ストーリー野球

生まれ変わってもキャッチャーはやらない!? 里崎智也が教えるキャッチャーに必要なこと

2020-11-14 午前 11:00

野球の9つのポジションの中でも、特別な役割を担うキャッチャー。

唯一、グラウンド全体を見渡せる向きでプレーする「グラウンド上の監督」ともいわれる重要なポジションです。


そのキャッチャーに、監督やチームメイトから指名されたら・・・。


まず何を覚えて、何を考えて、どのように取り組めばいいの?
子どもがキャッチャーをやることになったら、親として、どうアドバイスすればいいの?


右も左も分からないキャッチャー初心者のお悩みを、プロ野球・ロッテでプレーしたキャッチャー・里崎智也さんが2回にわたって解決します。

 

ご自身も2人のお子さんを持つ里崎智也さんにキャッチャーとして大事なことを教えていただきました。

 

後編「里崎智也が力説!ダイヤの原石をつぶさないのではなく
石ころをダイヤに変えろ!」はこちら

 

里崎智也(さとざき・ともや)

1976年5月20日生まれ、徳島県鳴門市出身。鳴門工業高校から帝京大学に進学し、4年時に正捕手として22年ぶりのリーグ優勝に貢献。1998年のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズから2位指名を受けて入団。プロ通算1089試合出場、打率.256、108本塁打、458打点。2006年と2007年に2年連続でベストナインとゴールデングラブ賞を受賞。2014年に現役引退。現在、野球解説者、タレント、ユーチューバーとして活躍。千葉ロッテマリーンズスペシャルアドバイザー。

キャッチャーになったきっかけは「やれ」と言われたから

肩の強さを見込まれて、小学4年生からキャッチャーひと筋。
僕らの時代、選択の自由はありませんでしたから(笑)

 

子どものころから肩が強かったという里崎さん 現役時代の送球練習中。

 

小学2年生から地元の軟式チームで野球を始めて、キャッチャーになったのは4年生からです。監督からやれと言われて。僕らが子どものころは、選手がやりたいポジションを選択できる自由はありませんでしたから(笑)。良いも悪いも、好きも嫌いもない。「ああ、俺はキャッチャーなんや」という感じでしたね。正直、キャッチャーが楽しいと思ったことはないですが、嫌だなと思ったこともなかった。

 

どうして僕がキャッチャーに選ばれたのか、詳しくは聞いていませんが、肩が強かったからというのが理由の1つだったらしいです。
鳴門市のソフトボール投げ大会で優勝するほどでしたからね。

キャッチャーとしても野手としても大事なのは「取る」「止める」「投げる」

キャッチャーのプレーは、他の野手と同じ。
最も簡単で、最も大事な「取る」「止める」「投げる」の基本動作をしっかり身につけよう。

 

どのポジションでもいえることですが、キャッチャーにとって大事なことは、まず、ピッチャーの投げるボールを「取る」こと。次に、どんなボールも「止める」こと。そして、受け止めたボールを「投げる」こと。

当たり前で簡単そうですが、実はこの3つの基本動作を順番どおりに、そして「完璧に」こなすことが大切です。

特に最初の「取る」がうまくできなければ、止めることも投げることもできない。基本ができてくれば、ポジションは、その応用ですから。キャッチャーでも他の野手でもプレーはだいたい同じ。

 

逆に基本がしっかりしていないと、どこも守れない。だからこそ、まずはキャッチボールをしっかりやるべきだと思います。

キャッチボールはウォーミングアップではなく、最も大切な技術練習。
立った状態から少しずつ腰を低くして、最後に座ってキャッチ&スローできるようになろう。


ロッテの捕手として活躍した里崎さん

 

キャッチャーは座ってプレーするイメージがありますが、いきなり座ってキャッチボールをすればいいわけではありません。

 

キャッチボールは、まず、立ったままの状態でボールを取り、投げることが大事です。
短い距離でもいいのでしっかりキャッチして素早くスローイングする動作を繰り返します。「素早く投げ返そう」と思えば、直立不動ではなく自然と左足を前に踏み込んで投げる。
この立った状態の姿勢で「動きのリズム」をマスターすることが大切です。

 

ここから少しずつ、腰を落としていく。やがて中腰になり、最後に座る。
立つか、かがむか、座るかの違いがあるだけで、動きは全部一緒なんや、ということです。最初から座ってやろうとするから難しく感じるわけで。

 

キャッチボールは体をほぐすウォーミングアップだと思っている人がとても多いですが、とんでもない、技術力を高める重要な要素が含まれた練習メニューです。
キャッチボールでしっかり取り、投げることができないのに、ピッチャーの投げる球やノックの打球を取れるわけがない。

短い距離で確実に、強く。キャッチボールで肩の力を鍛えよう

 

ピッチングもバッティングも、昔に比べれば、今の子どもたちはかなりレベルが上がっていると思います。でもキャッチャーについては、正直に言って、今の子どもたちは、下手。

 

なぜそう思うのかというと、今の子はとにかく肩が弱い。僕が小学6年生のころは、徳島の片田舎でさえ、ほぼ全員がホームベースからセカンドベースまでノーバウンドで投げられた。今、それができる子をほとんど見かけません。だから、盗塁は自動的にセーフみたいなルールで練習しているチームや、盗塁を禁止すべきだなんて議論もある。

