ストーリーカーリング

コンサドーレ 阿部晋也 五輪代表を見据えて 勝負の日本選手権へ

2021-02-03 午後 05:40

潰瘍性大腸炎という病気を抱えながらオリンピックを目指しているカーリング選手がいます。

 

北海道北見市に拠点を置く強豪コンサドーレの阿部晋也選手。チーム最年長、41歳の中心選手です。来年に迫った冬の北京オリンピックの日本代表争いがかかる2月の日本選手権に特別な思いで出場します。

初の五輪目指す 大ベテラン

 

阿部選手は、カーリングが盛んな北見市常呂町の出身で、カーリング歴34年という大ベテランです。カーリングで使うストーンは同じものはなく、投げるたびに微妙に曲がりが違いますが、阿部選手のストーンを正確に投げる技術や、作戦面での引き出しの多さに、チームメートも全幅の信頼を寄せています。

 

松村雄太 選手

阿部選手が的確なアドバイスをくれたりとか、今こういう状況だから、これをしようと明確にしてくれるので、チーム全体に落ち着きをもたらしてくれる。

コーチとして感じた五輪

 

選手としては初めてのオリンピックを目指す阿部選手ですが、一度、25歳の時に現役を退き、トリノ・バンクーバーの2大会で女子日本代表のコーチを務めていました。その経験がオリンピックの舞台で生きると考えています。

阿部晋也 選手

やることは一緒だけど、場所としては本当に特別だなっていう。より国を代表する意識が強かったりとか、特別としか言いようがないですね。コーチとして行ったオリンピックは今すごくいい経験になっていますし、(もし選手として出場したら)オリンピックという特別感にとらわれずに、普通にできるんじゃないかっていう気はしています。

順調な歩みを襲った異変

 

阿部選手は、その後、現役に復帰し、3年前にはコンサドーレのカーリングチームを立ち上げました。そして、おととしの日本選手権で、いきなり優勝し、そのまま出場した世界選手権では日本男子過去最高に並ぶ4位と順調な滑り出しを見せました。しかし、大きな手応えを感じていた矢先、阿部選手の体に異変が生じます。

阿部晋也 選手

普段と違うタイミングで腹痛があったり、それが続くうちに下痢の回数が増える、そこから下血になっていく。まあ明らかにおかしいなっていう。

 

 

診断名は、潰瘍性大腸炎。大腸の粘膜が炎症を起こし、激しい腹痛や下痢を繰り返す国指定の難病で、原因ははっきり分かっていません。治療は主に投薬で行われますが、根本的に治す方法はなく、一生つきあっていかなければいけない病気です。症状が一度落ち着いても、再発することがあり、阿部選手は2年前に症状が出たあと、去年も再び症状が悪化しました。

 

 

発症前に80キロ台だった体重は、50キロ台と、およそ30キロも激減しました。

阿部晋也 選手

ご飯食べられないんで、点滴だけで過ごしながらなので、もうベッドとトイレの往復みたいな生活を1日中していて、本当に体重を測るたびに減っていく。

 

そんな病気に苦しむ阿部選手を家族やチームメートが支えてくれました。さらに、阿部選手のSNSにも自分や家族が同じ病気の人から「勇気がもらえます」「応援しています」など応援のメッセージが寄せられました。

 

阿部晋也 選手

僕も本当に皆さんがどんな思いをしているか身をもって体験しているので。なかなか通常の生活に戻れない方とかいらっしゃると思うんですね。苦しんでらっしゃる方の少しでも明るい材料に、希望になれればいいなと思っています。

氷の上に立てる喜び胸に勝負の日本選手権へ

 

阿部選手は薬で病状が落ち着き、去年10月からは強度を上げて筋力トレーニングも出来るようになりました。リハビリの開始当初は歩くのがやっとでしたが、体重も70キロ台まで戻ってきて、ことし2月の日本選手権に向けて体力も順調に回復しているといいます。

 

 

阿部選手は、初めてのオリンピック出場に向けてカーリングができることの喜びを胸に日本選手権に臨みます。

阿部晋也 選手

アイスに乗って戦えることのうれしさが強くて。本当にこんな幸せなことはないんだなっていう。オリンピックへの道は開かれていますし、僕らが今、日本の中で一番近い位置にいることは間違いないと思うので、優勝だけを目指してやっていきたいなと思います。

 

今回の日本選手権で、去年優勝しているコンサドーレは勝てば北京オリンピックに日本代表として出場する権利を得ます。そして、4月に開催予定の世界選手権で上位に入ってオリンピックの出場権が得られれば、そのまま北京オリンピックの出場内定が決まります。

 

 

取材の中で、阿部選手は何度も「ポジティブ」という言葉を口にしました。2年続けて症状が出たことについて、精神的には、きつかったのでは?という私の問いに「ショックというより、前の年の経験があったので、どのくらいの期間があれば戻せるという自信があった。数ヶ月後には動ける自分がいると思って活動していた」と前向きに答えてくれたことが、とても印象的でした。

 

おととしの世界選手権4位を経験して、「コンサドーレは世界のトップグループに出入りするぐらいのポジションには来ている。まだまだ上に行ける」と分析していた阿部選手。世界のトップを目指す第一歩、日本選手権のプレーに注目したいと思います。

 

 

 

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この記事を書いた人

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西阪 太志 アナウンサー

平成22年NHK入局

鳥取局・岐阜局を経て、札幌局でスポーツ実況や平昌五輪の中継キャスターを担当。カーリング日本選手権の実況は、今年が3シーズン目。自身の経験スポーツは、サッカー・アメリカンフットボールなど。

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