ストーリー野球

楽天 牧田和久投手「楽しむ心で」

2020-10-21 午後 0:30

今シーズン、3年ぶりに日本球界に復帰した牧田和久投手。

安定した投球の背景には、アメリカで得た心の余裕がありました。

(記録は10月14日現在)

安定感抜群のベテラン

マウンドの地面すれすれから投げ込む、球界でも数少ないアンダースローの牧田投手。

11月で36歳を迎えるベテランは、主に勝ちパターンを支えるセットアッパーとして、ここまでチーム最多、リーグでも5番目に多い43試合に登板し、防御率は1点71。

新型コロナウイルスの影響で6連戦が続く日程にも「問題ない」と自信を見せていたとおり、安定したピッチングを続けています。

 

生命線は“駆け引き”

そんな牧田投手の最大の特徴は、テンポの速さです。

キャッチャーからボールを受け取ると、すぐに次の投球モーションに。

相手にじっくり構える余裕を与えず、バッターが慌てて審判にタイムを要求することも珍しくありません。はやい時は2分かからずに3つのアウトを奪います。

牧田投手はさらに、投球フォームの中でも「間」を変幻自在に操ります。

足をゆっくり上げたり、クイックモーションにしたり。

ストレートは130キロ台と決して速くありませんが、バッターのタイミングを巧みに外して打ち取ります。

牧田投手

 

バッターはタイミングだと思うので、どんどん投げられたら自分の間で打てなくて嫌だと思う。

 

「間」を支配するピッチングに輪をかけているのが、ストレートとの球速差が大きい90キロ台のカーブです。

大リーグで実績があるオリックスのジョーンズ選手が、牧田投手の“遅すぎる”カーブに全くタイミングが合わず、苦笑いを浮かべる場面もありました。

18点44メートル離れたバッターとの駆け引き。勝敗に直結する試合終盤の緊迫した場面でマウンドに上がる心境を尋ねてみると、少し意外な答えが返ってきました。

牧田投手

 

プラスのことしか考えていない。自分のピッチングをして打たれたら、しょうがないと開き直って投げている。まず選手が楽しまないと、ファンも楽しめないと思う。野球を楽しむことが大切。

 

駆け引きを支える「楽しむ心」

牧田投手がこのように考えるようになったのは、実は比較的最近のこと。

アメリカでの経験からです。おととし大リーグに挑戦しましたが、思うように結果を残せず、昨シーズンまでの2年間の多くをマイナーリーグで過ごしました。月に2日しか休みがなく、その2日間もバスで長距離移動だったという厳しいリーグで出会ったのが、恵まれない環境でも野球を純粋に楽しんでいる若い選手たち。大きな刺激を受けたといいます。

 

牧田投手

 

アメリカでは、選手の入れ替わりも激しくて、本当に年俸の低い選手もたくさんいたが、みんながすごく楽しそうにやっていた。日本にいたときは野球が仕事になってしまっていたが、自分が好きな野球をやっているんだから、楽しもうと思うようになった。

 

アメリカで得た心の余裕が、緊張した場面での相手との駆け引きにも、効果的に作用しているようです。

優勝争いも“楽しむ”

3年ぶりに日本球界に復帰したシーズンは残りおよそ20試合。

7年ぶりのリーグ優勝を目指す楽天は現在、3位とやや厳しい状況ですが、牧田投手は最後まで楽しむ心を忘れません。

牧田投手

 

自分のピッチングができれば、抑えられる自信がある。

今のところはそれができていることが結果に結びついていると思うので、これからも気持ちをプラスに考えて楽しんでやっていくだけ。

 

この記事を書いた人

画像alt入ります

並松 康弘 記者

平成26年NHK入局。新潟局を経て、仙台局で楽天担当3年目。野球は「中学から大リーグまで」幅広く愛する。

 

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!