 

キャッチャーには、肩を強くする練習が必要です。

どんな練習をすべきかといえば、ここでもやはりキャッチボールです。

 

まずは、ホームベースからマウンドまでの距離をしっかり投げられるように。
次に、マウンドとセカンドベースの中間くらいまで。そして最後にセカンドベースまで。ただし、ボールが山なりになってはダメ。自分の目線より少し高いくらいの軌道で相手に届くくらい、強く投げることが大事です。まずは子どもがノーバウンドで届く距離に合わせて投げること。短い距離でもいいから、正確に強く投げる練習を10球でも20球でもやり続ければ、その積み重ねで1か月後には長い距離を投げられるようになる。そうやって肩を強くしていく。無理をして遠投ばかりやったり、離れたところからツーバウンドやスリーバウンドで投げたりする必要はありません。
フォームが崩れて肩やひじを痛めるし、コントロールも悪くなる。ケガのもとです。

キャッチャーとして「考えること」は、投手にいいボールを投げてもらうこと

あれこれと難しいことを考えなくていい。
バッテリーを組む投手に、いいボールを投げてもらうことだけを考えよう。

 

千葉ロッテ当時バッテリーだった小野選手と話し合う里崎さん

 

キャッチャーにとって一番大切な仕事は、ピッチャーのボールを受けることです。
キャッチャーになったらまずはそのことだけに集中すればいい。

 

バッテリーを組むピッチャーの持ち味は何か、今日のコンディションはどうなのか、今この瞬間の心理状態はどうなのか。ピッチャーがいいパフォーマンスを発揮できるように、全力でリードすることが一番です。

どんなときも堂々と顔を上げ、声を出すことが「しっかり考える」プレーにつながる

 

 

現役時代の里崎さん。2006年日本代表の合宿 にて

 

キャッチャーは、味方からも相手チームからも全員に見られるポジションですから、常に堂々としていなければなりません。大差で負けていようがミスしようが打たれようが、初回だろうが最終回だろうが、絶対に「下を向かないこと」。

 

キャッチャーが下を向いていたら味方は全員が不安になるし、相手は「弱気になっている」と感じて勢いづくでしょう。疲れていても、落ち込んでいても顔を上げることが大切です。

 

顔を上げていれば、自然とグラウンドを見渡せる。そうすると、いろんなことに気がついて声を出せるようになる。エラーをして落ち込む野手に「大丈夫、次はいけるよ!」とか、ストライクが決まらないピッチャーに「ど真ん中でいいよ!」とか。

 

声を出すことで、キャッチャーからの明確な指示になります。これは次にやるべきことを考えられているという証拠。相手チームに「どんなことを仕掛けてくるのか、こっちは分かっているんだから」と知らしめることもできます。

キャッチャーとして「続けること」は常に前を向いて声を出すこと

何事も率先して取り組むことで、チームを盛り上げよう。
人間的に成長できる一番いいポジションは、キャッチャーです。

 

僕は常々、「タダでできることを、どこまで必死にやれるかが大事なんや」と言っています。技術的なものは上手、下手があるのは仕方がないし、上達するまで時間がかかる仲間もいる。うまくできたりできなかったり、その日によって違います。でも、声を出したり、盛り上げたりするのは誰でもできること。1年生でも6年生でも、男の子でも女の子でも、体が大きくても小さくても。監督やコーチに頼りきらずに、キャッチャーがチームの中心となって「点差は離れているけど、よし、ここからの目標は1点取ることや!」と仲間をリードする声がけをしてくれればもう、最高ですよね。技術以外の部分でもしっかりできるようになれば、野球に限らず仕事でも、将来必ず役に立つ。人間的に成長できる一番いいポジションだと思います。

練習は「質より量」。キャッチャーミットでたくさんボールを受けよう

 

2013年クライマックスシリーズ

 

キャッチャーミットと野手が使うグラブは形も重さも機能も違います。ミットに慣れて使いこなせるようになることが大事です。学校やクラブチーム、社会人、プロの選手といった野球経験者で、キャッチャーミットを1年間ずっと使い続けたことがある人って実はかなり少ない。キャッチボールでも、キャッチャーは必ずミットを使って、とにかくたくさんのボールを受けるべきだと思います。大げさに言ったら、キャッチャーの練習をするためにバッティングセンターへ行くぐらいの気持ちで。

 

僕は小学生のころからかなりの数のボールを受けていましたね。僕の地元には農家がたくさんあったのですが、農作業は朝が早くて夕方には終わるので、毎日10人くらいのお父さんたちがグラウンドにやってきてガンガン、ボールを投げてくれた。それぞれが全員、1日100球も200球も毎日投げてくれたんですよ。だから、僕ら子どもは代わる代わる順番に打ちまくり。自分が打たないときは守備をするので、キャッチャーの僕はどえらい数のボールを受けることになる。気がつけば、1日で1000球とか当たり前だった。そりゃ、みんなバッティングが良くなるし、キャッチャーの僕も自然と上達するはずです。

 


前半はここまで。
後半はキャッチャーを持つ親御さんにとって大事なことを教えていただきます。

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