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特集 照ノ富士 大関復帰を目指して 「できることを一生懸命」

相撲 2020年11月13日(金) 午後1:45

ただただ、照ノ富士の強さが際立つ一番だった。11月場所5日目、初日から4連勝どうしで対戦した小結・照ノ富士と平幕の北勝富士。非常に充実した内容で白星を重ねてきた両者、どちらの力が上回るのか、今場所の優勝争いにも大きく影響する取組として注目されていた。今場所の北勝富士は、強烈な左右のおっつけがさえ、前に出る馬力も抜群。同世代の力士たちが先に大関へ上がっていったが、その実力は決して劣るものではない。

 

(11月場所5日目 照ノ富士が上手投げで北勝富士を下す)

 

その北勝富士を照ノ富士は、持ち前の怪力で宙に浮くほどの強烈な上手投げで豪快に放り投げ、圧勝した。今場所の照ノ富士が、いかに充実しているかをうかがわせる一番だった。腕力ばかりに目が行きがちだが、照ノ富士の強さはそれだけではない。北勝富士の強烈な当たりをものともせずに受け止める立ち合い。さらに右を差されても体を巧みに寄せ、抱え込むようにして得意の左上手を取る技術。圧勝にも眉ひとつ動かさず、涼しい表情で勝ち名乗りを受け、精神面での落ち着きぶりも際立っていた。

 

(11月場所5日目 照ノ富士が上手投げで北勝富士を下す)

 

初日から5連勝にも「場所は終わってないんで」と気にもとめない。今、見据えているのは、大関に復帰するという目標だからだ。たび重なるケガと戦い続けてきただけに、「3場所で33勝」という大関昇進の目安をクリアすることがいかに厳しいことが十分にわかっているのだ。それでも今の照ノ富士には大関時代と遜色ない力が見える。5日目で早くも二横綱・二大関が休場する中、三役以上で初日から勝ち続けているのは、照ノ富士のほかは大関・貴景勝だけ。「できることを一生懸命やってるだけなんで」。謙虚な言葉とは裏腹に不敵な表情から“今場所の主役は俺だ”という揺るぎない自信がかいま見えた。

          

 

この記事を書いた人

清水 瑶平 記者

清水 瑶平 記者

平成20年 NHK入局。熊本局、社会部などを経て、平成28年からスポーツニュース部で格闘技を担当。学生時代はボクシングに打ち込む。

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