ストーリーフィギュアスケート

“抜群の身体能力” 鍵山優真・“生粋のジャンパー” 佐藤駿 若きスター候補が競演!

2020-11-19 午後 07:40

11月27日(金)~29日(日)に開催されるNHK杯フィギュア。1979年にアジア初のフィギュア国際大会としてスタートし、国内外のトップ選手らが華麗な演技を競ってきました。しかし、今年は世界的な新型コロナウイルスの影響で、羽生結弦選手も紀平梨花選手もロシア勢も出場しません。

そんな“いつもと違う”NHK杯に、日本のフィギュアの未来を背負う若きスター候補が登場します。2020年のユースオリンピックで金メダルを獲得した17歳の鍵山優真選手。そして、抜群の安定感を誇る4回転ジャンプが武器の16歳、佐藤駿選手です。底知れぬ可能性を秘めた2人の魅力を、長野オリンピックとソルトレークシティオリンピックに出場した本田武史さんに聞きました。

折り紙付きの身体能力 鍵山優真選手

2020 フィギュア 東日本選手権 ショートプログラム

 

――注目を浴びる鍵山選手とは、いったいどんなスケーターなんでしょうか?

 

最大の魅力は身体能力の高さにあります。とくに足腰の強さは折り紙付き。ジャンプの回転の感覚もそうですし、ジャンプをした後に余裕をもって降りてこられます。その安定感は日本選手のなかでも、かなり高いと言えます。彼の身体能力の高さは、ここ1~2年でかなり強化されているように見えますね。

 

また、本番での強さという点も魅力的。四大陸選手権やユースオリンピックでも結果を残していますし、それが彼にとって自信につながっているんだと思います。今年の全日本合宿でも順調な仕上がりを見せていました。これから試合をこなしていくことで課題も見つかるだろうし、その課題を克服してどんどん点数を伸ばしていく可能性もあると思います。今年は4回転を2種類跳ぶプログラムになっていますが、それを初戦からしっかりできている。まだまだ進化の過程にあると感じています。

 

 

 

――逆に、鍵山選手の課題はどの辺にあると思いますか?

 

2020 フィギュア 東日本選手権フリースケーティング

 

もともと表現力のある選手だとは思いますが、シニアの大会に出たときの自己アピールとか、滑っているときのオーラはまだまだ見せられていません。たとえば、羽生結弦選手はリンクに立った瞬間にリンクが張り詰めるような空気が流れますよね。トップ選手ともなると、こうした自分なりのオーラや空気感というものをはっきりと感じられるものです。そうした風格のようなものが備わってくれば、もっとジャッジの気持ちをつかめるはずです。

負けず嫌いの生粋ジャンパー 佐藤駿選手

2020 フィギュア 東日本選手権 フリースケーティング

 

――そんな鍵山選手と同世代のライバルとされる佐藤選手には、どんな特徴があるのでしょうか?

 

彼は生粋のジャンパーです。とくに本人もこだわっている4回転ルッツは今大会の見どころのひとつです。ジュニアの頃から、とにかく負けず嫌いで、その性格がプログラムに表れたりもします。たとえば、全日本ジュニアの大会で、前半に失敗したトリプルアクセルを一番最後に入れてくるとか、予定していなかった4回転を入れてくるとか、かなり勝負にこだわるタイプでもあります。シニアに本格参戦して以降も順調に成長しているように見えますし、NHK杯でも負けず嫌いな演技を見せてくれるかもしれません。

 

 

――では、佐藤選手の課題とは?

 

2020 フィギュア 世界ジュニア選手権 フリースケーティング

 

スケーティング全体のスキルアップでしょう。ただ、スケーティングのスキルというのは一朝一夕で上手くなるようなものではありません。まだ年齢も若いですから、今はとにかくジャンプに特化してもいいんじゃないかと思います。もちろん、スケーティングスキルを磨くことは大事なポイントですが、よりジャンプを活かすような自分なりのスケーティングを身につけたほうがいいでしょう。それほどジャンプに魅力のある選手です。

 

――鍵山選手と佐藤選手の最大の違いはどこにありますか? また、二人の世界での立ち位置は?

 

鍵山選手のほうがトータルバランスで優れている選手で、佐藤選手はジャンパーという点ですね。両選手とも世界のトップクラスにかなり近づいている選手だと思います。ただ、新型コロナの影響で世界の他の選手の動向が見えないので、現状でどのぐらいのポジションにつけているのかは断言できません。それでも、鍵山選手はすでに関東選手権で世界5位相当(非公式)になる点数をたたき出してもいるので、世界選手権の最終グループに残れるだけの実力を備えていると考えられますね。

今年のNHK杯で新たなスター誕生も!?

――今年のNHK杯は、若い世代にも注目ですね。

 

今回はコロナショックの影響で日本選手中心の出場になりました。でも、それが逆に新たな魅力でもあると思います。この伝統ある大会にジュニアの選手も出場できるというのはなかなかありません。あまり知られていないジュニアの選手のなかにもキラリと光る選手もいます。ファンの皆さんにとっては「こんな選手もいるんだ」という新しい選手の発見にもなると思います。そういった視点でも楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。

 

2020年11月8日の東日本選手権 ジュニアで優勝した三浦佳生(かお)選手

 

――最後に、今大会の展望をお聞かせください。

 

この状況ですから、選手たちにとっては、「試合に出られる」「リンクで滑れる」という環境は大事なこと。長期間リンクから離れていた選手は、恐怖心があるかもしれません。でも、どんな状況にあっても、選手たちは自らのスキルを磨き、調整してきています。今回のNHK杯にかける思いというのは、かなり強いでしょう。ジュニアの選手にとっても、伝統あるNHK杯に出場できるという喜びをぜひかみしめてほしいですね。

 

そんな大会で、やはり男子シングルは、鍵山選手と佐藤選手が表彰台争いに絡んでくるはずです。そこにベテラン勢がどう食い込んでくるのか。また、ジュニアの選手がまさかの表彰台という可能性もゼロではないので、そうした波乱の展開も期待できると思います。選手にとってもファンの皆さんにとっても有意義な大会になると信じています。

 

 

今年のNHK杯はひと味ちがう!男子フィギュアの新たなスターたちの雄姿を見届けましょう!

本田武史

1981年3月23日生まれ。
史上最年少の14歳で全日本選手権初優勝を飾るとともに、長野オリンピックへも史上最年少の16歳で出場を果たす。2002年ソルトレークシティオリンピックで4位入賞。2002年、2003年の世界選手権では2年連続となる銅メダルを獲得。日本選手として初めて競技会で4回転ジャンプを成功させたスケーターでもあり、2003年の四大陸選手権では、フリースケーティングで2種類の4回転ジャンプを3回成功という偉業を成し遂げた。 今年のNHK杯フィギュアの中継で解説を担当する。

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