ストーリーバドミントン

奥原希望 「五輪への道」の舞台裏に密着!

2019-06-21 午後 05:27

オリンピックの日本代表の座をつかむために世界各国の選考レースを転戦する選手が数多くいます。バドミントン・女子シングルスの奥原希望選手もその一人。現在世界ランキング3位。4位の山口茜選手とともに東京オリンピックで金メダルが期待されています。

 

2019年6月、その選考レースがオーストラリアでスタート。参加する大会はほぼ海外で、国内合宿なども含めると、遠征の日数は年250日にも及びます。

 

今回、奥原選手の海外遠征の舞台裏に密着。長い戦いを乗り切るために欠かせないアイテムは?さらに今年から始めた新しい取りくみとは?アスリートの素顔に迫りました。

こだわりの大荷物の中身は…

6月2日。オーストラリア・シドニーの空港に降り立った奥原選手。取材班がまず驚いたのは、その荷物の量でした。

 

 

1週間余りの遠征ですが、カートにはキャリーバッグ2つにボストンバッグも2つ。しかもそれぞれが大きい!一体中には何が入っているのか、聞いてみると…

 

「まあいろいろですね。“こだわりのもの”は結構あるんで。」

 

ホテルに入ったところで、そのこだわりの中身の一部を見せてくれました。

 

まず取り出してくれたのは、体のケアに使う道具たち。見慣れないものもありますが、よく見てみると私たちの生活にも身近なものも…。

 

 

「これは・・・百均の突っ張り棒なんですけど、これでお尻とかあばらとかを、コロコロしながらほぐんです。」

 

トップアスリートも、意外と身近なものでケアをしていました。これ以外にも、筋肉をほぐすグッズが数種類。さらに毎回遠征に持ってきているのが、体重計。

 

「体重の変化と簡単な体組成もはかれるんで、その変化でコンディションを維持してます。体重落ちてきたらエネルギーちょっと取ろうとか。」

 

海外を転戦する過酷な選考レースに挑む奥原選手。何よりも恐れているのはケガです。

五輪を見据えたプロ宣言

奥原選手の身長は、海外のライバルたちより頭1つ低い1m56cm。時には20センチ以上の身長差がある相手と戦うこともあります。その体格差を埋めるために築き上げたのが、シャトルに食らいつく粘りのプレー。しかしこのプレースタイルはもろ刃の剣でもあります。

 

 

体勢を崩しながらシャトルを追い続けることは、足への負担が大きいのです。2013年に左膝、その翌年には右膝の半月板を損傷。その後も度重なるけがに苦しめられてきました。

 

 

少しでも体への負担を減らすために、2018年12月、奥原選手は大きな決断を下しました。所属していた実業団チームを退団し、プロに転向したのです。

プロになれば、選考レースの合間に開催される実業団の国内大会への出場を回避できます。バドミントン選手としては異例の決断でした。

 

奥原希望選手

これだけスケジュールがハードな中で、国内戦も戦い切るのは、やっぱり私のこの小さい体では厳しいかなと判断しました。本当に東京オリンピックだけに集中するには、プロの環境がいちばんベストだろうと。

けが防止のために心強い仲間

今回の遠征、奥原選手は、オーストラリアに心強いパートナーを連れてきていました。


専属トレーナーの片山卓哉さん。同行してもらうのは今回が初めてです。

 

 

片山さんは奥原選手の体の動きを細かく確認。バランスに乱れはないかチェックします。これも、ケガのリスクを少しでも減らすための試みです。

 

片山卓哉さん

すぐ練習での動きを見てフィードバックできるのが、同行するメリットですね。ケガの防止とパフォーマンスの向上。その両方を同時に上げていかないといけないので。

奥原選手

直接やってもらえると、言葉のニュアンスとかのずれはないと思いますし、ケガの防止のためには絶対大きいと思います。

遠征を支える食事は自炊!

この日、奥原選手が向かったのは地元のスーパー。遠征中は自炊する事が多いといいます。自分で栄養を考えながら、野菜を次々と選んでいきます。

 

 

ホテルに戻ると調理へ。自炊するために電気で調理できる鍋、さらに炊飯器も持参しています。あの大荷物の中にはこうした調理グッズも含まれていたのです。

 

 

この日のメニューは鍋料理。といっても、ホテルの部屋にもちろんキッチンはありません。バスルームの洗面台を調理場にして、キッチンバサミでどんどん野菜をカット。キノコや魚介類と一緒に鍋に入れ、あとは加熱。

 

「うわ~めっちゃいいにおい!」

 

慣れた手つきで30分。特製の鍋が完成!と同時に炊飯器のご飯も炊きあがります。タイミングもばっちりです。今日の料理のこだわりのポイントは?

 

「とりあえずビタミンD重視です。サケとしいたけを使って。あとは緑黄色野菜ですね。」

 

 

トレーナーの片山さんもその味には「うん、おいしい」と満足した様子。それを聞いた奥原選手も「よかったです」と安どの表情。 こうした地道な積み重ねを、これから1年間続けていきます。

 

とはいえ、ストイックな時間ばかりでは長い遠征は乗り切れないもの。試合の前日、奥原選手は街へ出ました。日本代表の仲間と訪れたのは、地元で人気のタピオカドリンクのお店です。

 

 

「試合以外もピリピリしてたらやってらんないです。だって海外で250日以上ですよ!」

 

気の置けない仲間たちと時間を過ごし、試合に向けて英気を養いました。

五輪への道は始まった

さまざまな工夫を凝らして臨んだ、選考レースの初戦。奥原選手は準決勝まで勝ち上がりました。相手は自分より身長が13センチ高い、世界7位の選手。大会4試合目の疲れも見せず、軽快なフットワークでストレート勝ち。決勝は敗れましたが、新たな環境で臨んだオリンピック選考レースを順調に滑り出しました。

 

奥原希望選手

全然疲労がたまる事なく、コンディション的には本当に悪くなかったと思います。しっかり長い目で見つつ、目の前の1試合1試合を勝ち抜いて行くしかないですね。

 

奥原選手は2019年7月、インドネシア、日本、タイでの大会に出場予定。オリンピックへの道はまだ始まったばかりです。

 

 

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