ストーリー野球

ロッテ・佐々木朗希投手 最速163キロの秘密

2020-04-03 午後 0:00

プロ野球・ロッテのドラフト1位ルーキー、佐々木朗希投手。
岩手・大船渡高校3年生の春に最速163キロをマークし、それ以降、メディアから“令和の怪物”と呼ばれました。大きな注目を集めてプロ入りした18歳は初めてのキャンプをどう過ごしたのか。そして、ダイナミックな投球フォームの秘密にも迫りました。

キャンプは地道に着実に

 

2月1日のキャンプ初日の朝。ドラフト4位ルーキーの横山陸人投手と同部屋だった佐々木投手は背番号17のまっさらなユニフォームに身をつつみました。鏡で自分の姿を見ながら、「いまいちですね。ズボンがちょっとダルダルですけど、これから(足)太くなります」と初々しい表情を浮かべました。

 

 

キャンプで注目を集めたのは、佐々木投手がいつブルペンで投球練習を始めるかでした。ところが、チームが課したのはランニングやキャッチボールといった基本的な練習メニュー。

 

 

佐々木投手は去年9月に行われた18歳以下ワールドカップで登板して以来、実戦から遠ざかっていました。このため、まずは投げる感覚を取り戻すことに重点が置かれたのです。佐々木投手もその意図を理解した上で、慌てることなく1日ずつ投げる強度を上げていきました。

佐々木朗希投手

自分はまだ力不足だと思っているし、1年通して試合で投げたこともない。1年目からバンバン投げられると思っていないので投げられる体を作ったり、体力とか技術面を上げたりするのが一番最初の仕事かなと思う。

 

 

佐々木投手を指導するのは吉井理人投手コーチ。大リーグでプレーした経験を持ち、日本ハムのコーチ時代にはダルビッシュ有投手や大谷翔平投手などを指導しました。筑波大学大学院で野球のコーチングについて研究した球界屈指の理論派です。

吉井理人投手コーチ

何も考えないでバーンと投げていた感覚を早く取り戻してほしい。その感覚が戻る前にマウンドで投げ始めると、うまくいくケースもあるが、だいたいの選手はどこかずれてきて故障するか、調子を落とすことが多い。こちらからちょっと抑え気味にやっていったほうが、結局は早まわりするんじゃないかと考えている。

ベールを脱いだ快速球

 

ブルペン入りが解禁されたのはキャンプの最終日。しなやかな投球フォームから繰り出す伸びのあるストレートにどよめきが起こりました。

 

井口資仁監督

かなり威力のある球で自分の想像よりはるかに良かった。ことしブルペンで見たうちのピッチャーの中ですでにナンバーワンかな。

 

吉井理人投手コーチ

すごかった。あんな球を投げるピッチャーは見たことがない。

 

NHK野球解説 小早川毅彦さん

球の回転数が多くて非常にキレもあった。私も現役時代に打席に立っていろんなピッチャーを見てきたが、トップクラスだと思う。

 

2月27日にはキャッチャーを座らせての本格的なピッチング練習も開始。3月24日にはバッティングピッチャーを務め、初めてバッターを相手に投球し、最速157キロをマーク。実戦登板へ向けて、順調にステップアップしています。

フォームの秘密

 

なぜこんなに速い球を投げられるのか?佐々木投手にみずからの投球フォームの映像を見てもらいながら質問をぶつけると、「一番の強みは手足の長さだと思う」と答えました。手足の長さを存分に生かし、身長1メートル90センチの全身を大きく使った投球フォーム。どうやってこのフォームを作り上げたのか。

 

 

最大の特徴は高く振り上げる左足。つま先は肩の高さに達します。

 

佐々木朗希投手

高校2年生の秋くらいからあれくらい高く上がったかなと思う。自分の一番いいタイミングで体重移動だったりリリースできるのが、あの足を上げたときのリズムだったので自然と高くなった。

 

このダイナミックな動きを可能にしたのは下半身の柔らかさです。実は、もともと足腰が固かったという佐々木投手。中学3年生の時に腰を疲労骨折して投げられなくなり、ストレッチの大切さに気づいたことが今につながっていると言います。

 

佐々木朗希投手

上半身は人よりも柔らかかったが、下半身が固かった。柔らかくしていかないとまたけがをしてしまうと思ったので。

 

また投球フォームについて「人から指導を受けたことはない」という佐々木投手。参考にしたのは、今どきの若者らしく、“インターネットの動画サイト”。さまざまなピッチャーの映像を見ながら、自分で考え作り上げていったのです。

 

佐々木朗希投手

フォームを固めるときはいろんな人の動画を見る。自分でやってみて合うか合わないかを確認して合わなかったらやめて合ったらそれを継続する。それがずっと自分に合うわけじゃないけど安定するものを見つけるようにしている。

 

 

キャンプ中はその研究熱心さが目立ちました。時間があればブルペンに足を運び、先輩のピッチングを間近で見学。163キロをマークした今の投球フォームを完成形と考えていないからです。

 

佐々木朗希投手

小学校からずっとフォームは変わってるし、体が変わるにつれてフォームも変わらなきゃいけないと思うし、これからも変えていく部分が多いかなと思う。失敗したら戻してというのを繰り返して、新しく作っていかないといけないと思う。

 

チームも体の成長に合わせてじっくりと育てていく方針です。

 

吉井理人投手コーチ

体が成長する時期でもあるので強くなった筋肉が出てくると、自分が今までどおり投げているフォームのままだとおかしくなってしまうことがある。そこをうまく合わせていかないといけない。1年目は1、2軍あわせて50イニング投げられたらいい。2年目はその倍の100イニングぐらい投げて、3年目でしっかりローテーション入ってもらえたら。これは最高のシナリオだけどね。

 

 

プロの世界で確かな1歩を踏み出した佐々木投手。将来の飛躍に何が必要か冷静に自身を見つめています。

 

佐々木朗希投手

球速が速くてもコントロールが良くないと勝てないと思う。速いことはすごくいいことだと思うし、これからも自分の武器にしていきたいが、結局はチームを勝たせることがピッチャーの役目だと思うので、そこは一番大事かなと思う。

 

杉井浩太

平成20年入局(中途)
新潟局、横浜局を経て5年前からスポーツニュース部。大相撲を担当したのち、現在、プロ野球担当3年目としてロッテ、日本代表、NPBを取材。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!