ストーリー野球

沢村賞 中日 大野雄大投手「活躍の秘密」に迫る!

2020-12-16 午後 08:00

プロ野球 中日の大野雄大投手は、今シーズン「最優秀防御率」「最多奪三振」のタイトルを獲得。完封6つを含む両リーグトップの完投10試合も評価され、初の沢村賞に輝きました。圧倒的な存在感を示した活躍の裏には何があったのか。その秘密とは!?

「想像以上の活躍」の今季

 

3か月遅れで開幕した異例の今シーズン。大野雄大投手は、開幕直後は調子が上がりませんでしたが、夏場からは相手を寄せ付けないピッチングを見せました。

 

1人でマウンドを守り抜き、投げるたびに完投。終わってみれば、勝利数は巨人 菅野智之投手に次ぐ11勝で、防御率1.82、奪三振数148個、さらに6つの完封を含む10試合の完投は両リーグトップの成績。プロ10年目、32歳で初めての沢村賞を受賞し、中日の8年ぶり3位以上となる3位の原動力となりました。

個人成績としても本当に想像していたよりも素晴らしい成績を残すことができた。チームはずっとBクラス(4位以下)が続いていたので、なんとかそこをAクラス(3位以上)に上げたいと思っていたので、それを成し遂げられて良かった。

磨き続けてきた“ストレート”

 

大野投手は京都府出身。地元の強豪、京都外大西高校を卒業後、佛教大を経て、ドラフト1位で中日に入団しました。大学4年の8月に肩を故障していながらも中日から指名を受けました。

 

プロに入り、課題として取り組んだのは、武器であるストレートのレベルアップでした。たゆまぬ努力でプロ10年間で平均球速は4キロ速くなり145キロに。キレのあるストレートで相手を抑えるスタイルを作り上げていきました。

ストレートが良くてドラフト1位になったと思っている。プロに入っても磨き続けて、求めていかないといけないところだと思ってやっている。まだまだ、成長している段階だと思うし、32歳になったがさらに球速は上げられると思う。

大野投手の飛躍支えた「2つの変化球」

そのストレートが伸びたことで、今シーズンすごみを増したのが、ストレートの軌道から変化する2つの「落ちる球種」。バッターの手前でわずかに落ちながら鋭く曲がる「ツーシーム」と落差のある「フォークボール」です。

 

もともとストレートに、落ちる球、スライダーと、球種が少ない投手なので、落ち球の中に2種類となると、バッターも自然ともう1球種増えていることになると思う。

「2つの落ちる球種」驚きの握り!

 

その「2つの球種」をどう投げ分けているのか。大野投手が握り方を明かしてくれました。

 

まずは「ツーシーム」

 

 

ストレートの握りから縫い目を少し変えた上で、ある工夫がありました。

ツーシームはほぼストレートの握りに近い。ただストレートよりも、抜けるのを防ぐためにリリースポイントを前へというイメージで、投げている。

 

そして「フォークボール」

 

 

指で深くはさむというのが一般的ですが、極めて浅い握り。ストレートに近いものでした。

フォークはツーシームの位置から、そのまま前にするというか、少しの違いだが、たぶん開きでいったら1センチも開かないかなというくらいで、ストレートと一緒の感覚で投げる。

 

「ツーシーム」と「フォークボール」。

 

ストレートに近い握りで同じように投げることで、バッターの手元までストレートと軌道が似ているため、見極めることが難しかったと感じています。

 

見た目は正直あんまり変わらないと思う。相手チームのバッターも『あの球なんやったん?』と聞かれることもあった。でもバッターが「どっち?」と思うのは、結構、嫌みたいだった。

 

今シーズン、私が試合を取材していても、相手バッターが体勢を崩され、ひざをつくシーンや、バットを振ったあとに首をかしげるシーンが目につきました。ストレートと同じ軌道からの急激な変化にバッターが対応できていないと感じていました。

手応えを感じた新記録達成の試合

 

「ツーシーム」と「フォークボール」。その2つの球種に最も手応えを感じたというのが、シーズン終盤のDeNA戦。45イニング連続無失点の球団新記録を達成した試合だったと言います。

 

8回のピンチの場面で、楠本泰史選手に対してツーストライクに追い込んだ後のインコースへの「フォークボール」。ストライクゾーンからボールゾーンに急激に落ちて、空振り三振を奪いました。「ツーシーム」では、相手の芯を外し、狙い通りピッチャーゴロで2つのダブルプレーをとりました。

 

このように、今シーズンは「2つの落ちる球種」を狙い通りのコースや高さに投げ分ける精度が増したことで、さらなる飛躍を遂げたのでした。

ゴロを打たせたい、ダブルプレーをこの場面とりたいという時に、そういう意図で投げて、意識分けができているので、ことしの成績につながったのかなと思う。

球団への恩返しとチーム愛

 

大野投手は今シーズン、国内に限ったフリーエージェントの権利を取得したことから、その去就に注目が集まりました。特に今シーズンの大活躍は「左投げの完投能力ある先発投手」という、他球団も喉から手が出るほど欲しい戦力でした。

 

しかし、大野投手は、権利を行使せず、早々に残留を表明。そこには肩の故障にも関わらず指名してくれた中日への思い、チームへの愛があふれていました。

自分はドラゴンズに獲得してもらった恩をまだ返せていないと思っている。残留して、来シーズン、ドラゴンズで優勝したいという気持ちが強かった。本当にこのチームが好きで、このチームメートと一緒に優勝したい。

 

高校、大学とピッチャーをしていた私にとって、今シーズンの大野投手の「ツーシーム」と「フォークボール」の秘密を純粋に知りたかったのが、取材のきっかけでした。今回の取材で、トップレベルの選手のすごみをさらに感じさせられた気がしました。

 

 

チームメートの話になると笑顔がほころぶ大野投手。「大好きなドラゴンズ」の10年ぶりのリーグ優勝へ、来シーズンさらに進化する大野投手を取材していきたいと思います。

この記事を書いた人

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竹内 啓貴 記者

平成27年NHK入局

横浜局ー沖縄局を経て、名古屋局で中日ドラゴンズを担当。小学校から大学まで野球を続けるも、社会人となって体重30キロ増で見る影もない。ちなみにポジションは投手でした・・・。

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