ストーリースキー

〝誠実な男〟北京で雪辱へ モーグル 堀島行真 選手

2021-02-08 午後 07:00

来年の2月4日、冬の北京オリンピックの開幕まで1年を切りました。スキーフリースタイル男子モーグルで金メダル獲得が期待される堀島行真選手。2回目の大舞台に向けた決意、新型コロナウイルスの感染拡大で先行きが見通せない中での率直な心境。あますところなく聞いてきました。

金メダル候補は誠実な選手

(2021年2月4日 モーグルW杯ディアバレー大会の堀島選手)

 

堀島選手、ひと言でいえば、とにかく“誠実”です。私が取材した日は雪が降り、練習を撮影していたカメラマンの頭に積もるほどでした。堀島選手は練習が終わり、インタビューをする部屋に移動する際にカメラマンにひと言。

 

「寒くはないですか?大丈夫ですか?」寒さに凍えるカメラマンを気遣いました。さらにスキーを履いていた堀島選手は、ゲレンデの中腹からふもとまでの数百メートルを歩いて戻るカメラマンの歩調に合わせてゆっくりと、時々、スキーの板をハの字にしながら寄り添うように滑ってくれました。アスリートには、さまざまなタイプがいますが、堀島選手の気配りは、こちらが恐縮してしまうほどでした。

屈辱のピョンチャン(平昌)オリンピック

そんな優しく誠実な堀島選手は実績十分な日本のエース。世界のトップ選手が集うワールドカップでは2シーズン続けて総合2位。今シーズンの初戦は優勝を果たしました。

 

(2020年12月 モーグルW杯の初戦で優勝した堀島選手)

 

これまでに出場した数々の国際大会で忘れることが出来ないのは、前回、2018年のピョンチャンオリンピック。

 

 

初出場の堀島選手は、前年の世界選手権を制し、金メダルが有力視されていました。ところが、ターンやエアのミスから大きく転倒し11位に終わりました。

 

堀島 行真 選手

1回勝負(オリンピック)の舞台で自分のパフォーマンスを出し切ることができませんでした。優勝を目指していた中での11位で辛かったですし、周囲の期待に応えられなかった、ふがいなさもありました。

成長のカギは「ターン」の安定性

大一番で力を発揮できなかった堀島選手。滑りを徹底的に見直し苦手意識を持っていたターンのいっそうの強化に取り組み始めました。

 

 

こぶのある斜面を滑り、ターンの技術や2回のエアの完成度、それにスピードの合計点で競うモーグル。採点は▼ターン60%、▼エア20%、▼スピード20%。派手で豪快な「エア」に注目がいきがちですが、実はターンの技術と美しさが重要なのです。ターンを高めることで、どのレースでも安定したパフォーマンスにつながり高得点が期待できます。

 

(日本代表のヤンネ・ラハテラ コーチ)

 

堀島選手が目指しているのは、2002年のソルトレークシティー大会で金メダルを獲得するなど活躍し日本代表のコーチを務めるヤンネ・ラハテラさんのターンです。世界一と呼ばれたヤンネさんのターンは、スキー板のエッジを生かした究極の「カービングターン」

 

「カービングターン」とは雪面に対しエッジを立てた上で、スキー板をずらさずにターンをする技術です。堀島選手はこの非常にレベルの高いターンを手本にしています。

堀島 行真 選手

エッジにしっかり体重を乗せて、そのエッジに沿ってスキーを走らせていくんです。スキー板が描く回転弧だけで滑っていく。そんなターンができればアグレッシブになるし、見ていて格好いい滑りになると思います。

滑り込んできた自信

究極のターンの習得を目指して徹底的な滑り込みを続けてきました。

 

(写真は2018年)

 

去年の夏、長野県の乗鞍岳での練習。標高2500メートル付近の斜面に残った雪をかき集めて作った手製のゲレンデにはリフトはありません。滑っては板を担いで斜面を歩いて登り、滑っては登り、登っては滑る、地道な練習をひたすら繰り返しました。冬場の滑り込みも順調にこなし1年後を見据えさらなるレベルアップを図っています。

堀島 行真 選手

モーグルのこぶや斜面は滑るたびに変化していくので、ひとこぶ、ひとこぶが同じではないんです。そのとき、その状況に合わせて自分の体を対応させていくことが大切で、そういった練習を繰り返して、さらに安定性を伸ばしていこうと思っています。

刺激を受けるトップアスリートの姿

金メダルを目指す中で、刺激を受けているアスリートがいます。フィギュアスケートの羽生結弦選手と体操の内村航平選手。

 

 

2人はともにオリンピックの連覇を果たすなど期待を背負いながらも結果を残し続けてきました。プレッシャーのかかる本場で、どのようにすれば力を発揮できるのか。同じ採点競技のアスリートから学び、届かなかった表彰台へのイメージをふくらませています。

堀島 行真 選手

演技をきれいに見せるところが似ていると思いますし2人の姿から刺激を受けています。期待されながら金メダルを獲得するのは、やっぱりすごいなあと心から思うし、そんな人に僕もなりたいなと思っています。

北京大会まで1年切るも・・・

新型コロナウイルスの感染拡大で北京大会7か月前の東京大会の開催に対して厳しい意見が相次ぐ中、堀島選手は率直な気持ちを明かしてくれました。

 

堀島 行真 選手

こんな状況なので本当に大会が開催されるかという不安はあります。東京大会が開催されないと北京オリンピックもきっとできないと思うので東京の開催を願っています。

 

不安な中でも北京大会のプレシーズンは続き、けがで戦列を離れていた最大のライバル、ミカエル・キングズベリー選手(カナダ)も復帰し、モーグルの頂点をめぐる争いは激しさを増していきます。それでも堀島選手は、揺らぐことはありません。

堀島 行真 選手

北京では応援してもらっている人、期待してくれる人のためにも優勝という最大限の結果で応えたいと思っています。そのために今シーズンのワールドカップで結果を残したい。

 

この記事を書いた人

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小林 達記 記者

平成26年NHK入局。神戸局、大阪局を経て、スポーツニュース部。陸上担当。大学では野球部に所属。中学時代は陸上も経験。

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