ストーリーカーリング

王者コンサドーレとライバル TM軽井沢、強さの秘密は? カーリング日本選手権・男子

2021-02-07 午前 07:00

2月8日〜14日に開催されるカーリング日本選手権。カーリング日本一を決めるのはもちろん、2022年北京オリンピックの代表権がかかっています。スピードとパワーが魅力の男子で優勝候補と目されているのが前年度優勝したコンサドーレです。その強さの秘訣はどこにあるのか。また、ライバルチーム、TM軽井沢の勝機とは。大会を楽しむためのとっておきの情報を、オリンピアンであり、NHKの中継番組で解説を務める敦賀信人さんに教えていただきました。

日本選手権2連覇中!コンサドーレの強さの秘訣とは?

ーー去年まで日本選手権を2連覇している王者コンサドーレですが、まずはどんなチームなのでしょうか?

 

若手からベテランの阿部晋也選手まで、総合的に見て今日本で最も強いチームではないかと思います。ミスも少なくて一人一人のスキルも高いので、世界で通用する、世界で勝てるチームだと私は思います。ただ、日本選手権を2連覇してすごく順調に来ていたと思うのですが、今シーズンは海外遠征に行けなかったり、チームのメンバーも分かれて練習をしたりと、なかなか環境的に難しかったチームのひとつだったのではないかと思います。

 

2019年 カーリング日本選手権 表彰式

 

ーーコンサドーレの強さの秘訣や魅力はどんなところにありますか?

 

彼らのすごいところは、スキルが高いチームでありながら毎回基礎練習ばかりやっているところです。野球でいうところのキャッチボールのような基礎ができないと、カーリングにおいては簡単なショットもできません。ストーンをハウスに入れる練習だったり、相手のストーンをハウス外にはじきだすテイクアウトショット、ストーンのラインコントロールなどの基礎練習をやりながら自分たちの状態を上げていっているような感じがしますね。

 

もうひとつ、他のチームではあまり見られないんですけれど、練習で一投一投にかける時間がものすごく長いのもポイントだと思います。というのは、若いチームは与えられた時間の中でたくさん投げることに重きを置くことが多いのですがコンサドーレは一人で練習している時もチームで練習している時も、試合の様々な状況をイメージし、どういう風に投げたらそのショットが決まるか、一投ずつ時間をかけて考えて投げます。僕も、選手時代には試合の局面ごとに色々なゲーム展開をイメージしながら投げていたのですが、練習の時からやらないと試合ではできません。

 

 

ーー チーム全員が実力のある選手だということですが、とくに注目したい選手はいますか?

 

今大会でいうと阿部選手ですね。阿部選手は昨シーズンから体調を崩していて、フィフスの相田晃輔選手が出る機会もあったのですが、リードとしての能力はやはりものすごく高いものがあります。作戦のバリエーションが多くて、スキップとしての能力も高いです。リードって簡単に見えるショットをするので地味なポジションに思われがちなのですが、彼の2投がしっかりエンドの始まりで決まるとオフェンス的な作戦もできますし、守ろうと思えばディフェンスの作戦もできるので、エンドの入りがきっちりできるかどうか、阿部選手の動きに注目してほしいです。

 

阿部 晋也選手

昨年準優勝!ライバルTM軽井沢に勝機は?

ーー 一方で、コンサドーレのライバルになりそうなチームはどこだと思いますか?

 

筆頭はやはり、昨年の準優勝チームである「TM軽井沢」ですね。コンサドーレはチーム全体でスキルの高い選手がそろっていて、総合的にはコンサドーレが強い印象です。しかし、TM軽井沢には2018年平昌オリンピックに出場した両角兄弟がいます。

とくに、兄の両角友佑選手はスキップとしての経験が豊富で能力も高いです。私が見る限り、現在日本のトップクラスのスキップはコンサドーレの松村雄太選手だと思っているのですが、彼と同じくらいの力を持っていると思います。ただ、勝ち切るためには昨シーズンよりもっと一人一人がスキルを上げていかないといけません。

 

 

TM軽井沢 一番右が両角友佑選手

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優勝のチャンスは2チームだけじゃない 日本選手権の見どころ

ーー では、今大会の見どころについて教えてください。どのような展開が予想されますか?

