ストーリー野球

「まだまだ下手くそ 必死に食らいつく」

2021-02-12 午後 07:00

巨人の4番といえば、長嶋茂雄、王貞治、松井秀喜、最近では阿部慎之助と、その時代のプロ野球を彩ったそうそうたる面々が並ぶ。監督の原辰徳から若大将と呼ばれる第89代の4番も去年は2冠に輝き、その系譜を受け継ぐ一歩を踏み出した。プロ7年目の目標は意外にも・・・

絵馬に託した思い


巨人のキャンプ地・宮崎市にある青島神社。キャンプ初日の練習前に訪れた岡本和真はことしの目標を絵馬にしたためた。そこに書かれていたのは「日本一」と「GGとる」のふたこと。日本一はセ・リーグ連覇を果たしながら、ソフトバンクに2年連続4連敗した雪辱を期す覚悟。そしてGGは守備のすぐれた選手に贈られるゴールデングラブ賞をねらう決意で、本人はひそかにずっと受賞したいと考えていたのだ。

 

岡本 選手

バッティングだけじゃなくて、守備もできた方がかっこがいいかなと。ピッチャーが頑張って投げてくれている時に、しっかりアウトにしたい気持ちもあります。

守備練習を打撃につなげる

 

岡本はキャンプ序盤、ゴールデングラブ賞を目指すと宣言したとおり、サードの守備練習で意欲的に汗を流した。新たに野手総合コーチに就任した村田修一が行うノックでは、激しく左右に振られる中、低い姿勢からの捕球動作を体に覚え込ませた。こうした練習の積み重ねが下半身強化につながり、バッティングにも好影響を与えるというのだ。

 

岡本 選手

バッティングは下半身の力を上に伝えて打つもの。守備練習では股を割ったり、細かい動きだったりがあり、自然と下半身が強くなります。それによって下半身でバットを振るリズムを取ることができます。メンタル的にもエラーをするよりはしないでいいプレーをできたほうが『よっしゃ、こんどは打ってやろう』と気持ちよく打席に入れます。

さらなる打撃力向上へ

岡本は去年、出場した試合はすべて4番を打ち、初のタイトルとなるホームランと打点の2冠王になった。みずからの打撃でチームをセ・リーグ連覇に導いたが、まったく納得していないという。

 

日本シーズンでソフトバンクに2年連続でまったく歯が立たず、岡本自身も打線を引っ張るどころか、4試合でわずかヒット1本に抑え込まれたからだ。不振の理由ははっきりしている。ソフトバンク投手陣の150キロを超える速球を打ち返せなかったからだ。

 

 

このため、キャンプで新たに取り組み始めたのが、ピッチャーに従来より近い距離から投げてもらうフリーバッティング。設定は試合の時より約6メートル手前の12メートル50センチ。約105キロのボールが、体感速度では150キロを超えるという。岡本も効果を口にする。

 

岡本 選手

いつもの距離だったら極端な話、ちゃんと打てなくても、いい当たりが行くというのはあったと思います。それが今はしっかり振らないといい当たりがいかないし、すごくいい練習です。『あぁ詰まったな』と思ったときも、しっかり押し込んで振り切れるようにとか、変化球を待ちながらボールを打ったりとか、自分でいろいろ工夫しながらやっています。

 

村田にこの取り組みの意図を聞いた。

 

村田コーチ

このところはツーシームやカットボールなど、落ち球系をどう攻略するかが主流でした。ピッチャーのストレートの速度が12球団で全体的に上がってきています。攻略するには、今まで通りでは無理ということです。近い距離で打って、体感速度を上げて、それを普通にしようということで始めました。

25番をつけた師弟関係

 

岡本は指導を受ける村田と共通点が多い。村田も現役時代、巨人で4番サードを担い、通算では2回のホームラン王と3回のゴールデングラブ賞に輝いた。また25の背番号はこの2人の間で引き継がれている。

 

岡本 選手

村田さんは僕の中でずっと憧れていた人です。今はコーチとして指導していただいているので、すごくそれはありがたい。(技術面の指導で)基本なことを言われていますが、大事な部分なので、しっかりやろうと思っています。

 

村田 コーチ

和真とシーズンを一緒に過ごすのは久しぶりなので、楽しみにしていました。守備に関して取り組む姿勢はすばらしいものがあります。ただ去年は気の抜いたエラーが数個あったと聞いています。それがなくなれば、ゴールデングラブ賞にも近くなると思います。

 

 

 

チームの若大将と称され、攻守にさらなる成長が期待される24歳。巨人の9年ぶりの日本一には、この男の大舞台での活躍が欠かせない。

 

岡本 選手

(ソフトバンクに)2年連続4連敗というのは、本当に情けないですし、恥ずかしいことです。まだまだ下手くそなので、必死に食らいついてやっています。勝つことが一番喜んでもらえるところだと思うので、その勝ちに貢献できるように、もっともっとレベルアップして頑張りたいです。

この記事を書いた人

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川本 聖 記者

平成22年NHK入局。さいたま局、宮崎局、松山局を経てスポーツニュース部。

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