ストーリー野球

“原点回帰”で偉業達成へ

2021-02-15 午後 06:15

西武は不思議な球団だ。前身の西鉄時代には怪童と呼ばれた中西太。80年代から90年代の黄金時代には石毛宏典、秋山幸二、清原和博といったプロ野球の歴史を語る上で欠かせない名選手を輩出してきた。

 

しかし生え抜きの打者の名球会入りはこれまで1人もいない。こうした中、球団の歴史に名を刻もうとする37歳がいる。

真新しいユニフォームで気合い

 

2月1日の西武キャンプ初日。グラウンドに1人、真新しいユニフォームを着た選手がいた。栗山巧、37歳。キャンプ地の宮崎県日南市は南国といっても、この時期はまだ肌寒い。若手が暖かいトレーニングウエアを着て練習に参加する中、20年目のベテランは偉業に挑むシーズンへの意気込みを示していたのだ。

栗山選手

一番目立ったろうと…。それは冗談ですけど、初日はしっかりユニフォームを着てプレーしたいと思っていました。スタートは毎年新鮮だし、期待と不安が入り交じりますが、ことしは無観客で見てもらう緊張感がないので、自分たちで作り上げていくしかない。また違う緊張感をもってやっていきたいです。

 

去年つかんだ打撃の手応え

(2020年7月26日 通算350二塁打を記録した栗山選手)

 

このキャンプで栗山が取り組んでいるのは『鋭く速い打球』を打つ基礎固めだ。中距離打者として、プロ19年で1926本のヒットを積み上げきた。栗山が理想という『鋭く速い打球』に行き着いたのは、去年の新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中と、実はそれほど前のことではない。ベテランと言われる年齢になる中、おととしまで3年連続で打率2割5分台にとどまった。自身のバッティングをとことん見つめ直し、行き着いた答えだったのだ。

栗山選手

(このところ)なかなか打率が上がらなかったり、自分の思ったようなバッティングができなかったりがありました。パ・リーグには先発で150キロを超えるピッチャーが多い。これに対応していかないといけないということで、意識の問題もあるのかなと思っています。鋭く速い打球を打てば、なんとか対応できるんじゃないかと思って始めました。

 

昨シーズンの西武は打線の中軸を担ってきた山川穂高や森友哉が極度の不振に陥った。そうした中で『鋭く速い打球』を意識した栗山の存在感が光った。打率はチームトップをマーク。10年ぶりに4番を務め、指名打者では初めてベストナインに選出されたのだ。

 

栗山選手

昨シーズンは手応えを感じる打席や日があって、これを続けていけば、もっと磨きがかかっていくかなと思いました。

 

手応えを確かなものにしたい

 

キャンプ序盤、チームメートが昼食の時間帯。栗山は室内練習場に出向き、1人バットを振り込んでいた。スタンドに置いたボールを打つ“置きティーバッティング”を繰り返し、原点回帰とも言えるバットの芯で確実にボールを捉えるスイングを繰り返した。

栗山選手

ボールの内側をたたくとか、下側をたたくとか、いろいろあると思うんですけど、シンプルにボールの芯をバットの芯で打ち抜けば、フリー打撃、ゲームでもいい打撃ができるんじゃないかと。それが鋭く速い打球につながるんじゃないかということです。

 

独自の調整が認められたベテランは、ピッチングマシンを使った打撃練習などを映像で繰り返しチェック。若手顔負けの1日に1000球を打った翌日にも500球から600球を打ち込むなど、みずから厳しいノルマを課した。

 

栗山選手

アベレージで500球前後、700球、800球、振れるときがあったらいいですし、そこで自分がどれくらい追い込める日を作れるか、何日それを作れるかと思っているところです。

 

フリーバッティングでは成果も

 

第2クール最終日の2月9日には、キャンプで初めての特打。見せた94スイングには、理想とする鋭く速いライナー性の打球が多く含まれていた。

栗山選手

それなりに手応えはあるかなと感じています。ただ課題がしっかり残るところもありました。今やらなくちゃいけないこと、今やりたいことをもっとやっていきたいですね。

 

西武で生え抜き初の2000本安打を目指す栗山。鋭く速い打球を打つ技術に磨きをかけたその先に、偉業達成が待っている。

 

栗山選手

足元をしっかり見つめ、1打席1打席、目の前の1球で1本でも多くヒットを打つ。その先に2000本安打があります。大きな目標ですし、みなさんが期待してくれている部分だと思うので、早く到達できるようにやっていきたいです。

この記事を書いた人

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持井 俊哉 記者

平成26年NHK入局

北九州局を経て、スポーツニュース部。プロ野球の西武を担当。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。

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