ストーリー野球

V2!巨人・原監督が語る 大胆采配の原点

2020-11-06 午後 04:36

プロ野球 セ・リーグで2連覇を達成した巨人。優勝決定の試合後、原辰徳監督に副島萌生キャスターがインタビュー。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン、どのような信念を持って采配をしたのか。そして、その大胆な「原采配」の原点にも迫りました。

「険しい」シーズン どう乗り越えた?

 

10月30日夜。リーグ優勝を決め東京ドームのマウンドで宙を舞った原監督。そのおよそ2時間後、連覇の興奮も冷めやらぬ中、原監督はグラウンド上でインタビューに答えました。

*****

 

副島 原監督、優勝おめでとうございます。

 

 ありがとうございます。

 

副島 今の率直なお気持ちを聞かせていただけますか。

 

原 そうですね。やっぱり「長く険しい」ペナントレースであったな、という感じです。

 

ソーシャルディスタンスをとれるグラウンド上で優勝インタビュー

 

副島 今シーズンは新型コロナウイルスの影響もあり、特別な難しさがあったと思います。どんなところが、一番「険しかった」ですか。

 

原 やはり選手一人一人のコンディションの面ですね。チームがいいコンディションで戦いに挑めるか。この一点ですね。選手はもちろん大変ですよ。その上で世界中の人たちが悩みながら苦しみながら、考えながら過ごしている。野球界も同じような心境です。その中で過密日程を戦い、相手と正々堂々とした勝負をして行くのは、本当に険しいシーズンだったと思います。中でも選手は「心・技・体」の特に「体」の部分、非常にコンディションを作るのが大変だったのではないでしょうか。

 

副島 コンディションをピークにもっていくために、どういった取り組みをされたのでしょうか。

 

原 「レスト(休養)」というものは非常に重要視しましたね。チーム状態が比較的良かったものですから、早めに主力選手を休ませたり、あるいは移動ゲームの日は早めに選手を移動させたり、極力練習を抑えて試合に臨んだりですね。そういう点では、今までの野球界にはないルールを作って野球をやりましたね。

 

 

副島 やっぱりそれだけ今シーズンの過密日程は大変だったと。

 

 私は監督ですから自分が体を動かすことはないんですけど、本当に「すぐユニフォームを着る時間が来てしまう」感覚だったんですね。次の日がすぐに来るわけです。私が大変だと思ったくらいですから、やっぱりレギュラーで試合に出ている選手たちはですね、それはもう我々の想像できないくらいの大変さがあったと思います。

 

副島 そうなると、前日の結果を引きずってはいられないですよね。監督はどのように気持ちを切り替えていたんでしょうか?

 

 基本的に僕はいつでもフラットに、ニュートラルに勝負に挑もうと思っています。元来引きずるということがないタイプなんでね。前日にどういうことがあっても、それはどこかに反省点ができた、とプラスに考える。だからマイナスな考えで次の日に臨んだことはないですね。ですから監督として「そこそこ」できているのかなと思います。

キーマンたちが期待通りの活躍

副島 そういった中でも、ジャイアンツは今シーズン圧倒的な強さを見せたと思います。監督から見て、その強さの秘密はどこにあったと思われますか。

 

 まあ勝率という点ではね、良かったと思います。しかし一つの勝利をつかむまでに、どちらに転んでもおかしくないような拮抗したゲームが多かった。終わってみれば少し点差が開いたゲームもあったでしょうけれど、試合の分岐点、勝負の分かれ目というところで非常に勝負強く戦えたシーズンだったと思いますね。

 

副島 こんなことを言ったらダメなんでしょうけど、外から見ると優勝まである程度余裕があったのかなと考えてしまうんですが、監督としては全くそういった瞬間はなかったと。

 

原 それは全くないですね。ただしこの過密日程ですから、チームの中でどこかに「余力」を残した状態で次の日のゲームを迎えたい、そういうことは考えていました。

 

優勝会見に臨んだ監督と主力選手たち

 

*****

サンデースポーツでは、3月にセ・リーグの6監督を集めた座談会を開催しました。そこで原監督があげた優勝へのキーマンは、菅野智之投手と岡本和真選手。今シーズン、菅野投手は開幕から13連勝を達成。岡本選手は11月3日時点でホームランと打点でリーグトップと、「エースと4番」が見事期待に応えました。ふたりの活躍を原監督はどう見ていたか、尋ねました。

*****

 

