ストーリー野球

ソフトバンク 工藤公康監督 「鬼の采配」で3年ぶりの優勝

2020-10-28 午後 07:40

3年ぶりのリーグ優勝を果たしたソフトバンク。2位ロッテに激しく追い上げられながらも頂点を勝ち取ったのは、終盤に見せた怒濤の12連勝。

 

その背景には工藤公康監督の執念や厳しさを見せる「鬼の采配」がありました。

勝率1厘差に迫られて

開幕から激しい首位攻防が繰り広げられてきたパ・リーグ。8月に入り楽天、ロッテ、ソフトバンクの三つどもえの状態となる中、8月23日に単独首位に立ちました。

 

それから、およそ1か月半後、守り続けてきた首位の座が危うくなったのが10月9日でした。この日は2位ロッテとゲーム差「1」で迎えた3連戦の第1戦。昨シーズン、唯一負け越したロッテには、ことしも苦戦を強いられました。

 

 

第1戦は今シーズン、この日までソフトバンクに3試合負けがないロッテの先発、二木康太投手に7回を1点に抑え込まれ、1対3で敗れました。ロッテとのゲーム差はなくなり、わずか「勝率1厘差」で首位という状況になりました。

工藤監督

ここからがサバイバル。同じところに立たれたので、食うか食われるか、やるかやられるかという強い気持ちを持って戦うしかない。

「連勝街道」の始まり

 

工藤監督の思いは采配に表れていました。翌日の試合に勝って再びゲーム差「1」に離し、第3戦。

 

 

3点リードのソフトバンクは、6回、今シーズンリリーフ陣の一角を担い続けた泉圭輔投手を2人目でマウンドに上げました。そして1人を抑えたところで、3人目の嘉弥真新也投手にスイッチ。ツーアウト目を取ると、さらに4人目の高橋礼投手をマウンドに送り、無失点に抑えました。1イニングに3人の投手をつぎ込む執念の投手リレーでした。

工藤監督

絶対に負けられないし、あの回が肝だった。

 

この日も勝って、連勝し首位攻防戦を乗り切ったソフトバンク。快進撃はここから始まりました。

“残り20試合”のさい配

連勝を「4」に伸ばして迎えた15日のオリックスとの試合。今シーズンの残り20試合となったこの日から、工藤監督はさらにリーグ優勝に向けたラストスパートをかけ始めます。同点で迎えた6回。ノーアウト1塁2塁と絶好のチャンス。ここで打順が回ってきたベテラン松田宣浩選手に代打を送りました。

 

登場した川瀬晃選手は打率1割台。送りバントを決めるための起用でした。川瀬選手はしっかりランナーを進めて、その後の中村晃選手による勝ち越しのタイムリーヒットにつなげました。

 

 

なおも満塁となった場面で移籍1年目の今シーズン、打率1割台と苦しむバレンティン選手にも代打長谷川勇也選手を送りました。

長谷川選手

代えられたバレンティン選手の悔しさは分かっていた。

 

工藤監督の采配は的中。長谷川選手はプロ14年目にして初の満塁ホームランを打って、試合を決めました。

悲願のリーグ優勝

ロッテに1厘差に並ばれた10月の初めには、優勝争いは11月3日からビジターで行われるロッテとの直接対決までもつれるかと思われました。

 

しかし、ロッテの不振もあって10月21日に10連勝で優勝へのマジックナンバー「8」が点灯。23日には12連勝でその数を「4」まで減らしました。そしてマジックナンバー「2」で迎えた27日、ホームでの2位ロッテとの3連戦。工藤監督は「必ず決める」と気合い十分でした。

 

 

先発はベテラン、和田毅投手。

 

工藤監督は「経験も十分なので冷静なピッチングに期待したい」とマウンドを託しました。和田投手は起用に応え、落ち着いたピッチングでロッテ打線に6回を投げて8つの三振を奪い、ヒット3本に抑えて得点を与えませんでした。

 

 

打線も女房役の甲斐拓也選手がツーランホームランを打つなど39歳の力投に応え、5対1で勝ちました。3年ぶりで前身のダイエー、南海を含めると19回目のリーグ優勝を決めました。

 

新型コロナウイルスの影響で異例づくめの今シーズンを制したソフトバンク。優勝後グラウンドで行われたインタビューでは鬼の目に涙がうるんでいました。

工藤監督

ロッテと『ゲーム差なし』となったところから100%の力を出してくれて、選手が頼もしく見えた。ことしのコロナ禍の中で全力を尽くしてくれた選手には感謝を伝えたい。『2年連続でリーグ優勝をしていない』という思いが12連勝につながったのだと思う。僕らが何かを言わなくても、選手自身がやるべきことをやってくれたシーズンだった。

4年連続日本一へ

 

 

チームはここ2年、リーグ戦を2位で終え、クライマックスシリーズで優勝チームを倒して「下剋上」で日本一を成し遂げています。

 

「もうひと仕事」と気合い十分の工藤監督。迎え撃つ立場で4年連続の日本一を目指します。

工藤監督

勝つことしか考えていない。シーズンがすべて終わったらクライマックスシリーズに向けて準備をして、ひとつも落とさないつもりで勝ち抜きたい。あくまで日本一を目指しているチームなので、日本シリーズで勝てるように頑張りたい。

 

この記事を書いた人

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福原 健 記者

平成30年NHK入局。1年目に警察担当記者を経て、ソフトバンク担当2年目。趣味はラーメン屋の開拓。

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