 

順当に行けば、実力的に頭ひとつ抜け出しているコンサドーレが勝てそうな雰囲気もあるのですが、先ほど言った通りTM軽井沢にもものすごくチャンスがあります。あとは、中部予選で勝ち上がってきたSC軽井沢クラブにも注目です。平昌オリンピックにも出場した山口剛史選手が所属するチームです。今シーズン練習や試合を多くこなしていて、昨シーズン以上に調子を上げてきているので、コンサドーレもTM軽井沢も苦戦を強いられるのではないでしょうか。

 

平昌オリンピック 男子代表 右が山口剛史選手 中央は現在TM軽井沢に所属する両角友佑選手

 

それから、コーチの私が言うのもなんなのですが「常呂ジュニア」も楽しみなチームだと思います(常呂ジュニアは敦賀さんがコーチを務める)。

 

北海道選手権で優勝した常呂ジュニアチーム

 

というのは、今回の日本選手権は、昨年の優勝・準優勝と、5つの地域のブロックの代表からなる7チームで行われるのですが、そのブロックの中で北海道の代表を決める北海道選手権が最もチーム数が多いのです。常呂ジュニアはその激戦を勝ち抜いてきたチーム、それも中高生のジュニアチームなのです(カーリング日本選手権は高校生のみで出場)。ですから、私もコーチをしながらどこまでできるのか未知ではあるのですが、今大会の”台風の目”になれれば面白いなと思っています。とくに、昨年冬季ユースオリンピックで銀メダルを獲得した前田拓海選手には注目していただきたいです。技術が高くて相当な負けず嫌いでもある彼は、北海道選手権で優勝した時には日本選手権に向けて「プレーオフ進出が目標です」と抑え気味に言っていましたが、最近の練習では「トップ3のどこかを崩したい」と言っていますので(笑)。

 

カーリング日本選手権に出場予定の常呂ジュニアチームの選手

新型コロナがカーリング界に及ぼした影響 

ーー さて、日本選手権を占うにあたり、新型コロナウイルスの影響は無視できないと思います。2020年を振り返ると、カーリング界にはどんな変化がありましたか?

 

練習環境を確保することがものすごく難しいシーズンでしたね。とくに札幌方面は外出の規制が厳しかったですし、私の地元、北見市でも施設が使えない期間が長かったので。それから、海外遠征に行けなかったことも大きいと思います。例年だと海外で試合を数多くこなして大会にピークを持っていくことができるんですけれど、昨年は国内での調整を余儀なくされたチームがほとんどでした。日本選手権に出場するようなチームは、トップチーム同士で試合を重ねることで強化につなげることができるのですが、その機会を作るのも難しく、難しいシーズンだったと思います。

 

ーー 今もなおコロナ禍は続いていますが、現在はどのような状況でしょうか?

 

大会自体がなかったり、あっても無観客だったりと厳しい日々が続いているのが現状です。選手たちは試合で勝つだけではなく、スポンサーを背負って試合をしているので、日頃の練習成果を発揮してスポンサー企業に貢献できる場所がないと何を目標にしていいのかわからなくなります。そういった面がモチベーションに影響している選手も多いのではないでしょうか。

 

ーー敦賀さんの出身 “カーリングの聖地”常呂町の状況はいかがですか?

 

常呂町も規制があって会場が使えなかったり、シート数も制限されるなど練習できない期間があったのですが、少しずつ環境がよくなって現在は全シートを使って練習することができています。

 

会場のコロナ対策

 

コロナ対策をきちんとしたうえで、一般の方々も練習できますし、町民の人たちは夜にリーグ戦を行っているなど徐々にコロナ前の風景に近くなってきています。

 

札幌のチームによっては往来が禁止されていて常呂町への練習に来られなかったり、軽井沢のチームだとリンクが休館して練習できなかったりという状態だったので、他のチームに比べると常呂町のチームは環境的に恵まれていると思います。

練習の様子

前代未聞 コロナ禍での日本選手権

ーー 新型コロナは大会にどのように影響しそうでしょうか?

 

日本選手権というと、例年はたくさんの観客の前で選手が高いパフォーマンスを発揮させてもらえるような大会なのですが、今シーズンは無観客で行われることが決定しています。いつもならショットが成功すると拍手が起きて、それが選手たちを盛り上げるひとつの要素となっていたのですが、今回はショットが決まっても自分たちの心の中でしか喜ぶことしかできないのは寂しいですよね。ただ、無観客でもテレビ中継がありますので、それは本当にありがたいです。このような状況の中で大会を開催していただけること自体が選手のモチベーションにつながっているように思います。会場で応援できないぶん、今まで以上にテレビの前で観てくれる方々が多いと思いますので、選手たちが今できる最高のパフォーマンスをぜひ、テレビの前で堪能してもらえたら嬉しいです。

 

 

敦賀さん、貴重なお話をありがとうございました!

 

2月8日から始まる、カーリング日本選手権。白熱した試合が予想される今大会でカーリン日本一になるのはどこのチームなのか!?NHKでは試合の様子を毎日中継するほか、特設サイトではすべての試合のライブスコアを公開します。ぜひお楽しみに!

敦賀信人

1977年11月3日生まれ、北海道常呂町出身。中学2年生の時にカーリングを始めた。1996年から1999年までの日本選手権4連覇を達成。1998年に開催された長野オリンピックでは、日本代表の主将を務めチームを5位に導く。その後の2010年から2012年までの日本選手権3連覇。現在はジュニア選手の育成やテレビ等での試合解説を積極的におこないカーリングの普及活動に尽力。

 

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