ストーリーカーリング

市川美余さん 知っておきたいカーリング女子4強解説! 日本選手権に向けて

2021-02-07 午後 0:00

日本カーリング界のトップ争いを繰り広げる4つの女子チーム、ロコ・ソラーレ、中部電力、北海道銀行、そして富士急。2021年2月8日から開催される日本選手権でも激しい優勝争いが予想されます。
そこで、今回はあらためてこの4チームの特徴や魅力について、元日本代表の市川美余さんに解説してもらいます。

 

日本選手権4連覇を果たした元・中部電力の市川美余さん。リモートで取材に応じてもらいました。

女子の4強時代はいつから?いつまで続く??

2012年の中部電力。市川さん(左から2番目)のほか、現ロコ・ソラーレの藤澤選手(一番左)や、松村選手(右から3番目)も。


ーー現在の日本の女子カーリングは“4強”といわれる状態が続いています。いつ頃からこの勢力図になったのでしょう?

 

2015年頃から4強の流れができたと思います。最初に頭角を現したのは、2011年から日本選手権4連覇を果たした中部電力ですが、そのすぐ後ろにはロコ・ソラーレの前身であるLS北見、そして北海道銀行が迫ってきている状況だったので、実質的には“3強”時代だったと言えるかもしれません。その後、中部電力が4連覇後にちょっと失速気味になり、2015年には北海道銀行が、翌2016年にはLS北見が優勝しました。そして2015年には富士急の前身であるチームフジヤマが3位に入賞しています。チームフジヤマは2010年の結成ですから、急成長ですよね。それ以降、この4チームのつばぜり合いが続いているという状況です。

 

ーーこの4強時代はまだしばらく続きそうでしょうか?

 

現時点では4強とほかのチームでは、力の差があることは否定できません。ただ、若い世代でも力をつけているチームはあります。たとえば、ロコ・ソラーレの下に『ロコ・ステラ』という育成チームがありますが、2021年の北海道選手権では、最後に北海道銀行に敗れはしたものの、決勝に残るほどの実力があります。いずれ、このようなチームが頭角を現してくるのではないかと思います。

このチームを知っておこう!女子4強チーム解説

笑顔が勝利のバロメーター  ロコ・ソラーレ(2020年優勝)

左から石崎琴美、吉田夕梨花、鈴木夕湖、吉田知那美、藤澤五月

 

ロコ・ソラーレは、皆さんご存じのように2018年のピョンチャンオリンピックで銅メダルを獲得した、実力、経験、知名度を兼ね備えた、世界でもトップレベルに入るチームです。カーリングでは非常に重要となるコミュニケーション能力に長けています。技術的な強みでいえば、スイーパーですね。スイープの力強さ、ジャッジする力、ウエイト感覚にすぐれているのも、試合数をこなしてアイスをたくさん見ているからこそという印象です。

 

リード:吉田夕梨花(よしだ・ゆりか)
一言で言うとドロー職人ですね。リードというのはドロー(ストーンを置きにいくショット)をするのが仕事なのですが、非常にショット率が安定しています。

 

セカンド:鈴木夕湖(すずき・ゆうみ)
鈴木夕湖選手は"クレイジースイーパー"なんていう言われ方もするのですが、力強いスイーパーであり、同時に、高い精度のショットが持ち味です。あと、ロコ・ソラーレの明るい雰囲気を醸し出すムードメーカーですね。

 

サード:吉田知那美(よしだ・ちなみ)
サードとしての技術が本当にピカイチで、ここぞというときの決定力もあります。彼女も笑顔が非常に魅力的で、試合中にその笑顔が出るかどうかが、試合が上手く運んでいるかのバロメーターです。

 

サード:藤澤五月(ふじさわ・さつき)
知識も経験も豊富な司令塔です。試合を見ている数も多いですし、攻撃と守備のバランスを非常に考えた戦術をとっていると思います。

 

リザーブ:石崎琴美(いしざき・ことみ)
ソルトレークシティ、バンクーバーと2回のオリンピックを経験しているベテランがフィフスに加入しました。コーチ席に彼女が座っていることが、ほかの4人の選手の安心感にもつながるのではないでしょうか。

団結力で日本一奪還を目指す  中部電力(2020年準優勝)

左から石郷岡葉純、鈴木みのり、中嶋星奈、松村千秋、北澤育恵


2020年の日本選手権の決勝で残念ながらロコ・ソラーレに敗れましたが、本当に素晴らしい試合でした。中部電力はほかのチームと違って、『会社の部活』という位置づけです。みんな中部電力の社員で、同じ職場で働いている仲間です。会社を背負って大会に出場しているので、団結力が非常に強いですね。技術的な面でいえば、非常にバランスが取れたチームです。一時期低迷していた時期もありましたが、最近またトップ2に入れるようになってきたのは、やはり各選手のショットの安定力が上がってきたからでしょう。

 

リード:石郷岡葉純(いしごうおか・はすみ)
リードとしての安定感が非常に出てきたと感じています。性格的なことを言うとオタク気質なところがあるので、カーリングもかなり極めているところではないでしょうか(笑)。ネイルアートやギターも出来ちゃうような、器用な選手です。

 

スキップ:中嶋星奈(なかじま・せいな)
司令塔であるスキップを務めていますが、加入したての頃は最年少だったこともあって、みんなの妹的な存在でした。最近はスキップとして成長し、決断力もついてきたと思います。両角友佑コーチの“両角イズム”を継承している選手です。

 

サード:松村千秋(まつむら・ちあき)
家族全員がカーリングをやっている“カーリング一家”のひとりで、チーム最年長の選手です。彼女の持ち味は、サードとしての安定感と力強いスイープです。2020年のミックスダブルス日本選手権では優勝するほどの実力を持っています。

 

フォース:北澤育恵(きたざわ・いくえ)
センスあふれるショットメーカーです。安定感はもちろん、ここぞというときに決めてくれて、難しい局面でも物怖じしない頼もしいフォースですね。

 

リザーブ:鈴木みのり(すずき・みのり)
2020年に新しく加入した選手です。軽井沢スポーツ少年団で培った技術と実力は、スタメンで起用されてもおかしくないレベルです。中部電力は鈴木選手を試合で積極的に起用し、この5人で試行錯誤を重ねていこうとしているのではないでしょうか。

 

【特設サイトはこちら】スコアを全試合ライブ配信!

