ストーリー野球

巨人・菅野智之「エースの決断」

2020-02-14 午前 09:00

プロ野球の担当記者が、東京オリンピックの代表候補に注目するシリーズ。3回目は巨人の菅野智之投手です。新たなシーズンに向け大胆なフォーム改造に着手。プロ8年目で下した、「エースの決断」。宮崎キャンプでその背景と試行錯誤の日々を取材しました。

驚きの"新フォーム"

(左から)ソフトバンクの千賀投手、ソフトボール女子日本代表の上野投手、菅野投手

 

2020年1月中旬。菅野投手はソフトバンクの千賀滉大投手など球団の垣根を越えた福岡での自主トレーニングに参加。ここで見せた新しいフォームに大きな注目が集まりました。

 

巨人合同練習で投球練習する菅野投手

 

足を上げる前に両腕を大きく右に振ってから投げ始めたのです。その2日前にジャイアンツ球場で取材した時は、昨シーズンとほぼ変わらないフォームだっただけに突然の変化に驚きました。

理由を聞くと、「去年、全然だめだったから」とひと言。

 

2年連続で沢村賞受賞

 

菅野投手は新人の時から活躍を続け、プロ野球の投手で最高の栄誉「沢村賞」に2年連続で輝くなど絶対的なエースの地位を確立しました。ところが去年は、腰痛などの影響で3回戦列を離脱するなどローテーションを守ることができず、防御率も自己ワーストの厳しいシーズンになりました。

そして30歳の節目で、プロ入り後、初めて大胆なフォーム改造に取り組んでいるのです。

菅野智之投手

自分の中ではフォームを変えないことが、最大の強みだと思っていた。戸惑いは確実にあった。

同じ"エース"からの助言

上野由岐子投手

 

フォーム変更を後押ししたのは、福岡での合同自主トレ-ニングに参加していたソフトボール日本代表の上野由岐子投手の存在でした。上野投手といえば、2008年の北京オリンピックで、日本を悲願の金メダル獲得に導いたまさに大エース。37歳になった今もよりよいフォームを模索している姿勢に触れ、自身を見つめ直したのです。

 

上野投手と菅野投手

菅野智之投手

フォームを変えることはすごく勇気のいる決断。上野さんはその変化を、恐れずにやってきたので、今の自分があると言っていた。


僕も変化できなくなったらスポーツ選手として終わりではないかと思う自分もいたので。

 

上野投手から「新しいことに挑戦するタイミングはそう多くない」とアドバイスを受け、「今しかない」と決断したのです。

新たなフォームは何がいいのか

両腕を右に振ってから投げることで何がかわるのか。合同自主トレーニングで菅野投手に体の動きを指導したトレーナーの鴻江寿治(こうのえ・ひさお)さんによるとポイントのひとつが骨盤だと指摘します。

 

 

菅野投手の場合、骨盤の右側がやや前に出てそのぶん左側が後ろに引けているため、軸足にのってボールを投げるまでに体が開きやすいといいます。このため両腕を右に振ることでその開きを最小限に抑えられるというのです。

 

 

菅野投手は、「投げるときのバランスがよく体重移動もスムーズになった」と効果を口にします。その上でカーブについては、「スピンの量が増えて使える球種になった。勝負できるボールとしても使えそうだ」と手応えを感じています。

試行錯誤の日々

 

宮崎キャンプでは、両腕を振る動きにいくつかのパターンを作り、キャッチボールの時からどの投げ方がフィットするか試しています。

 

菅野智之投手

その日、その日で、体の状態も違うし試行錯誤している段階。こういう時にはこういう腕の動かし方をしようとかそういうのをまだ確立できているわけではない。


その日にあった腕の上げ方、体の使い方を毎日、丁寧にやっている。今、探っている段階。

 

本拠地・東京ドームで行われるDeNAとの開幕戦は3月20日。菅野投手が開幕マウンドに向け、新しいフォームをどのように仕上げていくのか引き続き、取材していきたいと思います。

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この記事を書いた人

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林田 健太 記者

平成17年入局

横浜局、静岡局、大阪局を経て、スポーツニュース部。おととしはサッカー担当としてワールドカップ日本代表を取材。去年は、巨人担当としてチーム5年ぶりのリーグ優勝を見届けた。

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