手(左から)

 

今宮選手が苦しんだ3年間、チームはすべての年で日本一に輝いた。不動だったはずのショートのポジションは主に3人がついた。23歳・川瀬晃選手、25歳・周東佑京選手、28歳・牧原大成選手、年下の3人だ。

今宮 選手

若い選手がたくさん出てきている。結果を残している姿を見ると正直焦りも感じたし、ゆっくりしている時間はないと思った。

 

同じ内野手を自主トレーニングに集める

 

今宮選手はことし1月の自主トレーニングに周東選手と川瀬選手を招いた。特に目をかけたのは、昨シーズン、50盗塁で育成出身初の盗塁王に輝いた周東選手。昨シーズン、送球ミスなどが目立ちエラーの数はリーグワーストの12個だった。今宮選手はそんな後輩に自身が培ってきた守りの技術を惜しみなく伝えた。

 

焦りを感じながらも、ポジション争いの相手であるライバルに塩を送る。フォア・ザ・チームの精神に、常勝集団の強さの秘密の一端をかいまみた。一方で今宮選手は、後輩にアドバイスを送るのは自分のため、ともいう。

今宮 選手

ライバルだからといって「教えたくない」という気持ちはない。逆に教えることでいろんな選手のレベルが上がれば僕もレベルを上げていかないといけなくなる。教えている立場で勉強になることは多々ある。

ケガをしない1年に

「ことしは絶対にケガをしない」

幾度となくケガを経験してきた29歳は、体のケアには細心の注意を払う。

 

キャンプ3日目 リハビリ組に移った今宮選手

 

キャンプ3日目には、ふくらはぎの痛みの再発のおそれを感じてリハビリ組に移った。「今は無理をする時期ではない」と判断したからだ。当面はリハビリ組に身を置きながら、ふくらはぎに負担がかからない体の使い方の習得を目指す。

今宮 選手

ケガなく1年やれたらと思うし、たとえ結果が出なくてもケガなくやっていれば野球ができる。「自分は大丈夫」だと思ってやっている選手は間違いなくいないと思うので、このキャンプで結果を残して、開幕の日に向けて全力でやっていけたらなと思う。

選手生命の分岐点

巨人のV9以来となる5年連続の日本一を目指すソフトバンク。年を重ねるごとに選手層の厚さは際立ち、ケガなどで離脱すると容赦なくその穴は埋まる。そのことを痛感した今宮選手はこの1年を「選手人生の分岐点」と位置づける。

今宮 選手

(ライバルは)自分です。余裕なんてない。キャンプでは自分のことだけを考えて野球をしたい。今シーズンは今までで1番よかった成績を超えたい。もっと高いレベルでやっていきたいし、そこに向かって全力を尽くしていきたい。

 

チームを思い、後輩を思い、そして自分を思う。ことしの目標は"キャリアハイ"。

 

復活のためには、ケガだけは避けないといけない。グラウンドで背番号「6」が輝きを放てば、チームにとってこれほど心強いものはない。

この記事を書いた人

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福原 健 記者

平成30年NHK入局。1年目に警察担当記者を経て、ソフトバンク担当2年目。趣味はラーメン屋の開拓。

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