ストーリー卓球

水谷隼が語る 卓球全日本選手権の注目は!?

2021-01-14 午前 11:50

「優勝した選手はこの1年間、絶対いい成績をあげられる」


男子シングルスで史上最多、10回の優勝を誇る水谷選手がこう語る卓球の全日本選手権。2回目の東京オリンピックイヤーとなったことしは、新型コロナウイルスの感染対策のため、ダブルス種目は行われず、シングルスのみが実施されている。

 

オリンピックの内定選手などトップ選手が登場するのは、大会5日目の15日。シングルスでの卒業を宣言し、ことしの大会には出場しない水谷選手に、全日本選手権を知り尽くした立場から優勝争いや大会の見どころを聞いた。

この1年を占う重要な大会


毎年、1年の最初に行われる全日本選手権。水谷選手は自身の経験を基に、この大会での成績が1年間の戦いに大きく影響すると話す。

この全日本選手権で優勝すると1年間、日本チャンピオンとして誇りを持って生活できる。1年間、周りの人も自分が一番強いというのを認めてくれる。自分は決勝で3回負けているが、負けた年は1年間を通してあまりいい成績があげられなかった。優勝した選手はこの1年間、絶対いい成績をあげられる。

男子シングルスの注目は


水谷選手はおととし、男子シングルスで自身が持つ最多優勝回数を更新する10回目の優勝を果たし、大会からの卒業を宣言した。自身が出場しないことしの男子シングルス。注目ポイントは、水谷選手が優勝の本命にあげた日本男子のエース、張本智和選手が復活優勝なるかという点だ。


 


張本選手は3年前、決勝で水谷選手を破って史上最年少の14歳で初優勝。その後、国際大会でも活躍して、世界のトップレベルへ一気に駆け上がった。

 

しかし追われる立場となったおととし、去年と“打倒 張本”で向かってくる相手の勢いに押され、持ち味の強気の攻めが影を潜めた。2年連続で優勝を逃している張本選手について、水谷選手はこう指摘する。

去年の決勝を見ても、彼が負ける時の試合は、一方的に攻め込まれる場面がものすごく多い。守っているだけでは勝てない。攻撃的に切り替えなければいけないタイミングがあるが、それを感じられるかどうか。挑戦者の気持ちで攻めれば、間違いなく優勝できる。

全日本には“魔物”がいる

張本選手に限らず、全日本選手権では毎年、世界の舞台で活躍するトップ選手が格下の選手に敗れる波乱が起きる。水谷選手はその理由をこう語る。

全日本選手権はものすごく独特の雰囲気を持っている。魔物もいると言われている。日本代表の選手は、ほとんどの日本選手が格下となり、全員が向かってくる。そうした相手をはねのけなければいけないので、大きなプレッシャーがかかる。優勝候補の選手たちは、勝って当たり前のプレッシャーの中で、勝つことの難しさを感じる。

 

 

そうした状況の中でも、13年連続で決勝に進出し、10回の優勝を果たした水谷選手。その理由をこう振り返る。

10回の優勝すべてがものすごく苦しかったし、毎日毎日、もう負けて早く家に帰りたいと思う。でも絶対に優勝しなければいけないという葛藤が毎日続く。心が折れそうになる中で、ちょっとでも自分の心が弱かったら、負けて楽になりたいという方向に行っていた。

 

ほかの大会以上に精神面での強さが問われる。それが全日本選手権だと言う。

女子シングルスの優勝予想は

 

女子シングルスについても聞いた。水谷選手が優勝予想にあげたのは、東京オリンピックの代表に内定している選手ではなかった。

本命は早田選手。男子みたいなプレーを見せる。女子の中でも群を抜いてパワーがすごい。Tリーグの試合でも昨シーズン、今シーズンとほとんど負けておらず、安定感もある。

 


早田選手は去年、準決勝で伊藤美誠選手、決勝で石川佳純選手とオリンピックの内定選手を連続で破り、初優勝を果たした。ことしも順調に勝ち進めば、日本女子のエース、伊藤選手と対戦する準決勝が大きな山場となる。2人の直接対決を水谷選手はこう分析する。


伊藤選手はサーブがものすごくうまい。ただ早田選手はダブルスのパートナー(※去年の大会まで伊藤・早田ペアで女子ダブルス3連覇)ということもあって、伊藤選手のサーブに対して慣れている。伊藤選手の特徴がなかなか生かせないのではないかと思う。

激戦を勝ち抜くためには

全日本選手権を知り尽くした水谷選手に激戦を勝ち抜くために必要なことを聞いた。


『自分に負けない』がキーワード。自分が全日本選手権で10回優勝した時、どの時もめげずに自分に打ち勝ってきたと思う。対戦相手も絶対に優勝したいと思っている中で、相手を打ち負かすためには、相手ではなくて自分に勝たないといけない。自分に打ち勝った選手、自分を最後まで信じた選手が優勝できる。

 

ことしは新型コロナウイルスの感染対策のため、無観客で行われている全日本選手権。水谷選手は、例年以上に自分との戦いがカギを握ると考える。


観客がいると後押しをしてくれたり、自分がつらい時に声援で励ましてくれたりする。観客がいないと、最後は自分で自分自身を奮い立たせて勝負しないといけない。よりいっそう自分との戦いになるし、自分の強さが試される。

 

自分との戦いに勝って、日本一に輝くのは誰なのか。その戦いに注目だ。

この記事を書いた人

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吉本 有里 記者

NHK スポーツニュース部

卓球担当として世界の舞台で活躍する日本代表の選手たちを継続して取材中。日本卓球史上初のメダルとなったロンドン五輪女子団体の銀メダルも現地で取材。

この記事に出ている選手

水谷 隼

水谷 隼

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