ストーリー野球

高校野球 全国で初めて適用の球数制限 監督の思いは

2020-10-20 午後 07:00

今年のすべての大会を終えた北海道高校野球。実は2020年は、高校野球にこれまでにない新しいルールが導入された画期的な年でした。投げすぎによるケガから投手を守るために日本高校野球連盟が定めた「球数制限」です。その全国初の適用例が8月、南北海道大会の決勝で生まれました。決勝の中盤でエースが降板するという苦渋の選択を余儀なくされた札幌国際情報高校。有倉雅史監督に当時、そして今の思いを聞きました。

新チームをつくる札幌国際情報の有倉監督

 

札幌国際情報高校を率いる有倉監督は北海高校で投手として活躍し、日本体育大学を経て1990年に日本ハムに入団。8年間プロ野球でプレーしたあと高校野球の指導者となりました。2005年から国際情報の監督を務め、投手を中心とした守りの野球で昨夏、今夏と2年連続準優勝。取材に訪れたときには新チームでの練習が始まっていました。

有倉監督

いつもより夏休みが短かったりまだまだ時間が足りない部分はあると思うんですけど、この子らなりに少しずつできるようになってきていると思います。

 

有倉監督に伺ったのは、この夏経験した「球数制限」についてです。

今年から導入された「球数制限」

高校野球では以前からピッチャーの投げすぎによる肩やひじのけがが問題視されてきました。日本高校野球連盟はピッチャーをけがから守るため、今年から「1人の投手の投球数を週500球以内」とするルールを定め、2022年までの3年間を試行期間としました。

「球数制限」の影響を受けたエース

 

その「球数制限」の最も大きな影響を受けたのが今夏の国際情報でした。
昨年もチームを準優勝に導いた絶対的エース原田航介投手を擁し、初優勝をめざして臨んだ今大会。国際情報は1回戦で札幌日大、2回戦で東海大札幌と、強豪との対戦が続き、原田投手がほぼ一人で力投を続けます。もともと球数が多いという原田投手は1回戦で137球、2回戦で138球を投げていました。

有倉監督

コロナの影響で6月の半ばからしか練習ができず、その1か月後には大会だったので、次のピッチャーを育てるっていう時間は正直なかったです。本当に厳しいブロックだったので、1つ1つ勝つことだけを考えてやっていて、球数制限については準決勝ぐらいから少し考え始めました。

 

準決勝は過去全国優勝にも輝いた駒大苫小牧との対戦。
試合は両チームが序盤から点を取り合う展開となり、8回表終了時点で9-5と国際情報が4点をリード。途中でエースを交代させた駒大苫小牧に対して、国際情報は原田投手が続投。決勝を見据えて継投は考えなかったのか有倉監督に聞いてみると。

有倉監督

あの点差だとまだセーフティーな点差ではないと判断しました。駒大(苫小牧)の粘りなどを感じていたので、そこは全然替える余裕はありませんでした。


国際情報はそのまま原田投手が完投勝利。決勝進出が決まりました。
しかし、準決勝までの3試合で原田投手の球数はすでに425球。決勝で投げられるのは75球になっていました。

残り75球で迎えた決勝

迎えた決勝。有倉監督は原田投手を先発に起用します。

有倉監督

原田を先に投げさせるか、あとに投げさせるかという中で、一人でも多く原田が投げたほうがいいと考えたので先発で行けるところまでと自分の中ではイメージをしていました。今年はいろんなことを我慢しなければいけないシーズンで、本当に思いっきり最後まで悔いなく野球をさせたかったので、自分のスタイルを変える話は彼にはしていなくて、本当に自分のピッチングを最後までしなさいということを伝えました。

 

試合は札幌第一に先制されますが、国際情報も粘りを見せ、3対2の1点差で中盤5回。既に67球を投げていた原田投手は、この回2アウトをとったところで1週間の投球数が上限に500球に達しました。チームが1点リードを許す状況での途中交代。球数制限が適用された、全国で初めてのケースとなりました。

 

 

準優勝に終わった国際情報。有倉監督は新しいルールの中で戦う難しさを感じていました。

有倉監督

選手の体を守ることはやっぱり大事な事だと思うのでいろんな事を考えるいいきっかけになるとは思います。一方で、試合の流れ以外のところで違うことを考えないといけない部分があるので、そこは今までと違う難しさは感じました。
今回、決勝という場面でああいう降板のしかたっていうのはやっぱりこっちもつらいです。球数制限というルールを作るのであれば、日程なども含めて、そのルールを適用しないようにする必要があるかなと思います。

球児の体を守り、悔いなくプレーさせるには

 

北海道で適用され、注目を集めた新ルール・球数制限。球児の体を守りつつ、最後まで悔いなくプレーするにはどうしていくべきなのか、これから考えていく必要があります。

有倉監督

本当に生徒を潰しちゃいけないということを大事にしながら指導者をやってるが、生徒を守りつつ、高校野球を本当に最後までやり通してもらいたいっていう思いもやっぱりあるので、今回のことをきっかけにいい方向に話し合われるようなことになればいいなと思います。

この記事を書いた人

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磯貝 砂和 記者

平成30年NHK入局
スポーツ情報番組部を経て、札幌局勤務。現在はプロ野球中継なども担当。

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