ストーリーサッカー

サッカー日本代表 コロナ禍の中で欧州合宿のワケは?

2020-11-12 午後 06:30

サッカー日本代表は11月9日からオーストリアでの強化試合に向けた合宿に入りました。コロナ禍で団体競技の日本代表が海外で活動するのは異例のこと。強豪国と対戦しやすい環境を求め、ヨーロッパの中でも感染リスクが比較的低い国を慎重に探してオランダとオーストリアを強化の場に選んだのです。

 

責任者を務める反町康治技術委員長は10月のオランダでの活動を振り返りつつ、今回のオーストリアでも万全の感染対策を進めようと考えています。

コロナ禍で異例の海外合宿

反町技術委員長

反町技術委員長

ここで何かあったら、日本のスポーツ団体が海外に出るうえで、大きな歯止めになってしまう。ものすごく神経をとがらせた。

 

反町技術委員長は10月のオランダ遠征を、こう振り返りました。日本では海外からの帰国後、2週間の自主待機が求められることからJリーガーの選出を断念し、史上初めて海外組だけで編成しました。まず重要だったのが代表活動の拠点選びでした。

 

入国の規制があるかどうかや帰国後の制限の有無を考慮し、中心となるメンバーが、より集まりやすいとして、オランダ・ユトレヒトに決めました。セルビアとロシアのリーグに所属する選手についてはオランダの入国に制限がかかり、招集できませんでしたがヨーロッパの8か国、あわせて22のチームから選手を選びました。

 

ヨーロッパでは、感染拡大の状況が日々悪化。9月下旬には、スペイン、ドイツ、それにフランスのチームに所属する選手が招集できないと判断された時期もあり、コロナ禍で各地からメンバーを集める難しさを感じたと言います。

反町技術委員長

1回、本当に、これはちょっと合宿は無理だなという時もあった。フル代表は寄せ集めのチームではなくて、トップチームでなくてはいけない。代表の価値を落とさないためにも自分たちの中で格闘した。

 

このとき、オランダのスポーツ当局の尽力で事なきを得たといいますが、代表活動ができるかどうかは、まさに綱渡りだったと明かしました。

滞在先、現地での対策

 

滞在先についても細心の注意を払いました。外部との接触を断つため、ホテルの別館を貸し切りにしました。密になりやすいバス移動を避けるため、選手たちはホテルから600メートル歩いてグラウンドに向かいました。

 

 

体調管理についても万全を期すため試合の2日前にはPCR検査を実施。選手やスタッフ全員の陰性を確認したうえで、試合に臨みました。

 

 

最も気をつかったのが食事でした。ふだんは円卓を10人ほどで囲みますが、飛まつ感染防止のため選手は1つの机に1人ずつ、同じ方向を向いて座って食べました。

 

 

ビュッフェ形式の食事を取り分けるときは、必ずマスクを着用。携帯用の消毒スプレーを1人1人に持たせ、席に戻ると必ず消毒するよう徹底しました。

 

感染者なく試合で結果も

その結果、陽性者を1人も出すことなく遠征を乗り切り、強化試合もアフリカの強豪を相手に1勝1引き分けでした。

 

反町技術委員長

ホッとしている。選手も活動の意義を感じていたと思うし、日本のスポーツ界にも、あまりいいニュースが届けられない中でちょっとでもプラスのニュースになった。だからこそ次の活動も同じように気合いを入れてやらないといけない。

オーストリアで合宿へ

9日からの今回の合宿は、オーストリア・グラーツに場所を移して行われます。選手とスタッフは丘の上にあるホテルに滞在し、オランダへの遠征と同様に外部との接触を断ちます。

 

今回の合宿ではドイツのチームに所属する一部の選手が、帰国後の活動制限のため不参加となるなど、開催に予断を許さない状況は変わりません。感染予防の徹底とチーム強化を、どう両立させるか。難しい課題を突きつけられながらも、その先を見据えています。

反町技術委員長

来年はワールドカップの2次予選、最終予選と7月はオリンピックという非常に盛り上がる年でもある。それを前提に活動をしていることを忘れずに、いい強化の期間にしたい。

この記事を書いた人

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武田 善宏 記者

2009年NHK入局

鹿児島局→福岡局→スポーツニュース部

プロ野球を3年間担当したあと今夏からサッカー担当として日本代表、Jリーグを取材

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