経験豊富な実力派チーム 北海道銀行

左から伊藤彩未、船山弓枝、近江谷杏菜、小野寺佳歩、吉村紗也香

 

ベテランがそろったチームです。昔からトップを走っている選手が集まっていて、グランドスラム(カナダで毎年開催される最高峰の大会シリーズ)にも出場するほどの力を持ち合わせた強豪チームです。ここ最近は優勝から遠ざかっていますが、個々のスキルが非常に高いので、安定感が出れば優勝も期待できるチームです。

 

リード:船山弓枝(ふなやま・ゆみえ)
船山選手は、誰よりも飛び抜けて経験豊富です。安定しているし、ほかの選手のサポートにも回れる。"頼れるお姉さん"という、精神的支柱になっていると思います。

 

セカンド:近江谷杏菜(おうみや・あんな)
バンクーバーオリンピックにも出場経験のある、リードからスキップまで全部のポジションを務めてきた器用な選手です。いろいろな角度から戦術を考えられることが、チームにとっても強みになっていると思います。

 

サード:小野寺佳歩(おのでら・かほ)
カーリング界の筋肉自慢が集まる“カーリング筋肉部”のメンバーです(笑)。筋力があると、力強いスイープができますし、速いテイクショットが可能になる。強みとして生かされていますね。

 

スキップ:吉村紗也香(よしむら・さやか)
ジュニアの頃からずっと活躍していて、札幌国際大学ではかなり勝利を積み重ねました。本来の実力を出し切ることができれば、とても活躍する選手だと思います。

 

リザーブ:伊藤彩未(いとう・あやみ)
新しく加入した選手です。トライアウトを経ての加入なので、チームの期待値も高いと思います。ベテランぞろいのチームの中で、新しい風を吹かせてくれる存在になるのではないでしょうか。

ライバルを脅かす急成長チーム 富士急

左から小穴桃里、小谷優奈、石垣真央、小谷有理沙、苫米地美智子

 

まだちょっと不安定な印象のあるチームですが、かなり伸びてきているので、今後どれだけ優勝争いに関わってくるか、とても楽しみです。4強の中では、上の3つのチームを脅かす、急成長の若手チームというポジションですね。

 

リード:小谷有理沙(こたに・ありさ)
本当に急成長をとげています。以前は体力面でちょっと心配がありましたが、最近は体力もついてきて、スイープも力強くなっている感じがします。

 

セカンド:石垣真央(いしがき・まお)
キャプテンを務めていて、ジュニア時代には、いま北海道銀行にいる吉村選手と組んで活躍していました。かつての富士急は予測不可能な作戦を取ることが多かったのですが、スタンダードなスタイルの石垣選手の加入によって、富士急の方向性もだいぶ変わった印象があります。

 

サード:小谷優奈(こたに・ゆうな)
小谷姉妹のお姉さん。まだ若い選手ですが、ほかのチームのサードと互角に戦えるくらいに成長してきていますね。

 

スキップ:小穴桃里(こあな・とうり)
まだ25歳と若いですが、中学校3年で富士急に入っているのでもう11年目。大ベテランの域に達してきています。頭脳派で、すごくカーリングを勉強している印象がありますね。

 

リザーブ:苫米地美智子(とまべち・みちこ)
先日、フィフスとして加入しました。ソチオリンピックに出場した大ベテランの選手なので、チームにどのような影響を与えるか、要注目です。

カーリング女子4強、勝つのは誰だ!?

ーーこの4強ですが、対戦時の相性はあるのでしょうか?

 

対戦相手との相性はあまりないと思いますが、あるとすれば、むしろ大会との相性ではないでしょうか。たとえば、北海道銀行は海外でとてもいい成績を収めていて、グランドスラムに出場できるほどの実力を持つチームですが、日本選手権での優勝からはこの数年遠ざかっています。

 

ーーそれはなぜでしょう?

 

日本選手権はやはり独特の雰囲気があるんですよ。私にとっては一番緊張する大会でした。海外でのツアーは実績を積むつもりで体当たりでいけるんですが、日本選手権は勝たなくてはいけないというプレッシャーがより強くあります。顔見知りがいる国内のチームの中で一番を目指さなければいけないというプレッシャーが、独特な雰囲気を生み出すんです。このプレッシャーに勝つ、あるいは楽しむことができるチームこそが、優勝の座をつかむことができるということですね。

 

 

日本女子カーリングの4強が集い日本一の座を争う日本選手権。要注目です!

 

 

市川美余(いちかわ・みよ)

長野県軽井沢町出身、1989年生まれ。
7歳からカーリングをはじめ、2005年の日本ジュニアカーリング選手権で優勝。高校卒業後の2008年に中部電力に入社し、カーリング部に所属。2011〜2014年、日本カーリング選手権4連覇。
日本カーリング界の人気を支えるも2014年に引退し、現在は解説者として活躍中。カーリングのルールを解説した『まんがでわかる カーリングの見方!!』の監修なども行う。2児の母でもある。

 

【特設サイトはこちら】スコアを全試合ライブ配信!

関連キーワード

  • カーリング

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!