ストーリーカーリング

ピョンチャン五輪から2年!カーリング界はどう変わった?

2020-02-07 午後 0:00

 

ピョンチャンオリンピックでのロコ・ソラーレ(当時LS北見)の活躍によって大きく注目を集めたカーリング。「そだねー」や「もぐもぐタイム」といった言葉も話題となり、それまでカーリングを知らなかった人にも知れ渡ることとなりました。

 

あれから約2年――。

 

日本のカーリング界はどうなったのか?元カーリング日本代表で現在は解説者としても活躍する市川美余さんにお話をうかがいました。

ピョンチャン後、どんな反響があった?

ピョンチャンオリンピックでメダルを獲得したLS北見(現ロコ・ソラーレ)。本拠地・北見での凱旋パレードでは1万人以上が集まった

カーリングの体験希望者が増えた!

――北海道や軽井沢以外の地域の人にとって、カーリングはあまり身近なスポーツとはいえませんでした。ピョンチャンオリンピックの後、カーリングの知名度そのものも上がったのではないですか?

 

市川美余さん(以下、市川):はい、それにカーリングを体験してくれる人がすごく増えました!旅行で近くまで来たついでに体験してくれたり、それまでは「興味はあるけど、体験できる場所が遠いからな……」で止まっていた人がわざわざ体験をしに来てくれたりといううれしい変化がありましたね。

 

――体験会やカーリング教室といった、カーリングをやれる機会も増えたのでしょうか?

 

市川:増えましたね。カーリングができる会場自体はそれほど変化ないですが…。

カーリングってルール自体はシンプルなんですが、いざやってみると戦術が深いのでどんどんハマっていく人も多かったみたいです(笑)。

 

私の周りでも「カーリングをやってみたい」と言ってくれる人がいましたし、今まではこんなことがなかったので驚きました。カーリングに興味を持って話しかけてくれる人が増えたのと、これまでカーリングに興味があった人はより深いところにハマっていきましたね(笑)。

 

観客の男女比率に変化が!?

――実際に体験する人が増えたということは、試合に足を運ぶ人の数にも変化があったのではないですか?

 

市川:見に来てくださるお客さんの数もかなり増えましたね。これまでは圧倒的に男性が多かったのですが、今は半々くらいかな。ロコ・ソラーレに憧れる子供や興味を持ってくれた女性も増えました。

 

――テレビで観るだけでなく、生で観戦してみたい!と思った人が増えたのでしょうね。

 

市川:ロコ・ソラーレや女子カーリングだけではなく、男子カーリングの観客もすごく増えたんですよ!それまでは観客数の差が本当に顕著でした…。でもオリンピック後は男子チームを見に来る女性のお客さんもとても増えました。

 

ピョンチャンオリンピックに出場したSC軽井沢クラブ。大会後、山口剛史選手(左から2番目)を除く全選手が他のチームへ…

 

――現在、特に注目を集めているのはどのチームでしょう?

 

市川:女子はやっぱり4強と言われるロコ・ソラーレ、中部電力、北海道銀行、富士急ですね。男子に関しては、ピョンチャンオリンピックでSC軽井沢クラブを知ってくれた人はそこに所属していた選手を追いかけて応援したりしているみたいですし、今はコンサドーレが一番注目されています。

 

サッカーでおなじみ“コンサドーレ”が2018年に発足したチーム。元SC軽井沢クラブの清水徹郎選手(左から2番目)も合流

試合中の盛り上がりポイントが変わった!?

――お客さんの数が増えると、試合会場の雰囲気や試合中の反応も変わりそうですね。

 

市川:それはもう、すごく変わりました!以前はいいショットが打ててもお客さんに伝わらなくてシーンとしてしまうこともあったんですが(笑)、今はお客さんもカーリングを分かって観てくれているというか、「いいぞ、いけいけ!」と盛り上がってくれるようになりました。

 

――ということは、もしミスショットがあると「あ〜あ…」なんて反応も…??

 

市川:あります、あります(笑)。でもそれでいいんですよ。うれしい時は一緒に喜んで欲しいし、ミスした時は一緒に残念がってくれる。その方が選手はうれしいですから。

 

ピョンチャンオリンピック直後に開催されたミックスダブルス日本選手権では青森県の会場が満員に

あれから2年。増加したファン、今は…??

――ピョンチャンオリンピックから2年が経ちましたが、あの盛り上がりはいまどうなっているのでしょう?まさか元に戻ってしまっていたり…。

 

市川:残念ながらメディアで取り上げられる機会はすごく減ってしまったのですが、今は東京オリンピックに関心が向いているのでしょうがないかなとも思っています。そこはオリンピックが終わったあとの来シーズンが勝負ですね。

 

一方で、試合を見に来てくださるお客さんの数はある程度維持できているのではないでしょうか。応援の仕方は人それぞれで、アイドルグループのファンと同じように、チームを応援する“箱推し”の方もいれば、特定の選手を応援する“単推し“の方もいます(笑)。

 
そして、競技人口が大きく増えたわけではないのですが、趣味でカーリングを始める人も増えています。

 

男女の人気選手がペアを組むミックスダブルスも魅力!写真は2019世界選手権での山口剛史選手と藤沢五月選手

 

市川:応援してくれる人が増えたこと以外にも、この数年でいろいろな変化が起きています。現役選手やOB・OGで構成されるアスリート委員会からの提案で、日本選手権への出場をかけた選考方法も変わりました。より多くのチームにチャンスがあり、日本のカーリング全体のレベルアップも兼ねた方法として「WCT最上位枠(※1)」や「ワイルドカード枠(※2)」もここから誕生しました。

 

※1…前年度の優勝・準優勝チームを除いて、ワールドカーリングツアー(WCT)ランキングで最上位のチームに出場権を与える枠。ただし、WCTランキング50位以内が条件。ワールドツアーに参加していると国内予選に参加することが困難になることから、その健闘を反映するべく新設された枠

 

※2…各ブロック選手権で優勝を逃した2位のチームでトーナメントを行い、勝利した1チームが日本選手権に出場できる敗者復活枠

 

市川:また、選手たちの意識にも大きな変化があったと思います。ロコ・ソラーレがピョンチャンオリンピックで銅メダルをとったことで、今までは届かない夢だったのが現実的になったというか。自分たちもそこに行きたい、行けるかもしれないといったように、世界に目を向けることができるようになったと思います。実際、日本のカーリングはとてもレベルアップしてきています。

 

――そんなカーリングに今後もぜひ注目してもらいたいですね。

 

市川:軽井沢や北海道などへの旅行のついでに体験してもらうのもいいですし、試合の中継を見て“箱推し”でも“単推し”でも好きなチームや選手を見つけてもらうのもいいと思います。また、2021年の日本選手権ははじめて関東(横浜)で開催されるので、今年の日本選手権を見られない方や、はじめての方にもおすすめですよ!

市川美余(いちかわ・みよ)

長野県出身、1989年生まれ。
元カーリング女子日本代表・元中部電力カーリング部主将。
7歳からカーリングをはじめ、2005年の日本ジュニアカーリング選手権で優勝。
高校卒業後の2008年に中部電力に入社し、カーリング部に所属。
2011〜2014年、日本カーリング選手権4連覇。
日本カーリング界の人気を支えるも2014年に引退し、現在は解説者として活躍中。

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