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特集 コロナ禍での国技館観戦入門

相撲 2020年11月5日(木) 午後4:45

コロナ禍で観客を4分の1の2500人まで削減して、7月場所、秋場所と2場所開催した大相撲。福岡から会場を国技館に移して開催する11月場所では、観客がいままでの倍の5000人まで増えます。力士との接触が禁止されたコロナ禍での国技館の新しい観戦の在り方を見ていきましょう。

開場は午後1時、体温が高いと入場を断られる

 

国技館での通常の開催では、序ノ口力士の取組に合わせて午前8時過ぎには開場されていましたが、観客が半年ぶりに入場した7月場所以降の開場は午後1時となりました。取組も序ノ口、序二段、三段目まで進んだ時間帯となっていますが、感染防止を最優先して午後から観客が入場します。

 

 

観客は国技館に入ると、まず体温を測られます。37.5度以上の場合には再度検温を行い、それでも37.5度以上あった場合には入場が断られて、入場券も払い戻しされる厳格な対応が取られます。すべて感染防止のために日本相撲協会が決めたガイドラインに沿った措置です。

力士との接触は禁止されている

 

関取衆の国技館入りと取組終了後に国技館から帰るときに大勢の相撲ファンが取り囲んで、握手やサインを求めるふれあいの機会は縮小されました。また会場内の力士の応援も大声での声援や観客同士のハイタッチなどが禁止されました。観客は拍手や力士の四股名の入ったタオルを掲げて静かに応援しています。

販売が再開された売店でも観客は距離を取り整列

 

7月場所から国技館内の売店の販売が再開されました。観客は密を避けて距離を取って並んでソフトドリンクやおみやげ品を購入しています。アルコール類の販売は禁止されて、桝席に友人と陣取ってお酒を飲みながら大相撲を楽しんでいた観客には新しい観戦スタイルが求められるようになりました。客席では食事は禁止され、飲食コーナーが新たに設けられて観客は、そこで食事を取れるようになります。秋場所から販売されたレトルト食品の「国技館カレー」も売店で買い求めることができます。

退場も1階、2階と密を避けて順番になった

 

観客の退場も1階席から2階席と順番となって、大勢が集中して密にならないように配慮されています。例年は福岡での九州場所が終わった後に、九州から沖縄を回って開催される冬巡業も今年は中止されました。さらに来年の春巡業の中止も決まっていて、力士との距離が近くふれあいの機会が多い巡業はまる一年間中止となってしまいました。

 

平成31年 初場所

 

コロナ禍が収束して観戦防止に配慮しながらも、通常に近い状態での本場所の開催や巡業が行われる機会が来ることを相撲ファンは楽しみに待ちながら、新しい相撲観戦のスタイルを守っています。

この記事を書いた人

北出 幸一

北出 幸一

相撲雑誌「NHK G-Media大相撲中継」編集長。元NHK記者。昭和の時代に横綱千代の富士、北勝海、大乃国らを取材し、NHKを定年退職後に相撲雑誌編集長となる。

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