ストーリーラグビー

大野均さんが語る! 2021年ラグビー界への期待とは?

2021-02-18 午後 0:00

2021年のラグビートップリーグは、コロナ禍の影響で開幕が延期されましたが、世界の第一線で活躍する外国人選手のトップリーグへの移籍など話題は豊富です。


そこで、2020年5月に現役を引退し、現在東芝でラグビー普及担当を務めている、元日本代表の大野均さんにラグビーの魅力や楽しみ方を聞きました!

 

最後のトップリーグ 大野均さんに聞く! 注目チームや選手は?はこちら>

大野均(おおの・ひとし)

1978年福島県郡山市生まれ。高校時代は野球部で活躍。地元の日大工学部に入学し、野球部に入部しようとしていたところ、ラグビー部の先輩に見学に連れて行かれ、そのままラグビーに転向。国体出場を経て、2001年に東芝に入社。
日本代表キャップは98で、日本人最多。2007年、2011年、2015年のW杯に日本代表として出場。トップリーグには、19シーズンで170試合に出場。ベストフィフティーンには9回選出されている。熱いプレーで観るものを魅了し、日本ラグビー界のレジェンドと呼ばれてきたが、2020年5月、現役を引退。現在は東芝で普及担当を務める。

いつの間にか夢中になってしまうのがラグビーの魅力

2015年ラグビーワールドカップ。南アフリカ選手と激しくぶつかり合う大野さん(左)

 

ーーラグビーは、グラウンドでのプレーを見ていると、仲間の信頼関係が感じられます。
やはり、そこが観客にとって魅力なのでしょうか?

 

「自分を犠牲にしてボールを守り、また自分がタックルされながらボールを繋いで、最後のトライを取る。そしてトライを取った選手は、自分の力だけではなく、チームで取ったことをしっかりと認識しています。普段の練習中からチームメイトで体をぶつけ合って、いわば究極のスキンシップをとっているので、選手同士の気持ちの繋がりは、ほかのスポーツに比べたら強いものがあるかもしれません。だから、試合に出たくても出られない選手がいれば、そういう選手の分も頑張ろうという気持ちで、出場している一人ひとりがグラウンドで最善のパフォーマンスを発揮しようとしている。観客の皆さんにも、その思いが伝わっているのかもしれません」

 

注目されればプレッシャーは感じるが、モチベーションにつながる

ーー2019年のワールドカップを経て、日本でのラグビーを取り巻く環境に変化はありましたか?

 

「『にわか』と呼ばれるファンが増えたことは実感しています。『にわか』というと、なんとなくネガティブに受け取られがちですが、昔からのファン同様、『にわか』の皆さんの存在もとても大切です。そういう人たちが今度はトップリーグを見に行こうと、スタジアムに足を運び、さらにラグビーの魅力に気づき、コアなファンになり、声援を送ってくれるんですから。そういった皆さんも含め、新しいファン層は確実に増えていると感じます」

 

ーー日本ラグビーに対するファンの見方も変わってきたと思いますか?

 

「2015年のワールドカップで、日本は3勝。しかも、強豪の南アフリカにも勝った。これによって、日本代表は強いんだなというイメージを持ってくれた人が多いと思います。昔はワールドカップで全然勝てなくて、その結果、ラグビーの人気も下がっていった。どのスポーツでも言えることですが、”日本代表”と呼ばれるチームが強くないと、そのスポーツは人気が出ませんよね。その意味で、2019年のワールドカップでベスト8まで進むことができて、日本ラグビーへの視線はさらに変わったと思います」

 

2015年ラグビーワールドカップで南アフリカに歴史的勝利を収めた日本代表 大野さんの姿も!

