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特集 大関 貴景勝「結果は求められている」

相撲 2020年11月11日(水) 午後3:20

「不戦勝」の幕が国技館の土俵上で掲げられた11月場所3日目、大関 朝乃山が右肩を痛めて休場した。

 

 

両横綱が初日から不在の今場所は、三大関が場所を引っ張る役目を担っていたが序盤でまさかの朝乃山が休場。早くも期待の看板力士の1人がいなくなった。

 

 

そんな中、注目を集めたのが大関 貴景勝の取組だ。この日は、前頭筆頭、霧馬山との一番。立ち合いから素早く左上手を取られて押し込めない。がっぷり組み合う展開となり、土俵際までずるずる後退し万事休すかと思われた。それでも気迫を表情に込めて、土俵際でくいっと体を右にひねりながら得意の左で捨て身の突き落とし。みずからも土俵下に転落した。執念で辛くも白星を挙げ、大きく息をつきながら勝ち名乗りを受けた。

 

貴景勝「どんな形になっても、自分のやってきたことを信じてやることしかできない。全部、思い通りの相撲は取れない。その中で、しっかり力を発揮できたら」

 

 

大関として8場所目の土俵で決して本意ではない内容でも、看板力士として白星を重ねる重要さを自覚してのことばだ。初優勝から2年、大関として、まだ優勝のない貴景勝は、多くのファンが二文字を待ち望んでいることを十分すぎるほど感じている。

 

貴景勝「結果は求められている。一生懸命、どんどん攻める相撲を取っていきたい」

 

場所前には珍しく“結果”ということばを発した。新大関の場所でひざをケガし、在位わずか2場所で大関から陥落する屈辱を味わった貴景勝が、“結果”という形で表現した優勝への強い決意。みずからの相撲を取れない場合でも気迫を前面に出すことを失わなければ必ずや、大関での初優勝に近づいてくるだろう。

この記事を書いた人

小野 慎吾 記者

小野 慎吾 記者

平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。

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