ストーリー相撲

大栄翔 冷静で謙虚も「優勝への意識はゼロではない」

2021-01-23 午後 0:15

鋭く踏み込み、一心不乱に両腕を振り回す。交互に腕を出し最後は全体重をかけるように右でひと押し一方的に押し出した。

 

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(大相撲初場所13日目 大栄翔(奥)― 竜電)

「前に出られたのでよかった。ああいう相撲で勝ってきているわけなので。思い切りいこうと」

 

平幕の竜電を破り優勝争いのトップに並ぶ2敗を守った大栄翔(前頭筆頭)。 13日目の取組を終えても土俵上の激しい姿とは異なり冷静で謙虚な姿勢を崩さなかった。

「いい相撲を取った。自分の相撲を取りきっている。勝っている相撲の内容がいい」

 

(伊勢ケ濱 審判部長)


幕内後半の審判長を務めた伊勢ヶ濱審判部長が褒めたたえるほどの内容だった。この日も“手数の多さ”で攻めの一本で白星を挙げた27歳。私は1年前を思い出した。去年の初場所前、新三役・小結に昇進した大栄翔を取材した際、突き押しの威力を増すためのポイントを明かしてくれていた。それが“手数の多さ”だった。

 

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(2020年初場所前 新小結に昇進した時の大栄翔)

 

手数を多く出す動きを体にしみこませようと、関取衆との稽古だけでなく、てっぽう柱とも格闘しながら両腕を振り回していた。

 

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(追手風部屋で関取と稽古する大栄翔)

「自分は1発1発が強いわけではない。手数が多い方が相手も泡を食うというか、慌てるので、そのほうがいいかなと思う」

 

当時の大栄翔のことばは、今場所の相撲を体現するかのようだ。新型コロナウイルスの影響などで部屋の稽古の取材も制限され、最近は大栄翔の稽古を見る機会は大きく減ったが、今の相撲を目にするかぎり、ひたむきな努力が結果につながっていることは疑いようがない。13日目の取組後、大栄翔は報道陣に「優勝を意識しているか」と問われ「それもゼロではないが、考えすぎずに1日一番でやっていきたい」とここでも謙虚に冷静に答えた。残りは2日。“手数の多い”突き押しを最後まで貫き通せば初めての賜杯を手に出来るに違いない。

この記事を書いた人

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小野 慎吾 記者

平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。

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