 

ーーファンの期待が膨らんでくると、選手が感じるプレッシャーも強くなってきますね。

 

「それはあります。でも、そういう『勝たなくては』というプレッシャーがないと、やはりレベルが上がりません。自分が日本代表に入りたての頃は、日本代表はヨーロッパ勢には勝てないというのが大方の見方でした。期待されないというのは、選手にとってつらいんですよ。でも今は、アイルランドやスコットランドにしっかり勝った。世界1位のチームにも勝てるかもしれないという期待感をファンは抱くかもしれません。そうなるとプレッシャーを感じるのは確かですが、期待してくれているというのは、選手としてはありがたいし、モチベーションにもなります」

世界トップレベルの選手たちと切磋琢磨をする中で、レベルアップを――

 

 

ーー2019年のワールドカップ以降、世界の第一線で活躍する外国人選手がトップリーグに移籍してくるケースが増えています。その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

 

「ワールドカップで来日して、キャンプ地でのいわゆる”おもてなし”を受けたりして、日本を好きになってくれたということもあると思いますが、もちろんそれだけではなくて、『自分もここでプレーをしてみたい』と感じてもらえるほど、日本ラグビーのレベルが上がっているということがあると思います」

 

ーー「日本のトップリーグは自分を成長させてくれるリーグだ」と認められたということですね。

 

「そうです。昔だったら確かに『年を取ってパフォーマンスが落ちてきたけど、トップリーグだったらなんとかなるだろう』という感じで来日する選手もいました。でも、今はそうではありません。純粋に自分をレベルアップさせるために、トップリーグを選んでくれる海外選手が多いのです。
海外のどこのリーグに行ってもナンバーワンになれるような選手がトップリーグを選んでくれる。純粋に嬉しいです」

 

ーー日本の選手にもいい影響を与えてくれそうですね。

 

「間違いなく、日本選手の底上げにつながると思います。世界のトップレベルの選手と切磋琢磨することで、確実にレベルアップしますね。逆に言えば、そのような外国人選手を見て闘志を燃やさない日本選手は、トップリーグで生き残っていけないということでもあります」

残念だけれど、ポジティブに。

ーー2020年シーズンのトップリーグはコロナの影響で第6節で開催中止となりましたよね

 

「2020年シーズンの途中での中止は残念だったの一言に尽きますね。最もラグビーの注目度が上がっているなかでの中止でしたから。そして、チームの話だけではなく、楽しみにしてくれていたファンの皆さんにさみしい思いをさせてしまったことも、とても残念です」

 

トップリーグ中止前におこなわれた試合。観客の多くがマスクを着用している(2月22日、キヤノン対宗像サニックス)

 

ーーリーグ戦だけでなく、日本代表の国際試合も中止になってしまいました。2019年のワールドカップ後の選手の皆さんにも影響があったのではないでしょうか。

 

「もちろん影響はあったと思います。でも選手たちは、練習についていえば、ポジティブに、自宅でできることに取り組んだりしてくれていました。代表戦については、予定通りにいかず、ロスしたものもあります。でも、それを取り返す時間はまだあります。それよりもむしろ恐れなくてはいけないのは、十分な練習ができないまま国際大会に参加して、怪我をしたり、あるいは十分なプレーができずに結果が出せなかったりすることです。そうなったら、また『なんだ、日本代表は弱いんじゃないか』と、昔に逆戻りです。だから、日本代表の活動や試合が中止になったことは残念ですが、仕方のないことと思っています」

 

 

ーー2021年シーズンのトップリーグ。見どころはどのようなところでしょうか?

 

「現在のトップリーグは今年でひと区切り。来年からは新リーグが発足するので、最後のトップリーグになります。どのチームも有終の美を飾ってやろうという気持ちで来るでしょうし、さらに昨シーズンが不本意な形で中止になってしまったので、うっぷん晴らしではないですが、そんな強い想いを最後のパフォーマンスとして出してくると思います。

 

2015年、19年のワールドカップを経て、いまの若い選手たちは自分たちも世界で戦える、勝てるっていう自信を持って、プレーしてくれています。そして、ラグビーの日本代表が、皆に注目される憧れの存在にまでなりました。2021年のシーズンでは、そんな選手たちの堂々としたプレーにぜひ期待してください」

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