ストーリー野球

中日 福谷浩司投手 先発の使命にこだわるワケ

2020-10-30 午前 11:00

プロ野球中日の福谷浩司投手は、プロ8年目。

 

シーズン途中から先発投手陣の一角に加わると、大野雄大投手に次ぐ、チーム2位の7勝をマーク。自己最高のシーズンを送っています。その飛躍の理由は「先発投手としての“こだわり”」にありました。(記録は10月22日時点)

絶好調の要因は“精密なコントロール”

福谷投手は開幕2軍スタートでしたが、7月下旬から先発投手陣の一角に定着しました。10月20日まで、自身5連勝と安定感が増しています。

 

プロ入り後、シーズン最多となる7勝をマークしている飛躍を支えるのが、精密なコントロールです。これまで12試合で78イニング1/3を投げて、与えたフォアボールはわずか8つ。デッドボールも1つだけ。これが福谷投手の先発としてのこだわりの1つです。

福谷投手

四死球の少なさは自分も大きなテーマとして取り組んでいることで長いイニング投げられる投手になりたいのが1番だ。先発になった時にこれだけは理想だなと思っていた。

文武両道の投手としてドラフト1位で入団

 

福谷投手は愛知 横須賀高校から慶応大に進学。最速155キロの速球で注目されました。

 

そして8年前の2012年のドラフト会議。のちに二刀流で活躍し、現在、大リーグで活躍する大谷翔平選手が日本ハムに。巨人のエースとして君臨する菅野智之投手などがドラフト1位で指名される中、福谷投手は、地元中日が単独で1位指名し入団しました。慶応大理工学部出身の文武両道のピッチャーとしても大きな話題となりました。

絶好調の裏には大きな挫折

 

その福谷投手、プロ1年目から力のある速球を持ち味にリリーフ陣の一角に入りましたが、年間を通した活躍はできませんでした。

 

さらには昨シーズン、先発に転向しましたが、腰のケガで1試合のみの登板とプロ入り後、最少にとどまり、シーズンのほとんどをリハビリに費やす不本意なシーズンとなりました。

復活に向け重視したのは“睡眠”

 

「戦力外も覚悟した」というオフから復活を期した今シーズン。福谷投手が重視したのが、けがをしない体作りです。

福谷投手

睡眠にこだわっている。ことしからナイトゲームであっても、朝球場に行くということを始めた。

 

疲れを残さないように毎日の睡眠時間は8時間以上、そして質の高い睡眠を取るため、毎朝同じ時間に起きることを徹底。ナイトゲームであっても午前9時には球場に入り、体のケアなどの準備を心がけています。

福谷投手

睡眠を意識したことで本当に体は前より良くなったと思う。できることからコツコツというのは僕のモットーかもしれない。

“力を抜くピッチング”も習得

 

福谷投手が先発として最もこだわりは「1イニングでも長く投げること」そのために今シーズン、意識を変えたのが「力を抜くピッチング」です。

福谷投手

球速とかではなく、長いイニング投げられるようにということを試行錯誤しながら投げ続けて“こんなに力抜いてもいいんだ”という感覚が少し出てきている。力を抜く勇気というか、少しずつ形になってきたのかな。

先発の使命“完投”にこだわる

 

9月3日の広島戦。福谷投手の先発としてのこだわりがもっとも表れた試合でした。

 

この試合、7回まで完封ペース。しかし8回から投げ終わりの体勢が崩れはじめました。広島の4番鈴木誠也選手に投じた4球目。フォームに異変を感じた与田監督がマウンドへ行き様子を確認。鈴木選手は打ち取りましたが、8回ツーアウトで無念の交代となりました。福谷投手は帽子のつばで顔を隠しながら、涙を流しての降板となりました。

 

その涙の理由、それはあとアウト4つに迫っていたプロ初完投を成し遂げることができなかった悔しさからでした。

福谷投手

ああいう涙が出るというのは、自分が1番、ビックリしたところではある。“完投したい”“完投したい”と言って、なかなか達成できていない。今季中に完投できるようにしっかり頑張りたい。

 

「先発としてのこだわりを追求する」

 

プロ8年目で初の完投勝利を目指し、残りの試合に臨む決意です。

先輩の尽きぬ追求の心

 

実は福谷投手は、私の大学野球部の2年先輩。大学時代は先発もリリーフもこなし、大車輪の活躍でした。初めて間近で投球を見たときは、「人間が投げる球なのか」と衝撃を受けたことを今でも覚えています。そんな先輩が苦しんできたプロ野球の世界。

 

どれだけレベルが高いものなのかを改めて痛感していました。その中でも大学時代から変わらないのは、追求する心。大学時代には「投球動作における球の出所の見づらさの定量化」という研究を学会で発表するなど、「投手としての理想」を常に追い求めていました。

 

今回の取材でもその「追求の心」を知ることができ、野球への熱い思いを感じました。今後もチームの柱として活躍する先輩、福谷投手の取材を“追求”していきたいと思います。

この記事を書いた人

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竹内 啓貴 記者

平成27年NHK入局

横浜局ー沖縄局を経て、名古屋局で中日ドラゴンズを担当。小学校から大学まで野球を続けるも、社会人となって体重30キロ増で見る影もない。ちなみにポジションは投手でした・・・。

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