ストーリーフィギュアスケート

髙橋大輔選手の演技をもっと楽しめる! 初心者向けアイスダンス入門 NHK杯フィギュア

2020-11-24 午後 04:09

今年の2020NHK杯フィギュアで注目度急上昇の種目がアイスダンスです。バンクーバーオリンピック男子シングルの銅メダリスト・髙橋大輔選手が、アイスダンスに転向して初めての公式戦に挑戦するのです。そこで、初心者でも楽しめるアイスダンスの見どころをたっぷりご紹介します。教えてくれるのは、かつてはアイスダンスの選手として、現在は振付師として世界で活躍している宮本賢二さんです。

宮本賢二

フィギュアスケート振付師。元アイスダンス選手。
2010年バンクーバーオリンピックで銅メダルを獲得した髙橋大輔選手の振付や、 羽生結弦選手のエキシビション、浅田舞・真央姉妹のペアプログラムなどを担当。

優雅で美しい動きにうっとり  アイスダンスの特徴と魅力

ーー まずは、アイスダンスという種目の特徴を教えてください。

 

2019 GPシリーズ NHK杯 ガブリエラ・パパダキス(左)ギヨーム・シゼロン(右)

 

アイスダンスは、簡単にいうと男女ひと組で音楽に合わせてステップやリフトといった技を行う競技です。特徴としては、シングルと違いジャンプがありません。代わりに、男性が女性を持ち上げる「リフト」や2人で行う「アイスダンススピン」、2人が手を離した状態でそろって行う「ワンフットステップ」などがあり、それらがアイスダンスならではのエレメンツ(要素)になります。

 

男女ひと組で演技するのでペアと似ているんですが、ペアにはジャンプがあります。「スロージャンプ」といって、男性が女性を引っ張り上げて持ち上げ、クルクルと回す技なのですが、アイスダンスにはそれがありません。スピンやステップは似ている部分もありますが、また違った見方があると思います。

 

ーー ルールが複雑だと聞きましたが、初心者でも分かりやすいようにルールについて簡単に教えてください。

 

2019 GPシリーズ NHK杯 シーユエ・ワン(左)シンユゥ・リウ(右)

 

細かいルールはたくさんありますが、大きく分けて「リズムダンス」と「フリーダンス」の2つがある、というところから覚えると良いと思います。リズムダンスはその年に決められたリズム。例えば、ワルツの年やジャズの年などがあるのですが、そのリズムを使用した曲を選びます。さらにその曲の中で「パターンダンス」という全員同じステップを滑り、まずアイスダンスの正確さや美しさを競います。一方、フリーダンスは、文字通り自由。リフトやスピンの数は決まっていますが、滑るコースや演技の組み立て方などは自由なので、より個性を出すことができます。

 

採点は、点数の高さで競います。レベルが4段階あるのですが、レベル4のステップやリフトをしっかり決めるとその技の点数が追加され、なおかつ出来栄えがよくスムーズであれば出来栄え点といわれるGOE(Grade of Execution)がプラスされるので、より高い得点を獲得することができます。

 

ーー 宮本さんが思う、アイスダンスの魅力はどんなところですか?

 

まずは、なんといっても“氷上の社交ダンス”と表されることもあるくらい、優雅で美しい動きが魅力ですね。そして次に、“2人で作るストーリー性”でしょうか。シングルでは1人で滑るので、(男女の恋愛のような)相手がいるストーリーを表現するには想定・想像しながら滑ることになりますが、アイスダンスでは実際に相手がいるので想像しやすいかなと。よりストーリー性を見せることができるのがアイスダンスの魅力なのかと思います。

 

2019 GPシリーズ NHK杯 アンソニー・ポノマレンコ(左)クリスティーナ・カレイラ(右)

ビギナーでも楽しめる!アイスダンス観戦の注目ポイント

ーー 初めてアイスダンスを観戦する人や、アイスダンスにあまり詳しくない人に向けて、どんなところに注目して観戦すると楽しめるのか、ポイントを教えてください。

 

ルールとか難しいことは置いておいて、初めは演劇や舞台、映画を観るような感覚で見てもらうと楽しめるんじゃないかなと思います。「うわぁ、綺麗なスケートだなぁ」とか「夢中で見て引き込まれてしまった」とか、リラックスして演技を感じてもらえたら。そう思えるということは、振り付けやスケーティングが素晴らしかったという証になりますからね。

 

2019 GPシリーズ NHK杯  ルイス・ギブソン(左)ライラ・フィアー(右)


もう少し具体的なところでいうと、表情と手の動きにも注目してみてください。他のフィギュア競技に比べて、アイスダンスは表情を作ることと手の形が重要とされているので、見ているとみんな個性があって魅力的です。

 

あとは、背中も注目ポイントですね。男女で体を組むことが多いので背中が見える場面が多いんです。なので、抽象的ですが“背中で醸し出す雰囲気”というのがあって、僕も現役時代は「背中で語りなさい」と先生によく言われていました。

 

2019 GPシリーズ NHK杯  シェーン・フィルス(左) キャロラーヌ・ソシース(右)


ーー 振付師だからこそおすすめしたい、「ここに注目すると面白い!」というポイントはありますか?

 

もしバレエやダンスが好きな方が見るのであれば、スケート靴に注目すると面白いかもしれません。“スケート靴が目立たないスケーター”というのがいるんですよ。スケート靴は大きいので、本来はかなり目立ってしまうのですが、良い演技をする選手というのは足先に力がしっかり入っていて、頭の先からつま先まですごく気を遣っているので靴が目立たないんです。

2020NHK杯フィギュア 注目ペアとその魅力に迫る!

ーー いよいよ11月27日からNHK杯がスタートしますが、今年はどんな大会になりそうでしょうか?

 

NHK杯は各国の代表が集まって試合をする大会なのですが、今年はコロナの影響で練習拠点が日本の選手、ほぼ日本人のみがNHK杯に出ます。いつもなら「日本人枠」があって、日本がすごく盛り上がる大会なのですが、今回はほぼ日本人のみなので特殊な感じですね。観客もあまり入れられないですし、いつもの雰囲気とは少し違う感じになるのではないでしょうか。

 

ーー 宮本さんが注目しているペアと、その魅力について教えて下さい。

 

2020 フィギュア アイスエクスプロージョン 村元 哉中 髙橋 大輔

 

やはり、なんといっても村元哉中(かな)・髙橋大輔組ですよね。2人が初めてプログラムを見せるというのはもちろんすごく楽しみなんですが、それを聞いたであろう他のカップルも楽しみです。去年よりさらにパワーアップしたアイスダンスが観られるのかなと思います。

 

2020 フィギュア 西日本選手権 小松原美里 ティム コレト


とくに小松原美里・ティム コレト組は長年アイスダンスをしているので、底力を見せてくれるのではと期待しています。

 

ーー 村元哉中・髙橋大輔組には、どんなところに注目されていますか?

 

まだ2人の滑りをきちんと観たことがないので何がどうお楽しみなのか全然わからないのですが(笑)、そこも含めて楽しみですね。新しいカップルであることに加え、髙橋選手という実力、人気ともに備わった選手がシングルからアイスダンスに転向して初めての年であること…と必然的に期待が高まります。

 

髙橋選手とは公私共に交流があるのですが、華やかで表現力も豊か、スケーティングもピカイチな彼がアイスダンスでどんな演技を見せてくれるのか今からとても楽しみです!

 


11月27日から始まる、2020NHK杯フィギュア。新しい風が吹き込みそうな予感のアイスダンスに、ぜひ注目してください!

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