ストーリー野球

広島 堂林翔太選手「待ち望んだ復活」

2020-10-16 午前 11:30

プロ野球 広島の堂林翔太選手は3年目の平成24年にフル出場してブレイク。カープ女子をはじめとした熱狂的なファンの心をがっちりつかみました。その後は長く不振が続きましたが、今シーズンは開幕からレギュラーの座をつかみ打線を支えています。「カープのプリンス」と呼ばれた活躍から8年。ファンが待ち望んだ復活の裏にはあるきっかけがありました。

去年9月 涙ぐむファン

昨シーズン、けがや不振に苦しみ28試合の出場に留まった堂林選手。9月12日の中日との試合に途中出場し、サヨナラヒットを打った時、スタンドでは涙を流す人の姿が見られました。復活を望むカープファン。しかし誰よりも強く望んでいたのは堂林選手本人でした。

 

2019年9月12日 広島-中日 9回サヨナラ打でガッツポーズの堂林選手

炎の前でプロ11年目の決意

ことしの1月9日、鹿児島市の寺で一心不乱にお経を唱える堂林選手がいました。

 

 

プロ11年目のシーズンのスタートは、毎年チームメートの會澤翼選手などと行っている護摩行。燃えさかる炎を前に大声でお経を唱え続け、精神面を鍛える厳しい修行。終了後、堂林選手は新たな1年への強い決意を口にしました。

 

堂林選手

 

ここ数年、大した活躍をしていない。1年間、1軍にいたい。今年こそは戦力になれるようにやっていきたい。

後輩 鈴木誠也選手のアドバイス

堂林選手の躍進のきっかけになったのが、シーズンオフ春のキャンプでの2人のアドバイスだったといいます。1つは後輩の鈴木誠也選手。オフの自主トレーニングを共にした中で1つの助言を受けました。それがセンターから逆方向への意識。上半身をひねって構えて打つ堂林選手に「右中間をセンターだと思って打てばいい」とアドバイス。今シーズン、ホームランの半数以上がセンターからライト方向で、逆方向へのバッティングが復活の大きな要因となっています。

 

先輩 新井貴浩さんのアドバイス

さらにもう1つのきっかけが、OBの新井貴浩さんのアドバイスによるフォームの変更です。バットの先をピッチャー方向に向けるフォームに変更し、ぎりぎりまでボールを引きつけて打つことで強い打球が飛ぶようになりました。こうした意識の変化やフォームの変更が今シーズンの堂林選手のバッティングの支えとなりました。

 

堂林選手

 

新井さんのフォームを見て分かると思うんですけど、バットのヘッドをピッチャーの方に垂らして、それをできるだけ自分の打つポイントまでキープして、打つときには(力を)開放することを意識している。これはもう変わることはないと思いますし、悪くなったときに自分が戻れるところになった。

打率4割の好スタート

今シーズン、堂林選手は開幕戦で先発出場をつかむと、序盤は打撃好調が続き、一時は打率が4割を超えリーグトップを走りました。4番の鈴木誠也選手の前後を打つ機会も増え「シーズンに入る前は打順が誠也と並んでいるとは思わなかった。自分にとって打順はどこでも関係ないが、誠也と並べていることはうれしい」と率直な思いも明かしました。その中で印象的だったという一打が6月28日の中日戦の2号ホームラン。インコースを捉えて広いナゴヤドームで逆方向へのホームラン。その打球の伸びに大きな手応えを得たといいます。

 

6月28日 広島-中日 堂林選手が中越えに2ラン

堂林選手

 

自分が振った力感よりも遠くに飛んでいたので、あの打球はすごく手応えがあった。シーズン序盤はストライクにきた球をしっかり積極的に振りにいけていましたし、結果的に逆方向にいい当たりも飛んでいた。

試練の8月 9月

しかしその勢いも8月以降、失速します。8月の月間打率は2割5分6厘、9月は2割ちょうどと、3割を超えていた7月までと比べると大きく落ち込みました。当時、堂林選手が不振の原因としてあげたのが、早いカウントで甘いボールを見逃してしまうこと。その結果、追い込まれて難しい球に手を出すケースが増えてしまっていたといいます。

 

堂林選手

 

甘い球を簡単に見逃して自分に不利な状況で打席の中が進んでいる。それがしっかり吹っ切れて振りにいけるようにできれば。

 

この苦しい時にも支えの1つになったのが鈴木誠也選手。シーズン中も相手ピッチャーのボールの軌道などを情報交換していたという後輩からもらったことばとは・・・。

堂林選手

 

『いい時の自分はあまり振り返らない方がいいですよ』と言われた。開幕当初の体とはまったく違いますし、このことばで、いい時のことは思い浮かべすぎず、軸となる部分は変えずに、新しいことにチャレンジ、試しながらやれていると思います。

“壁を乗り越え盾に”

10月に入り、堂林選手は「自分の中でいい感覚が見つけられ始めている」と再び状態を上げ、10月12日時点で打率2割9分4厘、ホームランはチーム2位の13本、盗塁もチームトップの14個と、シーズン終盤まで主力として試合に出続けています。

 

佐々岡真司監督も堂林選手の成長を認めています。

 

佐々岡監督:「開幕からずっと状態がよく、そのあと調子が落ちたけど、そこを自分で打破したところがことしの成長。レギュラーで戦う気持ちが表れている」。

 

堂林選手には、夏の甲子園で優勝した高校時代から大切にしていることばがあります。

 

“乗り越えた壁は自分を守る盾となる”

 

苦しい時に自分を前向きにさせてくれるというこのことばをずっと大事にしてきたといいます。結果を残せず苦しんできた堂林選手が、11年目にして久々につかんだレギュラーの座。大きな壁を乗り越えた今、チャンスを離さず最後まで主力としてチームに貢献したいと意気込んでいます。

 

堂林選手


しっかりぐっとこらえて前を向いて元気にやれば、最後は自分に何か返ってくると思うので、そこは忘れずにやりたい。とにかく結果の世界なので結果を出して、最終戦が終わるまでしっかり戦力になり続けたい。

この記事を書いた人

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広島局 松山翔平 記者

スポーツ新聞社での営業職を経て平成22年にNHK入局。
大分局、千葉局を経て平成30年から広島局でスポーツ担当。
最近の休日はもっぱら1歳になった息子と家族でお出かけ。

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