 いやあ、座談会で言ったことはやっぱり当たっていたな!ということでしょうね(笑)。彼ら二人の活躍がなければ、ペナントレース優勝はもう少し険しかったと思いますよ。特に前半戦の岡本和真の奮闘ぶりというのはね、丸(佳浩)と坂本(勇人)が不調の時でも、ひとりでジャイアンツを引っ張っていってくれた。そこはすごく大きかったと思います。(菅野)智之は本当にシーズンをトータルでしっかりと戦ってくれてね、もう大黒柱でしたね。

「原采配」の原点にあるのは

副島 不調だった丸選手、坂本選手にバントのサインを出したり、ピッチャーを休ませるために増田大輝選手を投手起用したり、思い切った采配も多く見られたシーズンだったと思います。ご自身の采配についてはどう振り返りますか。

 

 まず丸と坂本には、不調だからバントのサインを出したわけではないんですね。チームが勝つために、ここではバントが必要だという判断のもとに出しました。当然増田をマウンドにあげた時も、長いペナントレースを戦う上ではこれがベストであると。シーズン前に、増田だけでなく他の野手に対しても「そういうゲームになったときにはマウンドにあげるよ」と言っていましたから、僕の中では有言実行であったということです。

 

増田選手の投手起用には賛否両論さまざまな反響があった

 

 *****

今シーズンも光った「原采配」。時に批判にさらされることも恐れず、野球界のセオリーにとらわれない大胆な采配で勝利を重ね、今シーズンは監督として通算1000勝も達成しました。その原点は何か尋ねると、返ってきたのは思いもよらない答えでした。

*****

 

副島 原監督はすごいなと思うのが、きっと監督の耳にもいろいろな声が届いていると思うんです。それでも全く「ぶれない」ですよね。

 

 はっはっは!まあ賛否両論というやつですな。僕はね、サンデースポーツのキャスターをやっていたことがあるんですけど(1996年~1998年)、最初はね「100人のうち100人に僕を支持してほしい」と思っていたんですね。当時の僕はユニフォームを脱いですぐ、引退してまもない時期の仕事だったわけです。だからその時は、100人全員が僕の言っていることに「そうだ」と思ってくれることを願っていました。でも世の中はそうじゃないんだと。キャスターをしていてそれは難しいということに気づいたんです。最終的にサンデースポーツのキャスターを卒業して僕はジャイアンツに戻るんですけど、最後には「賛成50人でいいんだ、反対が50人いたって怖くはない」と思えるようになった。それは今も自分の中で疑いはないです。大変勉強になる経験でしたね。だからですね、僕は「サンデースポーツが自分を育ててくれた」と思っていますよ。

 

副島 その言葉、とても勉強になります。…私たちに気を遣っておっしゃってるわけではないですよね?

 

 全然(笑)!僕の本当の気持ちですよ。

 

副島 でも采配が外れてしまった時、批判される怖さはありませんか。

 

 

 でもそれは結果論でしょう。結果論は二の次です。特に勝負の世界で結果論を言われたら、「はい、そうです」で終わり。次につながることはないですよ。結果論はあくまで結果論。自分がなぜそう思ったのか、なぜそういう戦術を使ったのか。そこにはちゃんと自分の答えがあるわけですから、それは変わらないわけです。

 

副島 批判を受けても変わらないでいること、私には無理かもしれないです…。

 

 大丈夫!あなたならできますよ。味方は50人でいいんだ、50人の敵がいても大丈夫なんだから。ただ大事なのは、例えば賛成49人反対51人となったら、反対の人が多くなったのなら、その時は反省する必要はあるということでしょうね。

 

副島 とても勉強になりました!

いざ日本シリーズへ

副島 さあ、次は日本シリーズです。昨シーズンはソフトバンクに4連敗。非常に悔しい思いをされたと思います。8年ぶりの日本一へ、今年はどのように戦いますか。

 

 

 私を含め、去年の悔しさというものを覚えている選手たちが多いということが、我々の非常に強いところだと思います。ただ自分が迷いの中で采配を振るったら、戦術を使ってしまったら良くないでしょう。自分たちの野球ができるか。それが短期決戦の一番大切なところですね。一人一人が自分の野球、チームの野球をする。そういう戦いをしたいと思います。

 

副島 今日はありがとうございました。

 

*****

批判は怖れない。自信と謙虚さを兼ね備えた強いリーダー。原辰徳監督は悲願の日本一へ歩みを進めます。

異例のシーズンとなった2020年の日本シリーズは、11月21日開幕です。

 

サタデースポーツ/サンデースポーツ

この記事を書いた人

画像alt入ります

副島 萌生 キャスター

NHKサンデースポーツキャスター
放送部だった高校時代に春のセンバツの開会式閉会式の司会を担当

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス