ストーリー野球

楽天・松井裕樹「抑えから先発へ 決意の転身」

2020-02-12 午前 09:00

プロ野球の担当記者が、東京オリンピックの代表候補に注目するシリーズ。2回目は、楽天の松井裕樹投手です。昨シーズン、パ・リーグの最多セーブのタイトルに輝きながら、抑えから先発への転向を決意。さらなる成長を目指しています。

野球人生を見据えた決断

 

好きなアーティストは、人気アイドルグループの「乃木坂46」と「TWICE」。24歳らしい一面を見せる松井投手は、練習中も笑顔を絶やさない優しい青年ですが、マウンドではまさに“守護神”。150キロを超えるストレートと鋭く曲がるスライダーを軸に、バッターを力でねじ伏せてきました。

 

楽天―ソフトバンク 自己最多の38セーブあげた松井投手(2019年9月24日)

 

昨シーズンは、奪三振率でパ・リーグの並み居るピッチャーのトップに立ち、自己最多の38セーブをあげて初めて最多セーブのタイトルに輝きました。若くして抑えとしての地位を確立した中での、先発への転向には驚きの声も聞かれましたが、実は以前から先発を希望し、毎年、オフシーズンに球団と話し合っていました。今後の野球人生を見据えてのことでした。

松井裕樹投手

自分のキャリアを考えた時に、未熟な技術面や駆け引きをもっと磨いていかないと、年齢を重ねて球威が落ちたときに自分自身を苦しめてしまう。


いろいろな引き出しを手に入れたいと思った。

課題①スタミナの維持

先発に転向してまず課題となるのが、「長いイニングを投げ切ること」です。そのために松井投手がキャンプで挑戦しているのが、「ノーワインドアップ」です。昨シーズンは、抑えとしてコントロールを安定させるため、常に「セットポジション」で投げていました。

 

 

ただし「セットポジション」は、止まった状態から一気に力を生み出そうとするため、陸上短距離のスタートダッシュのようにエネルギーを使うと言います。これに対し「ノーワインドアップ」は、投げる前の動作が“助走”となり、楽に投げられると感じています。

松井裕樹投手

動いたところから力をつくって投げた方が、何球も投げていったときに消耗しないのではないか、という仮説でやっている。

課題②投球の幅を広げる

もう1つの課題が、「ピッチングの幅を広げること」です。抑えと違い、先発は試合の中で同じバッターと何度も対戦するからです。キャンプでは、ここ数年ほとんど投げていなかったカーブやフォークを試していたほか、抑えの時は長打の危険があるとして控えていた、右バッターの外角へのストレートも解禁し、ストライクゾーンを広く使うことも意識していました。

 

松井裕樹投手

まずはしっかり自分の形、先発としての自分の投球パターンをつくれるように1年間やっていきたい。

課題③ピッチングのテンポ

そして「ピッチングのテンポ」。伊藤智仁1軍投手チーフコーチは、試合の流れを呼び込む役割も先発には求められると指摘します。

 

伊藤智仁1軍投手チーフコーチ

先発は、試合をつくらないといけないので、投球のテンポやリズムも少し研究の余地があるのではないかと伝えた。

 

キャンプのブルペンで松井投手が実行していたのが、「捕ったらすぐ投げる」。

 

 

キャッチャーからの返球を捕ったらすぐに次の投球動作に入り、テンポのよいピッチングを体にしみこませる狙いです。ある日の投げ込みでは、69球で17分。つまり1球にかけた時間は平均でわずか15秒でした。

松井裕樹投手

味方の攻撃への流れやリズムを生みたい。少し早すぎる位で練習し、試合の時に楽に投げられるようにと思っている。

「1番」を目指す2020

 

先発としてあるべき姿を模索する松井投手。シーズンとともに見据えるのが、東京オリンピックです。去年11月の国際大会、「プレミア12」はコンディションが整わず、代表に選ばれながら出場を辞退。日本が世界一へ駆け上がる様子をテレビで見て、「あの中でやりたい」と強く誓ったといいます。

6月上旬に発表される代表選手は「プレミア12」より4人少ない24人。このうちピッチャーは10人程度とみられ、松井投手が抑えとしての実績に加え先発としても結果を出せば、起用の幅が広がり代表の座が近づくはずです。2月7日に視察に訪れた日本代表の稲葉篤紀監督も「先発と抑え、両方の気持ちが分かった方が成長につながる。先発としてどんな投球を見せてくれるか楽しみ」と期待を寄せていました。

 

松井裕樹投手

日本代表のメンバーに当然、選ばれたいし、そのためにシーズンでの活躍は必要不可欠。


結果を残すことに集中し、練習することがオリンピックにつながると思うので、まずは自分がやることをしっかりやってチームに貢献したい。ビールかけをしたことがないので、やりたいですね。

 

先発への転向を成功させ、背番号「1」の通り楽天で日本一、そしてオリンピックでも“1番”を実現できるか、松井投手の勝負の1年です。

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