ストーリー野球

ヤクルト・嶋基宏選手 恩師の古巣で輝く

2020-03-09 午後 0:00

プロ野球・ヤクルトに移籍した35歳の嶋基宏選手は、2月に亡くなった野村克也さんから楽天時代に3年間、指導を受けました。その野村さんが、かつて監督を務めた新天地でもう一度輝こうとしています。

 

“優勝”への強い思い

 

2月27日、必勝祈願のため明治神宮を訪れた嶋選手。絵馬に今シーズンの目標を書き込みました。

 

嶋基宏選手

やっぱり優勝でしょう。ここまできたら自分の成績よりチームの優勝。それだけです。

 

絵馬に記した“優勝”への強い思い。

背景には、その月に亡くなった野村さんの存在がありました。新人の時から3年間、キャッチャーとしての基礎をたたき込んでくれた恩師です。

亡くなった当日、野村さんへの思いを聞かれた嶋選手は,涙ながらにこう語りました。

 

 

嶋基宏選手

現役のキャッチャーで野村監督が最後に教えたのが僕だと思う。
『お前は名捕手になって、優勝チームに欠かせないキャッチャーになれ』と最後に言われました。

チーム背負う“責任感”

嶋選手が今も大切にしている野村さんの教え。その1つはキャッチャーがチームの勝敗を背負うという責任感を持つことです。

 

嶋基宏選手

ピッチャーの生活やチームの生活、ファンの喜びや悲しみが僕の指1本(サイン1つ)で決まるときもあるし、逆にこの指1本でみんなを幸せにすることができる。『(リード)1球1球に根拠を持て』と常に言われていました。

失った“自信”を取り戻す

移籍したヤクルトは去年、チーム防御率が12球団ワーストと低迷。

嶋選手は若いピッチャーが自信を失っているように感じました。4年目の中尾輝投手もその1人。

 

 

おととし中継ぎで54試合に登板し7勝をマークをしましたが、去年は勝ち星なしで、防御率8点台に終わりました。キャンプ中の2月21日、ブルペンで中尾投手のボールを受けた嶋選手。「いい球だ!」。「去年、お前に抑えられたから!」。「差せる(差し込める)ねー、今のは」。投球練習中、前向きな言葉をかけ続けました。

 

嶋基宏選手

自信を持って投げないボールには決して魂が入っていない。
 『大丈夫だよ、本当にお前のボールは大丈夫だから』と言われるのと、『なんだお前、そのボール』と言われるのとでは絶対に魂の入り方が違ってくる。

 

その翌日(2月22日)のオープン戦。嶋選手がベンチで見守る中、ノーアウト二塁三塁のピンチで登板した中尾投手は連続三振を奪い、無失点で切り抜けました。

 

中尾輝投手

調子が悪いときもそういうふうに声をかけてもらったら自分は大丈夫だなと思える。自信を持ってストライクゾーンに投げることができた。

若手に成長の“ヒント”を

 

去年4勝の5年目、高橋奎二投手は150キロを超えるストレートが持ち味の左ピッチャーです。球団からは将来の「左のエース」として大きな期待をかけられていますが、さらなる飛躍には変化球のレベルアップとバッターとの駆け引きが課題にあがっています。2月29日のオープン戦。先発した高橋投手とバッテリーを組んだ嶋選手はこうアドバイスを送りました。

 

嶋基宏選手

いつも120%の力で 投げようとするな。70%か80%でいい。まっすぐばかりでなく、いろんな球種を使うことで幅が広がるし、相手から見たイメージも変わる。

 

この試合、高橋投手は4回2失点。巨人のモタ選手にフルカウントからチェンジアップが甘く入り、ツーランホームランを打たれた唯一の失点場面について、こう振り返りました。

高橋奎二投手

失投と言えば失投だけど、いつもならまっすぐを投げていたのであそこでチェンジアップを投げられたのは収穫だった。嶋さんがいいヒントを与えてくれているので自分の中で理解しながらやっていきたい」と成長のきっかけにしようと前向きに捉えました。

「僕も勉強ですよ」と笑う嶋選手ですが、若手ピッチャーの間には確かな変化があらわれています。

恩師の古巣で輝く

嶋選手は野村さんからの教えを生かし、恩師が監督として3回の日本一に導いたヤクルトをもう一度、浮上させる覚悟です。

 

嶋基宏選手

チームが優勝するために、試合に出る出ないは関係なく、何をすればチームが勝てるのかというのを考えて、それをしっかり行動に移してやっていきたい。

武田善宏

平成21年入局 鹿児島局、福岡局を経てスポーツニュース部。現在、野球担当としてプロ、アマチュア、国際大会など野球取材に全国各地を飛び回る毎日です。

 

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